アリス

思っていることがなかなか言えない。辛くても悲しくてもいつも笑顔で自分の舞台を精一杯生き…

アリス

思っていることがなかなか言えない。辛くても悲しくてもいつも笑顔で自分の舞台を精一杯生きている。

最近の記事

エルとジョンの話

忘れもしない。 エルにするか?それともジョンか? と父は言った。飼ってはいけないとは言わなかったことが嬉しかった。 弟が学校帰りに寄り道して遊んでいた家に産まれた茶色の子犬が我が家に来た。 数時間前に同級生の女の子がうちに来て、やっぱりうちでは飼えないから…と半ば強引に子犬を置いていった。 母は完全に迷惑だという顔をしていたが、 父は仕事から帰ってきて、犬を飼うなら名前をつけないとなと、私たち兄弟にそう言ったのだ。 うちはとても古いボロボロの家だったが、一戸建てだったの

    • 便利な時代を不便に生きている

      ここ何十年かの間に家電は目覚ましい進歩を遂げている。 携帯電話(スマホ)もそうだ。通話機能はもとより、超高画質の写真が簡単に撮れる。簡単に送れる。 パソコンを使って、会社に出社せずとも仕事ができる時代が来るなんて、私は想像すらしていなかった。 私の幼少期の洗濯機は2層式が主流で、それを特段不便とも思わず、手で揉み洗いしなくてよいのだからむしろ便利な家電として使っていた。 テレビもそうだ。テレビ本体にある、まわしの部分を回してチャンネルをかえていた。もちろん録画機能などな

      • 父の思いに気付くとき

        父が嫌いだった。 怖かった。 次は何をするのだろうか、いつ暴れ出すのだろうか…ビクビクしながら生きてきた。 だが、私自身子を持ち親となった今、その考えは徐々に、だが確実に変わってきた。 父がどんな気持ちで毎日過ごしていたのか、父がどんな気持ちで壁に『俺はこの生活につかれた』と書いたのか、どんな気持ちで怒鳴り暴れていたのか。 考えれば考えるほど単純な答えに辿り着く。 大切な家族を宗教から取り戻したかった 当たり前の幸せを守りたかった ただ、それだけだったのではないだろ

        • それよりも辛かった事②

          ある時、こんな事があった。 父が台所から包丁を持ってこちらに歩いてきた。 結論から言うと、テレビか何かのコードの被覆を切る為だったのだか、その姿を見た私は 『母が刺される』 と思ったのだ。 いつも家にいる時は恐怖と隣り合わせだった。 言いたい事が何も言えず、人と違う毎日を過ごし、家にいてもいなくても心休まる時がなかった。 母が刺される、と思った時 でも、きっと私のことは刺さないだろう、 そう思った。 なぜそう思ったかは分からない。だが確信はあった。 だから私は静か

        エルとジョンの話

          それよりも辛かった事①

          宗教2世として禁止事項はたくさんあったし、子供の私にはそのどれもが切なく悲しかったが、それよりも辛かった事がある。 父の大反対だ。 宗教活動に対して、配偶者や親族から激しく反対を受ける事を『迫害を受ける』と呼び、その迫害に耐えるという事が、ことさら賛美されていたように思う。 反対する父親から逃げる為に裸足のまま屋根を伝って逃げた、とかそんな話はまだいいほうで、あちらの(かたぎでない人)世界の迫害者は、宗教に傾倒する娘の指を一本ずつ切った、なんていう話も聞かされた。 怖い

          それよりも辛かった事①

          子供なのに楽しいことが禁止、って…

          宗教2世として育ったわたしは禁止事項がたくさんあった。 同じ境遇の方のnoteを見ると 『子供が楽しい事はほとんど禁止だった』 と書かれているが、そのひと言が全てを物語っている。 私の場合、学年に同じ境遇の子がいなかった為…所謂、行動を監視されてチクられる、と言う事はなかったわけだが、それはそれで気持ちを分かち合える友達がいなくて寂しかった。 私は目立つ生徒ではなかったので、その他大勢になりきるのが得意だった。 つまり、人と違うことをしなければならない(みんなでやってい

          子供なのに楽しいことが禁止、って…

          有休2日目

          昨夜京都から帰宅した。 時間は夜の10時少し前。 なんと今日も仕事はお休みを頂いているので、ゆっくり朝寝坊したい、と思ったのだが…いつも通りケータイがアラームを鳴らす。 今日は予定が詰まっている。 だが股関節が微妙に痛い。 (昨日たくさん歩いた為…普段の運動不足の影響で股関節に違和感が…いきなり歩きすぎるとすぐ股関節にくる) 自分の為の有休に浮かれ、予定を詰め込んだ過去の自分は愛おしくもあるが、恨めしくも思う。 朝8:30からまつ毛パーマと美眉スタイリングのためサロン

          有休2日目

          京都旅行

          京都は遠かった… 車で片道6時間以上かかる。 節約の為に車で行くことにしたが、これには少々後悔もした。 だが、着いた。 無事京都に着いた! 滞在時間はわずかに6時間。 桜はまだ咲いていた。 京都駅周辺の観光地を足早にまわって、 京都っぽい昼食をとり、京都っぽいカフェでお茶をし、お土産を購入して帰路に着いた。 帰路もまた、6時間… 仕事を休んでまで、行きたい場所に行けた。 やりたかった事が一つ、出来たのが嬉しくて たまらなかった。 その晩は楽しい夢を見た。 自分

          京都旅行

          我が強いに憧れてーその後ー

          なぜ京都に行きたくなったのか。 我が子が2泊3日の修学旅行に出かけた。 行き先は奈良、京都 私も同じ日に京都に行ってみたくなった。 正確に言うと、そういう事がしてみたくなった。 本当は そんな楽しそうな事をたくさんしたいのだ!人生を楽しみたい。ワクワクすることがしてみたい。 何より自分がやりたい事をやりたい時にやってみたい。 とは言え、今回の事が子にバレたら… 恐らく、かなり怒るだろうと想像する。 現地で鉢合わせなどしたら、ひとたまりもない。 そういう事を嫌う子なの

          我が強いに憧れてーその後ー

          我が強い、に憧れて

          相手がどんな顔をしようが、我の意見を通す人は少ないかも知れない。 だが ここ譲れない!というところだったり、家庭の中では我の意見を強く通せる人は意外にもいるような気もする。 さて 私は先日も述べたように 自分の意見を持ち、それを伝えるという事が苦手なのだが… その私がまさかの2日間有休を頂いた。私のワガママ(自分の都合)で有休を頂くなど、20数年間勤めて来た中で初めてではないだろうか。 昔 そうだ、京都に行こう! というCMがあったが(分かる方には分かるだろう)まさ

          我が強い、に憧れて

          我が強い

          我が強いとは、その多くの場合マイナスのイメージで使われている言葉である。 だが、 私のような人間…すなわち『自分の意見を強く持たずに人の顔色ばかり伺う人間』にとっては羨ましい言葉なのだ。 私にとって自分の意見を言えないという事はコンプレック意外の何ものでもない。 大きな組織に属している時だけでなく、家族という小さな組織の中でさえも私の中のソレはその威力を遺憾無く発揮する。 思っている事が言えない、というより まず自分の意思や意見を持つことさえうまく出来ないのだ。 まず

          我が強い

          10日間に3人が亡くなるということ

          わずか10日間の間に3人の知り合いが亡くなった。 職場で毎日のように会っていた人 親戚のおじさん 少し前に職場を退職した人 みなさん60を過ぎていたけれど こんな短期間で居なくなってしまった。 同居している家族ではないから 私の毎日の生活は変わらない。 ご飯も喉を通るし 夜も眠れる。 だけど、やはり なんだかとても寂しい。 もうそこにはいない。 顔も見れないし会話も出来ない。 思い出すのは 毎年本場の干し芋もらったな〜 とか 色々料理教えてもらったなぁ〜 とか

          10日間に3人が亡くなるということ

          父への手紙 3

          私が長子として生まれた時 父はショックを受けたらしい。 男の子がどうしても欲しかった父 なんか、ごめん。 男の子につけるつもりで考えられた名前は、 その後弟のものとなる。 急ごしらえで考えられただろう私の名前は 意外にも気に入っている。 ショックを受けたその後 父は私を溺愛することとなる。 私の顔を初めて見た時どう思った? なんて声をかけたの? 赤ちゃんの私に会いたくて仕事の昼休みに家に帰ってきて社長に怒られたり。 近所のセブンイレブンに 2日に1度私を連れて行っ

          父への手紙 3

          車を洗う

          『車をいつも綺麗にしていると事故も防ぐんだぞ』 と綺麗好きな夫に言われた。 正直 そんな事あるわけない、と思った。 あるわけないとは思ったが、事故には絶対遭いたくないし、いつも頭の片隅に引っかかっていた。 年が明けて2024年 車を綺麗にしてみようと思い立った。 田舎で車を手放せない毎日のため、ガソリンは週に一回入れることが多い。 週末にガソリンを入れがてら、1番安いシャンプー洗車をしている。 洗車をすれば、水滴を拭き取りたくなる。 スタンドに備え付けの拭き取りタオ

          車を洗う

          父への手紙 2

          父を尊敬している それを口に出した事は一度もない。 この人が父で良かったと 今、そう思っている。 一つだけ決めていることがある。 私は大切な人が亡くなった後に 『こうしてあげていれば良かった』と思いたくないのだ。 もっと、もっとこうしていたら… あの時、こうすれば良かった… 大切な人であるからこそ後悔に苛まれる。 だから… 私はなるべく今、叶えようと決めている。 後悔しないように。 頼まれたことは今からやろう。 何をしたら喜んでくれるか今考えよう。 先延ばしにせず

          父への手紙 2

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          『どうせ男の事ばっかり考えてるんだろ!』 と言われた。 その日は私の誕生日だった。 なぜそのようにお怒りの電話を受けたのかは忘れてしまったが、仕事中に受けた電話の相手から言われたのだ。 おそらく修理を依頼したのにまだ来ない、いつ来るんだ?いつまで待たせるだ?と言う苦情の電話か何かだったのだと思うが… 女性が常に男のことを考えている、なんてとんでもない勘違いだ。 男の事を考えたくても肝心の男がいません とも言えず 私、今日誕生日なんです…涙 とも言えず だか

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