見出し画像

人との出会いは学びだらけ(エンタメ型飲食店、美容業界の勢力図、夫婦別姓)

ここ最近は初対面の人と会いまくってる。おかげで随分と見聞が広がった気がする。

世界を席巻するパフォーマンス型飲食店の最前線

中国で広く食べられてる大衆料理、火鍋。中でも一番有名なチェーン店である。とにかく顧客サービスの水準が高い。「食のディズニーランド」といった印象だ。

鍋のあく取りをやってくれたり、ツミレを鍋に入れるのを代わりにやってくれたり。横を見ると「推しの誕生日」を祝っている女性たち。誕生日ケーキを用意して写真も店員さんが撮ってあげている。

この店の名物はカンフー麺というメニュー。注文すると目の前で店員さんが麺をヌンチャクのように自在に操り、見事なパフォーマンスを見せてくれる。それを見た周りのお客さんもどんどん注文して、動画で撮ってSNSで拡散する。

それだけではなく、仮装した従業員も定期的に巡回して目でも楽しませてくれる。子供が飛び跳ねで喜んでいる様子が、なぜここが中国最強のチェーン店になったかを物語っているようだ。

これだけの顧客サービスを仕組み化して実現しているのは、見事という他ない。「日本のおもてなし文化」という過去の栄光にいつまでもすがっていたら、国民性関係なくホスピタリティを提供するグローバル企業にやられてしまうだろう。

池袋はもう10年以上前から中国人の街として発展していて、現地の輸入食品が売られているスーパーもある。日本とは比べ物にならないほど餃子の種類が豊富だ。また、羊肉が日本よりもずっと一般的である。

それなりに飲食店を巡って詳しいつもりでいたが、世界の食文化の多様さに比べたらまだまだ浅瀬で戯れているレベルだったようだ。

眉毛サロンから見えてくる美容業界の就職勢力図

初対面の人と会うことが増えた関係で、SNSに影響されて月に一度のペースでメンズ眉毛サロンに通い始めた。眉毛の形を整えるのと、ノーズワックスによる鼻毛の処理をお願いしている。

せっかくなので店員さんに美容業界のことをいろいろ聞いてみることに。

私「なんで眉毛サロンの仕事を選んだんですか?」

店員さん「今の彼氏との将来を考えた時に、やはり年収アップと一般企業並みの福利厚生が欲しいと思って、美容師から転身しました。もし子供が産まれた時に、苦労をかけたくないこともあるので」

私「美容師ってそんなに福利厚生が薄いんですか?」

店員さん「お店にもよりますが、ボーナスがない、休みがない、産休育休がない。備品の費用も給料から引かれる感じです」

私「じゃあ、美容師目指す若い人も減りますよね」

店員さん「そうですね、実際減ってます。その影響もあって、美容師の待遇を改善するところも増えてるみたいです。ただ、代わりに不満に思ったベテランの人が離れる動きもあったりします」

私「あちらが立てばこちらが立たずですね。個人的には、若い人はトレンドを貪欲に吸収している人が多いのでそういう人にカットしてほしいですけど」

私「美容業界で年収1000万超えプレイヤーとかいるんですか?」

店員さん「フリーランスとか業務委託の人の中には稼いでる人もいますね。フリーランスは本当に自分のお客さんだけで回していく形です。一方、業務委託の人はお店を間借りしてるので、お店目的のお客さんも獲得できるルートがあります。ただ、使用する薬剤も自分の責任で決めないとなので」

私「肌トラブルとかの責任も負わないといけないんですね」

店員さん「そうですね。お店に所属していれば薬剤とか備品の選定は会社側がやってくれるので、働く側からするとそこは大きいです」

店員さん「お客さまはどんなお仕事なさってるんですか?」

私「保険会社の事務を新しい技術に置き換える仕事です。まあ、意地悪な言い方すると"失業者を生み出す"仕事ですね」

店員さん「美容業界も一部では機械に置き換えようという動きはありますね。ネイルとかはプリンターでやったり、髪型のカットを機械でやったり。ただ、髪型については全く同じ切り方でも、その人の頭の形によってで雰囲気が全く変わるので、一筋縄ではいかなそうです」

美容業界全体をきちんと俯瞰して見ていて話も面白い。かなりレベルの高い店員さんだと思った。

いろいろ喋りながら勧められたオプションも調子に乗ってつけていたら、お会計がトータル9000円になってしまった。待遇の良さはこの客単価の高さによって支えられているんだろう。この値段でも問題なく払えるような、社会的地位と美意識が高い人たちが集まるので、客層も良さそうだ。

美容師が憧れの職業、というのは過去の常識になりつつあるのを感じた。

戸籍上の夫婦別姓は今の制度だと釣り合わないぐらいのデメリットがある

結婚して名字が変わり、その後元の名字に戻る例を社内でいくつか見た。女性だけが離婚の事実を誰の目にも明らかな形で社内に晒されるというのは、不満を持つ人がいてもおかしくはない。

戸籍上は名字が変わったが、社内的には旧姓で通している人もいて、姓に対する考え方も多様化しているようだ。

ただし、戸籍上の名字も変えない場合、具体的な不便がいろいろと生じる。日本の法制度は現状だと選択的夫婦別姓を認めていない。籍を入れずに内縁の夫や妻になる場合、以下の記事に詳しいが、相続の権利、子供の親権、税金面での優遇措置が受けられないなど、釣り合わないぐらいのデメリットが発生する。

制度を変えるには相当な政治的闘争が必要そうだが、恩恵を受ける人間が限定的なので票になりそうがなく、政治家もこのテーマでは動かなさそうだなというのが正直な感想だ。

自分が名字を変える場面を想像すると、「こんなに大きなアイデンティティの問題に、多くの女性は向き合っていたんだ」という思いが芽生えた。

未婚率が上昇するということは、「親戚の中で結婚適齢期が自分だけ」のような家庭が増えるということだ。相続の争いは少なくなるかもしれないが、「自分の代でこの家は途絶える」というケースはどんどん増えてゆくだろう。

由緒ある伝統的な家系でなくても、「脈々と続くものに自分が引導を渡す」ことの抵抗感は人間の根強い心理としてある。

生涯独身の人間は、親戚に「家が自分の代で途絶えるかもしれない」という心理的負担を強いているということにおそらく無自覚だろう。(というか、向き合っていないのだから気づきようがない)

本当に、人との出会いは学びだらけだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?