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【『ブランド戦略論』著者 田中洋先生と語る 】17年目の自社サービスを再定義しました~これからの企業経営に求められることを考える~

こんにちは。広報の佐藤です!

サービス開始から17年経つ「ファンくる」。ユーザーである一般消費者が調査員として店舗や商品を体験し、そのアンケートを各社に届けてきました。社会が目まぐるしく変化する中、私たちはより良い消費社会を実現するために覆面調査を再定義して、サービス業の皆様にお客さまに選ばれる店舗づくりをしていただくための新しい顧客体験(C X)マネジメントサービスへと変化をさせています。

今回は中央大学名誉教授で当社のマーケティング顧問である田中洋先生と当社の山口代表に、サービス業の現在と今後について語っていただきました。

中央大学名誉教授 田中 洋 
1975年(株)電通入社、同社マーケティング・ディレクターを経て、 法政大学経営学部教授、コロンビア大学大学院ビジネススクール客員研究員、中央大学大学院ビジネススクール教授などを務める。2022年より現職。事業構想大学院大学・BBT大学院大学客員教授。この間、フランス国立ポンゼショセ工科大学ビジネススクール・東北大学・名古屋大学・慶應義塾大学・早稲田大学などで講師。経済産業省・内閣府・特許庁などで委員会座長・委員を務める。日本マーケティング学会会長、日本消費者行動研究学会会長を歴任。GE, マイクロソフト、日立製作所、NEC、富士通、資生堂、星野リゾートなど多くの企業でマーケティングやブランドに関する戦略アドバイザー・研修講師を勤める。その著作・研究活動により、日本マーケティング学会マーケティング本大賞/準大賞/優秀論文賞、日本広告学会賞(四度)、中央大学学術研究奨励賞(二度)を受賞している。

代表取締役社長 山口 敬人                            
総合商社や大手コンサルティング会社、グローバルメーカーにて、戦略立案、業務改善、商品企画、新規事業立ち上げ等に携わる。日本最大手のレジャー企業では経営企画担当役員として、業務改善や大型アライアンス成立に貢献。投資ファンドを経て2020年より現職。

消費者にとって「良いサービス」の定義は既に変わり始めている

―サービス業のこれまでとこれからについてお二人の考えを聞かせてください

田中先生:もともと日本のサービス業はどの業態・価格帯をとってもサービスの質が高いのが特徴でした。しかし最近ではセルフレジをはじめサービスのメリハリが目立つようになりました。万人受けするサービスでなく、ペルソナ(ターゲットを明確に定めた人物像)を定めたビジネスモデルが着実に増えてきました。

山口:人間にしかできないことやお客様個々に合わせた対応に価値が置かれはじめ、接客本来の価値が一般にも認知されはじめているのではないかと感じています。ペルソナが曖昧な店舗にはぜひ「ファンくる」で新しく提供する、お客様の声から得られる示唆を活かしてほしいです。

田中先生:従来の「良いサービス」とこれからの「良いサービス」が乖離しはじめていますね。ホテル業がまさに良い事例で、設備投資ビジネスの色が濃かったところ、旅行の自粛と制限によって大打撃をうけたことで方向転換したホテルチェーンが出てきました。接客を体験として捉え、お客様にいかにユニークな体験をしてもらえるかを追求して差別化を進めているのです。

山口:たしかに、ホテル業界のクライアント様からは、提供する独自の体験に対するお客様の印象を聞きたいとの声が多く上がります。

田中先生:画一的だった日本のホスピタリティも今後は独自の色を出していくことがポイントかもしれませんね。


日本のサービス業の価値を高めるために何が必要だと思いますか?

山口:生産性の定義を考え直すことだと思います。ただ無駄を削っていくのではなく、削ってできた余白でいかに価値向上できるかを考えるのが生産性ではないでしょうか。お客様にその場でしかできない付加価値を提供することで、相対的に生産性を高めることが求められていると思いますし、我々はその付加価値を効率的に高める存在を目指しています。

田中先生:人間は理念に非常に影響されます。ですから独自のサービスへの理解・共感を通して「こういう理念や世界観をもった店舗を利用している」という感覚を味わっていただくことが生産性を高めることに繋がると思います。経営理念への共感を図るため、アンケートなどを通じた顧客と経営者のコミュニケーションは必須になりますね。

山口:こちらが設計した設問を各社に使ってもらう形式は多く存在しますが、経営理念についての浸透を調べることはあっても、理解や共感を調べて明らかにする領域はまだまだ未着手であり、これからもっと伸びて行くと考えています。

どんな企業でもお客様の声から価値を高められる存在を目指して

―ファンくるがこれから目指すところや提供していく価値について教えてください。

山口:覆面調査としてスタートした「ファンくる」ですが、改めてサービスを定義しなおしました。「ファンくる」はこれまでは主に現場レベルのQSCをチェックするサービスでした。しかしいまサービス業は大きく変わりつつあり、先生がおっしゃるようにいかにお客様個人に合うユニークな体験を提供できるかが競争力の源泉になってきています。私たちは、お客様の体験が再来店やサービス選定につながる理由を明らかにしたいと考えています。通常はいくつもある原因のうち、一番影響が強いのは何か。このお客様の声を定量化して数字で知ることによって、現場レベルでも改善の優先順位がつけられますし、経営レベルではサービス開発やブランド構築、競合比較などにもクリティカルな示唆を提供できます。
社員から「私たちはコンサルティング会社になるのか?」と言われることもあります。データを読み解き示唆を出すという点は共通していますが、コンサルティングにおいては示唆を出せるまでの業界理解と知見が不可欠です。そのため、リサーチと業界理解を深めるところにコストを費やします。
一方「ファンくる」はお客様の声という強力なデータに基づいているため、リサーチに費やすコストよりも安価にかつ確実に示唆を出す根拠を作り出すことができます。提供するものは同じでも、より企業の負担を軽く、有意義な示唆を得られるというのがこれからの「ファンくる」の価値だと考えています。

田中先生:そもそもデータを持っていない、データがあっても読み解き方がわからないことが多い中小企業にとっては特に、「ファンくる」のような一貫してそのハードルを解消できるサービスの登場は大きいでしょうね。

山口:とはいえ、現在のクライアント様は東京をはじめ経済規模が大きいエリアの企業中心ですが、福岡オフィスの立ち上げをはじめ地方にも注力し始めています。将来的には日本全国で地域の企業を支える存在になることを見据えています。質の高いマーケティングデータを提供し、日本のサービス業の価値を高めていきたいですね。

田中先生:日本各地に地域密着型で大成功しているサービス業のビジネスモデルは多くあります。これは統計上では見えてこないものです。そのような店舗に対してデータに裏付けられた差別化ポイントやまだ気づいていない価値を明らかにできるのではないでしょうか。
また「ファンくる」が目指すデータを使った経営については、日本は世界に比べてかなり遅れている印象です。その一因としてデータを取得するツールの普及が遅かったというのがありますね。

山口:同感です。今ではGoogleフォームをはじめツールの普及は進みましたが、まだ使いこなせている企業は少ない印象です。安価にデータを集められるようになっても、アンケートの設問設計と分析が甘く、何の示唆も得られないアンケートになっていることも多いように思います。各社で価値あるデータを取得し、分析する人を採用できるのが理想でしょうが、現実的ではありません。それを安価に実現できるというポジションを早々に確立することが我々の最優先事項だと考えています。


―先生から見た当社の未来について教えてください。

田中先生:最初に会社についてお話しを聞いた際、これまで覆面調査という事業だけで成り立ってきたことに驚きました。しかし、山口さんたちが覆面調査を再定義したことが大きかったですね。データを集めるには人が移動する、人を動かすことができる覆面調査は非常に良い手段です。その強みを活かしつつ、調査するだけで終わりではない、経営に寄り添う存在へと進化しているので今後が楽しみですね。
さらにメンバーの皆さんも自立的で発想力豊かなのが心強いですよね。経営層に限らずこういった組織で成り立っているからこそ、急速な進化を遂げていることと思います。

山口:ありがとうございます。組織力は当社がずっと保持している強みです。引き続き、全員一丸となってサービス業の更なる発展に貢献していくことができれば、幸せなことだなと思います。

―ありがとうございました!

昨今の環境の変化によってこれまでの事業が立ち行かなくなり、撤退を決断した企業や、新規事業の立ち上げ、新たな業界への拡販に挑む企業は少なくないと思います。当社も例に漏れず大きな影響を受けました。
でも告げられたのは、撤退でも鞍替えでもなく「サービスの再定義」。17年間大切に育ててきたサービスの新たな魅力を磨いていくことでした。どんどん表情が変わっていく自社サービスと歩んでいると、日々新たな発見があります。

これからさらに進化していく「ファンくる」では一緒に働く仲間を募集しています。

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