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ケトン体こそが最強だった

今回は、医師である宗田哲男先生の著書
「【ケトン体】こそ人類史上、最強の薬である」という
本の内容を紹介します。

宗田氏は、「ケトン体をうまく使えば医者も医療もいらず、
近年増えているほとんどの病気から解放される」
と述べています。
近代医療が誕生してから数百年しか経っていないので、
それまでの人たちは病気になったらどうしていたんだろうと
不思議に思っていたのですが、そもそも病気にならない能力が
私たち人類には備わっていたようです。

今回の内容を通して、無敵の能力を呼び覚ます方法を
学んでいきましょう。





大昔は糖質なんて無い

最近は、ケトン体という名前をちらほら耳にする機会があります。
例えば、皆さんはケトン体ダイエットというものを
知っているでしょうか?
ケトン体ダイエットとは、ご飯や麺類などの糖質を殆ど食べないことで
体内の脂肪が燃えやすくなり、体重が減るというダイエット方法です。

ケトン体は脂肪が分解された時に出来る物質で、脳にエネルギーを
供給するために作られています。
糖質制限をすることによって、脳を活動させるエネルギーが
糖質から脂質へと変化し、ケトン体が作られるとされています。

昔は、「ケトン体は体に悪いんじゃないの?」という説も
あったのですが、実はこのケトン体は大変有益なものであると
いうことが次第に明らかになってきました。



それではここから、糖質制限によってケトン体が作られた時に
私たちにはどのようなメリットがあるのか説明していこうと
思いますが、そもそも糖質とは何か?皆さんご存じでしょうか。

糖質とは、炭水化物の一種です。
炭水化物は「糖質+食物繊維」の総称ですから、炭水化物から
食物繊維を引いたものが糖質ということになります。

精製された炭水化物よりも、玄米や全粒粉のパンを推奨している人が
よくテレビに出ていますが、それは精製された炭水化物が
食物繊維を大幅に除去して、糖質に近くなっているからです。
逆に言うと、精製されていない炭水化物は食物繊維がしっかりと
残っているので、食べた時に血糖値の上昇が抑えられて
脂肪がつきにくい食事をすることができます。

精製されているご飯やパンに甘みを感じることは少ないですが、
胃の中に入ってしまえば消化、分解を経てブドウ糖になりますから、
これは砂糖と同じ物質なので、甘いお菓子を我慢していたとしても
主食からしっかりと糖質を摂っていることになります。

糖質を摂ると血糖中のブドウ糖の濃度を示す血糖値が上昇します。
糖質を継続的に摂り過ぎてしまうと、高血糖状態が続いて
糖尿病や肥満、動脈硬化などの症状が引き起こされてしまいます。
だからこそ著者は、「血糖値を上げる唯一の栄養素である糖質を
抑えることが、現代人を悩ます病気予防の近道になる」

と言っているのです。

そして、多くの人は炭水化物と糖質の区別ができていません。
ですから例えば、キノコや葉物野菜にも炭水化物が含まれていますが、
その殆どは食物繊維です。
一方で、米とか芋類は食物繊維が少なく、半分以上が糖質です。
同じ炭水化物100gと言っても、その100gにどれだけの食物繊維が
含まれているかによって、糖質の含有量は全く変わってきますから、
炭水化物は糖質+食物繊維なんだということを
しっかり認識してください。



病気の原因になるので糖質を制限しましょうと言うと・・・・

・糖質が無ければエネルギー不足になってしまう・・・
・頭が働かない・・・
・米やパンは人類が長い間食べ続けてきたものでしょ?

このような意見がありそうですが、糖質が減ると私たちの体は
脂肪を燃焼させてエネルギーを作ろうとしますので、
糖質を制限してもエネルギーが不足することはありません。
むしろ、蓄えられた脂肪をどんどん燃やす体へと変化して
くれるので、ダイエットには効果的です。

米やパンは人類が長い間食べ続けてきたものという意見に
ついてですが、これは全くの誤りです。
人類の祖先が誕生したのは700万年前と考えられていますが、
私たちが主食として口にしている炭水化物は、メソポタミア文明によって
農耕が始まり、ようやく手に入るようになります(1万年前)。
それまで人類は、食糧を調達する際には昆虫や動物を捕まえたり、
魚を捕ったり、キノコや野草、ナッツや果物を採取して
食べていたので、殆ど糖質を摂らずに生活していたのです。

日本でも、旧石器時代や縄文時代は動物や魚などを食べる
狩猟採取の生活でした。
日本人が米を食べているのは弥生時代以降の3,000年間で、
皆さんが思っているよりも短い期間なのです。






生き延びるための救世主

しかし、大昔の人たちが糖質を全く摂っていないかというと、
そうではありません。
野菜や野草には微量の糖質が含まれており、ごくたまに手に入る
果物にも糖質が含まれています。

大昔の人にとって果物は、たまにありつける贅沢な食材であり、
食べられることは非日常でした。
人間の体は本来、貴重なエネルギー源だった糖質を
毎日摂り入れることには慣れていなかったので、
血糖値が上がったら糖質を中性脂肪にして
長期間溜め込む仕組みを作りました。

この仕組みにおいて欠かせないのが、体内の血糖値が上がった時に
分泌されるインスリンです。
インスリンは、別名肥満ホルモンなどと言われていますが、
食料が思うように手に入らなかった時代では
生き延びるための救世主でした。

糖質が体内に入ると、グリコーゲンとして一時的に蓄えることが
出来るのですが、貯蓄できる量には限界があります。
そこでインスリンが、余っている糖質を脂肪に変えて
溜め込むように働きます。

・・・・しかし、農耕技術が発展して穀物(米、麦、粟、キビ、ひえなど)
が安定して供給されるようになると、私たちの食事は
糖質を大量に摂るスタイルへと変わっていきます。
糖質を摂ると血糖値が急上昇するようになり、血糖値を下げるために
インスリンがどんどん分泌されて、脂肪が体に蓄積されていきます。
こうしてインスリンは、現代人を太らせる肥満ホルモンと
言われるようになったのです。

18世紀に入ると、欧米で小麦の精製技術が発明され、日本でも
江戸時代中期には玄米ではなく白米を食べるようになりました。
19世紀には世界的に精製技術が広がり、白いパンが私たちの食卓に
並ぶようになったのです。



精製された炭水化物は、未精製のものに比べると消化吸収が早くて
血糖値が急上昇してしまいます。
人類が誕生してから長らく変わることが無かった血糖値の変動幅は、
農耕開始後に2倍になり、精製炭水化物を摂るようになった
19世紀以降は3倍まで膨れ上がってしまいました。

歴史を振り返ってみると、私たちが炭水化物を主食としていたのは
ごく短い期間に過ぎなかったのです。
さらには、精製された炭水化物を主食としていたのは
たった200年前からの話だったので、糖質を制限しても
全く問題無いことが分かります。






人類史上最強のケトン体を誕生させる

歴史を考えてみると、今の人類は明らかに糖質過剰です。
糖質を抑えると、私たちの体は脂肪を使ってエネルギーにしようと
しますから、糖質制限をすることで、それまでよりも効率的に
脂肪が燃やされ、身体はより健康になっていくのです。

私たちの体は脂肪を分解して栄養にする代謝に切り替わるときに
ケトン体が生まれます。
ケトン体が体内に増えれば増えるほど脂肪が燃焼されて、
体に付いている余分な肉が落ちていきます。

普段から、継続的に糖質(炭水化物)を摂取していると、
私たちの体は糖質をエネルギー源に出来るので、脂質をエネルギーに
することはありませんが、食糧不足などで糖質を制限した場合は
もう一つのエネルギー源である脂肪を燃やし始めるのです。
体内には、ブドウ糖を燃やしてエネルギーとするブドウ糖エンジンと、
脂肪を燃やしてエネルギーとするケトン体エンジンの2種類が
生存のための機能として備わっています。



私たちの祖先は、糖質が手に入りにくい環境に生きていたので
脂肪のエネルギー源に頼っており、主にケトン体エンジンで
生きておりました。
そして、私たちのエネルギー代謝の構造は、基本的に祖先と変わって
いないということが分かっていますので、本来は脂肪を燃やして
エネルギーを取り出すケトン体エンジンで生きていく方が、
体にとっては自然なことなのです。

そのため、ブドウ糖エンジンばかりで体を動かしていると、
人間の体は糖をたくさん摂ることに対応できていないため、
体に負担が掛かり、以下のようなトラブルの引き金となります。

・糖尿病
・冠動脈疾患
・癌(ガン)
・老化

ですから、糖質制限をしてなるべくケトン体エンジンも
積極的に動かして生きていきましょうというのが著者の主張です。
しかし、中には
「糖質制限が体に悪いと聞いたことがありますが大丈夫でしょうか?」
心配する人もいます。

昔は糖質制限が体に悪いと言われていた時期もありましたが、
現在では日本糖尿病学会でも糖質制限推進派が
増えてきているそうです。
また、アメリカの糖尿病学会でも糖質制限食を糖尿病治療の
選択肢の1つとして認めています。






無敵のケトン体質

体にブドウ糖が不足すると、蓄積されている脂肪を分解して
ケトン体が発生します。
ケトン体は、肝臓で脂肪酸から作られる正常な代謝産物であり、
各組織でエネルギー源として利用されることが明らかになっています。

1967年には、絶食時や飢餓時に脳のエネルギー源として
ブドウ糖に変わりケトン体が使用されることも分かってきたのですが、
このケトン体というのが非常にパワフルで持ちの良い
エネルギー源だったのです。

体内の糖質が枯渇すればエネルギーは脂質になり、脂質を燃やす
ケトン体が出てくる体になれば、食事中も脂肪が分解されて
エネルギーをどんどん消費してくれます。
糖質を摂らなければ血糖値は上がらず、インスリンも分泌されませんから
脂肪を溜め込むこともなく、ぽっちゃり体形はみるみる
スリムになり、太りにくく痩せやすい体質へと変わって
長期的なダイエット効果が得られます。

さらにケトン体は、ダイエット効果だけではなく
糖尿病や認知症の改善、予防効果があると期待されているのですが、
病気以外でも、日常生活においては食後の眠気に襲われると
いったことも無くなります。
「昼食後の睡魔が辛くて仕事になりません」という人は、
ブドウ糖エネルギーを使っている証拠で、血糖値の乱高下によって
集中力も妨げられ、生産性も低下してしまいます。

ケトン体には非常に嬉しいことに、炎症を抑えてくれる
「抗炎症作用」や、老化を抑えてくれる「抗老化作用」
さらには体の酸化を防いでくれる「抗酸化作用」なども
確認されているのです。

炎症や酸化ダメージは様々な病気の原因になりますので、
これらを防いでくれるケトン体がいかに優れた物質であるかを
簡単に想像できると思います。






上手な糖質制限

私たちの祖先は食べるものに困っていた時代が長く続いていたので、
空腹による低血糖状態でフラつきやボ~っとした感覚に
陥ってしまった時には、血糖値を上げるホルモンとして、
「甲状腺ホルモン」「グルカゴン」などがあり、これらのホルモンが
機能していたお蔭で、空腹時でも健康と生命を保っていました。

しかし、現代では昔のような飢餓状態はまずありません。
食事などで糖分を摂り過ぎて血糖値が上昇してしまった時に、
血糖値を下げるのはインスリンだけですから、出来るだけ昔のような
食事を心掛けて血糖値の上昇を抑えることが重要です。

糖質制限は、ご飯やパンなどの主食を抜いて、野菜中心のおかずを
たっぷり食べるというイメージです。
しかし、中には間違った糖質制限のやり方も見受けられますので、
糖質制限から最大限のメリットを引き出すためには、正しい糖質制限の
やり方をしっかりと身につける必要があります。

これまで、糖質制限をやってみたものの、辛くて失敗してしまったと
いう人もいるでしょう・・・・・
そんな人は是非、本書の内容を参考にして
もう一度トライしてみてください。



・糖質制限の3パターンを理解する

糖質制限には、以下の3つがあります。

①プチ糖質制限
 (1日の食事で1回だけ主食を抜く)

②スタンダード糖質制限
 (1日の食事で1回だけしか主食を食べない)

③スーパー糖質制限
 (丸1日主食を食べない)

このように、糖質制限にも3パターンあって、今よりもっと
健康になりたい、綺麗になりたいという人は
プチ糖質制限でも問題は無いでしょう。
しかし、肥満の方や糖尿病の薬を使いたくない方、うつや認知症、
癌などの疾患を抱えている方は、スーパー糖質制限を
考えてみましょう。

「丸1日主食を抜いたら、体力が落ちてフラフラになりませんか?」
思った人がいるかもしれませんが、間違った糖質制限を行うと
確かにそうなってしまいます。
いつもの食事から主食を抜いたら、その分のエネルギーは
脂質やたんぱく質からしっかり補っていれば、ケトン体質によって
いつも通りに行動することができます。
むしろ、普段と違って寝起きがよくなったり、仕事で疲れにくく
なったとか、集中力が高まっているということも
実感できるかもしれません。

1つだけ注意しておきたいのは、今まで毎食ご飯やパンなどを
食べていた人が、いきなりスーパー糖質制限をすると大きな変化に
体が追い付かず、失敗してしまう恐れがあるということです。

大切なのは継続することですから、最初はプチ糖質制限から
始めていきましょう。



・主食を置き換える

糖質制限を始めて主食をカットした人は、
「ご飯が無いとおかずが進まない」などと、寂しい気持ちを
感じてしまう人もいるでしょう。
そんな方には、主食代わりの食材を提案します。

例えば以下のようなもので代用してみましょう
・豆腐(冷奴、湯豆腐)
・大豆(茹で大豆、煮豆)
・カリフラワー(カリフラワーライス)
・葉物野菜(茹で野菜)
・糸こんにゃく(こんにゃくパスタ)

某ファミリーレストランチェーンでは、ライスをカリフラワーライスに
変更できるサービス(有料)を行っていたり、ライスを生野菜に
無料で変更してくれるチェーン店もあります。



・動物性タンパク質と脂質

糖質制限は、単に主食分の食べ物を減らすことではありません。
主食分を減らしたのであれば、タンパク質や脂質の多い食べ物を
増やして栄養素を補う必要があります。

タンパク源として優秀な食材は、肉、卵、チーズです。
特に、茹で卵は体内で作ることができず、食事からの摂取が必要な
必須アミノ酸(9種類)全てを摂取できる完全栄養食品です。
コレステロールが高いから卵は1日1個までと言われていた時代も
ありましたが、今では何個食べても大丈夫という説が
有力になっています。

また、良質な脂質を摂ることも重要です。
「脂質を摂れば太るんじゃないの?」と思った人がいたかも
しれませんが、血糖値を上げてインスリンを分泌させるのは
糖質だけですから、脂質を食べても太りません。
ですから良質なオイルをしっかりと摂取していただきたいのです。

油には色々な種類がありますから、摂るべき油と避けるべき油を
しっかりと理解しておきましょう。

「積極的に摂りたい油」
・亜麻仁油
・エゴマ油
・くるみ油(ナッツオイル)
・ヘンプシードオイル
・ココナッツオイル
・オリーブオイル

また、魚に含まれているDHAやEPAなどの油も
良質な摂るべき油です。

「避けたい油」
・リノール酸(大豆油、コーン油、紅花油)
・トランス脂肪酸(マーガリン、ショートニング)



・アボカドとナッツ類

糖質制限において、果物は食べてもいいのかという疑問を
感じた方がいたかもしれません。
果物には健康に良い栄養素がたっぷりと含まれていますが、
同時に果糖(フルクトース)という糖質も多く含まれています。
果糖はブドウ糖のように血糖値を上げませんが、ブドウ糖よりも
中性脂肪に変わりやすいという特徴を持っていますので、
食べ過ぎには注意が必要です。

果物の中で一番お勧めしたいのは「アボカド」です。
アボカドの糖質量は80g当たり0.7gしかないので、他の果物に比べても
圧倒的に少なく、クリーミーでお腹が満たされやすいのが特徴です。
実はアボカドは、世界一栄養価が高い果物としてギネス認定されるほど
極めて栄養価が高く、まさにスーパーフードと言えます。
良質な脂質もたっぷり含まれていますので、糖質制限中には
お勧めの食材です。
そのまま食べてもいいですが、醤油をかけても美味しく、サラダに加えたり
チーズを振りかけて軽く焼いても美味しいです。

また、糖質制限中の間食で何か食べたくなったら
ナッツ類がお勧めです。
良質な脂質とタンパク質、ミネラルを含んでいて、
糖質が含まれている量は少ないです。

ナッツ類の中でも特に糖質が少ないのは、
くるみ、松の実、カボチャの種になります。
逆にカシューナッツは比較的糖質が多いので、
食べ過ぎには注意してください。


終わり

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