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UBIの必要性と可能性、人々の意識改革と生存権について

これまでに少し触れたことはあるが、今回はユニバーサル・ベーシック・インカムについてのみ焦点をあてて書こうと思う
ベーシック・サービスについては、こちらも機会があれば話してみたい
基本的にこれは、UBIとの併用が望ましいと思う

今回、私が主張したいことはこの記事の後半なのだが、よかったら最初のほうも流し読みをしてみて欲しい
特別、目新しいことは書いていないが、まとめる意味で書いた形だ

前回の記事と同様にこの記事も、一定の説得力のある指摘に限り、それに応える形で加筆修正をする可能性がある

以下、目次をつけることを一度やってみたかったため挑戦してみたのだが、実は目次をつけるほど長い文章だとか、量ではない

※ここで述べるBIは社会保障カット型の緊縮型似非BIではなく、追加型BIである



◾️UBIの必要性、意識としての意義

日本には、じゅうぶんではないものの年金制度がある
主に老齢年金(国民年金、厚生年金)と障害年金
日本人は年金の他に老後、最低でも2〜3000万円の貯蓄が必要だと言われている
これを満たせない人はどうすればいいのか
また、このこと=将来不安の問題は、少なくない障がい者にも当て嵌まるだろう

必要な額の貯蓄が叶わなかった人は、人生が詰むことを意味している

では、それを避けるために全ての困窮者に対して生活保護の対象にすればいいのか
または、社会の変革としてUBIがいいのか

私は、国民の社会福祉への意識の低さを考えるに、生活保護制度のスティグマを減らす意味でもUBIに大きな可能性を感じている
恥の意識や、弱者を見下す者が絶えない社会の変革として、UBIの実施には強い意義があると思う


◾️UBI、経済的な側面

UBI(以下、BI)を支給しても、全額が貯蓄に回ることがない限り、BIによる消費は必ず誰かの所得になる
物が売れるようになる可能性が高まるのだから、企業所得は増加する
その企業の利益は従業員の給与アップや(機械化などの設備投資の促進によって)供給能力の天井を上げることに貢献する


◾️株主至上主義の問題

この時、株主至上主義によってかなりの収益が最終的に資本家にいくことが考えられるのだが、そのことは資本主義の宿命的課題である

主因がBIではないことに注意が必要だ

この格差拡大の歪みは、資本主義、主に新自由主義政策の構造上の問題である
あらゆる社会保障、消費税の廃止でさえも同様に直面する大きな課題である

別途、構造改革、行政改革の見直しによって法改正をする等で個別に対応しなくてはならない


◾️UBIによる労働退出とその影響

BIによって一定の労働退出が出ることを否定的に考える人がいると思うが、この労働退出の率は単に給付、支給する額に左右される

私は今の日本の、学生から高齢者まで働いている状態を非常に不自然だと感じている
高齢者の5人に1人は生活のために疲れた体に鞭を打って働いているし、学生は勉学が本業の筈なのに学生ローンを少しでも早く返済したいがため働いている
こうした学生は非常に多いと思う
勿論、中には学生生活をより豊かにするために働いている人もいるだろう

少なくとも彼らが生活の心配をせず働かなくても済む社会のほうが健全
学生は学業に、高齢者は人生の余暇を過ごすゆとりがあるのが本来の理想の国家の形だ


◾️UBIにはブルシットジョブ、ブラック企業を減らす効果がある

一定の労働退出によって起こるのは労働価値の上昇賃金上昇圧力である

労働退出が一定出ることによる最大のメリットは、何と言ってもブラック企業ブルシットジョブの淘汰だろう
※淘汰まではいかなくても、減少させることにかなり貢献する筈である

「労働退出が一定起こることによって、労働価値が高まり、賃金上昇圧力が働くようになる」

BIに懐疑的な者達はこれを逆に捉えているようで、賃下げになったり賃金が上がり難くなると述べているのだが、これは明確に間違いであると指摘しておきたい

単に売り手市場と買い手市場労働者と雇用者側における需要と供給の関係の話だ

各国のグローバル企業は、その国の賃金体系に関わらず給与を決定する力を持っている
しかし、もし労働者が集まり難くなるのだとしたら給与を上げざるを得なくなるだろう

労働者の価値が上がるという意味においても、BIには意義がある

新自由主義、グローバル資本主義に対する処方箋になり得るのがBIの優れた特徴だ

ちなみに、BIによって賃下げが起きるというのはデマである
日本には最低賃金法があるため、最低賃金以下に下げることは出来ない(同、労基法28条)
また労基法91条制裁規定の制限(減給の限度額を定めたもの)がある
これは労働者が何らかの不備をやらかした際に、合法的に賃下げが出来るというものだ

是非、法律を検索してみて欲しいと思う
企業が賃下げをするハードルの高さとその罰則、法的な賃金の下げ率の低さを知ることが出来る
※労基法 第一章 総則、第二章 労働契約、第三章 賃金 etc 参照


◾️労働退出が起きることによって技術革新が加速する

企業からすれば、労働者が減れば、より生産性を確保するためには、今以上に産業機械に頼らざるを得なくなる
現在、先進国ではもう既に第四次産業革命の渦の中に入っている
そしてこれは徐々に加速して来ている

これまでの産業革命は、人が扱う産業機械の技術革新によって生産性を高めてきたのだが、それはホワイトカラーの職種を奪うことは殆どなかった

第四次産業革命がこれまでと決定的に違うのは、人と機械が共存してきたこれまでの形から、産業機械が加速度的に進化し、多くの人を必要としなくなる点
その比率の大きさが問題なのだ

汎用AIの進化によって、多くのホワイトカラー職の雇用は減少していく
生成AIがより進化していけば、クリエイティブ職もうかうかしてはいられない
また、将来的に汎用AIを搭載した産業機械、ロボットはブルーカラーの雇用まで奪いかねないだろう
交通手段から広範なサービス業、介護産業に至るまで、ブルーカラーの雇用は様々危機に瀕していく

こうした未来の社会を俯瞰的に考えれば、BIの議論はもうとっくに開始されてなければならない

先進各国がこの分野に投資して競っている現状を考えると、これに乗り遅れることは国家としての致命的な衰退を意味する

第四次産業革命、汎用AIにおける技術革新は、世界的にSTOPをかけるか、または先行している国に追いついていくしかないのだ

さて本題


◾️UBIは、こころと命を救うヒューマニズム的側面を持つ

労働退出、賃金のこと、近い未来の話を中心に、遅かれ早かれBIが必須の社会が訪れることに(これは反対派であっても)異論はないと思うが、私はより早期の導入を強く訴えたいと思う

まず、ここまで生き辛くなってしまった日本社会のことがある

右も左も上も下も、誤った税財源論財政均衡主義緊縮財政新自由主義的経済思想によって、自己責任論が社会に蔓延ってしまっているのだ
まるで命や健康よりも、生産性やお金の価値が高いかのようなディストピアに陥っているといっても過言じゃない

昨今の「高齢者の集団自決、集団安楽死」の議論からも分かるように、こうしたエイジズムナチズムが平気で蔓延り、しかもそれを一定支持する悪魔的な人達まで出てくる始末

これは本当に深刻な問題

しかしこんなものは、単に現役世代の社会保険料の国債比率、国による負担割合を上げれば済むだけの話
B層は財政均衡主義、将来世代のツケという使い古された言葉によるマインドコントロール(感情コントロール、情報コントロール)、緊縮財政観に毒されたまま思考が停止している

話が少し逸れたが、続けよう

この自己責任社会は、政府、財務省による誤った経済政策、構造改革、行政改革による国の責任を、個人単位の話に転嫁すり替えられてきた洗脳だというのがその正体な訳だが、こうした社会情勢による閉塞感は現状、社会的な弱者に牙が向く形で落ち着いている(最悪である)
このことは、国民の過半数が経済に明るくならない限り、解決が難しいかも知れない

この「国の責任」という原因を覆い隠すため各種大手メディアは、御用識者、御用経済学者、御用インフルエンサーを用いて、国民、B層を洗脳下に置いてきた
私達は不用な分断に身を晒されているのだ

少子化や格差拡大の本質は、個々人の責任ではなく、国の誤った財政政策、構造改革(改悪)が主因である

これによる被害が大きいのは高齢弱者や現役世代の社会的弱者、障がい者、メンタルヘルス疾患を抱えている見えない痛みに苦しんでいる人達だといえる

例えばメンタル疾患を抱え、外からは健康そうに見えても、心身症を抱え、働くに働けない人はかなりの数存在することだろう
またはそうとうなストレス恐怖で、こころを震わせながら働いているかも知れない
その「無理」ニ次障害として現れ、時に鬱を発症、人間不信や希死念慮の症状から自ら命を落とすこともある
※ADHDの86%、ASDの70%二次障害経験者で、に関してはADHDの49%、ASDの41%がその経験者である

UBIは、こころと命を救うヒューマニズム的な側面を持つということを以降、詳しく説明していきたい


◾️グレーゾーンにいる人達のこと

ADHDやASD、軽度のLD、軽度の鬱症状等を患っている人達、グレーゾーンの人の多くは、障害認定で手帳が発行されても、その殆どが障害3級だろう
※障害手帳の提示、活用により、公的な施設、一部民間施設等の使用料が安くなったり、またバスの運賃が安くなることなどがあるようだ

また、現在の生活保護制度は、資産がすっからかんになってはじめて審査が行われるなど、非常に敷居が高いもの
勿論、これも自治体によって差があったり、適切なケアに恵まれた場合には運良く保護が認められる場合がある

しかし現状の日本では、保護受給資格者のうち、ちゃんと生存権が確保されているのは、僅か2割程度に留まっている

国と地方自治体は日本国憲法を厳守し、生存権を100%確立しなければならない

そして何より深刻なことは、日本人の多くがこの制度の利用を恥じていること
生活保護受給者は、周囲から白い眼で見られたり、叩かれたりすることがデフォルトとなっている
非常に申請を躊躇う制度設計になっているのだ

話を進めよう

障害2級でも安心して暮らすには程遠いばかりか、それだけで生きていくには不可能な額の支給なのだが、グレーゾーンに位置する人達は、多くが手当てがない3級(支給額0円)だ

では、どうしたら良いのだろうか


◾️UBIは、スティグマに満ちた社会福祉制度から受益者を精神的に解放する

生活保護には強いスティグマがあるし、居住自治体によっては役所の水際作戦等、受給までの道のりはかなり険しい

軽く見られがちな障がいのある人達は、外から見れば普通に働くことが出来るように見える人が多いため(障がいが見えないため)どうしても日本の社会福祉制度からは溢れ落ちてしまっているのだ

私が何故BIを支持するかというと、ここに理由がある

日本のスティグマに満ちた生存権の制度からグレーゾーンにいる人達を救う方法として、BIの導入以外には道がないのが実情だと思う
現状、どんな福祉政策を持ってしてもこのスティグマ、施しという白い視線からは逃れられない

無職の人、働いている人、そしてその労働環境によって多くの人が自殺未遂をしたり、時に自ら命を絶っている
働けない人のこころの苦しみ、痛み、また、何とか働けるけどギリギリの状態で明日が見えない人の苦しみ、痛みが、外からは見え難いが存在している
しかし、働かなければ人は食べていけない

UBIは、そうした人達の多くを金銭的に救う
現在の福祉制度のスティグマのかなりの部分を解消することが出来る
こころと健康、生存権を、精神的な安心感とともに守ることに貢献する

それがUBI


◾️参考 ①  インフレに関する懸念について

今から四半世紀前の所得の中央値は、現在より130万円以上高い
就業者に毎月10万円、年間120万円の所得の上積みがあっても、実は四半世紀前の可処分所得に届かない

労働退出があるとしたら、この時期の就業者数に戻る可能性が高いと考えられる
しかし、現在の就業者数が多すぎるのであって、正常な範囲に戻るだけだと私は考える

また、UBIの定義上、全ての国民に支給することから、毎月10万円給付の場合、子どもの場合18歳に至るまでに2160万円が支給される計算になる
UBIは最強の少子化対策だと見ることも出来る
※BIとBS(ベーシック・サービス)の併用ならば、子どもへの給付額は大人の半分ほどでじゅうぶんかも知れない

主に相対的貧困にある層や中低所者得層を下から支えることにより、少なくとも生活苦による自殺や病気を一定食い止めることが出来るのではと考える

また、四半世紀前のインフレ率か、それよりやや高いインフレになる可能性があるのだが、汎用AI、産業機械、ロボットの技術革新によって供給能力の天井が高まった場合に、インフレを抑える可能性が高いと考える

日本のGDPとプラスされるBIによる移転支出、多くを貯蓄に回す国民性などから考えるに、さほど高いインフレに陥らずに、徐々に落ち着いていく可能性が高い

また、インフレに対する懸念が高いのなら、ある程度の高所得者層から所得税の累進性を高める形で徴税すれば、じゅうぶんに調整の効く範囲だと考える
よりビルスタを効かせることによって格差の拡大を防ぐとともに、インフレ率を安定させることにも寄与する

さらに慎重に構えるのなら、BIを低額から導入すれば良いのだ

※財政的な心配がある人は、私の過去のnoteを参考にしてほしい
https://note.com/fubuki_hyou/n/n4ceaf788fc06


◾️参考 ②  海外のBIテスト、その実験結果について

海外の様々な国のBIテストの実験結果では、メンタルヘルス疾患、健康問題の改善や犯罪率の低下が顕著に見られている
医療費等の削減が期待出来る
労働退出にしても、その目的がスキルアップである等、統計的に見ても良い効果、良い結果ばかりが出ている
実験結果では、良くない結果を探すことのほうが困難で、多少は良くない結果もないとリアリティが感じられないと思うほどである

世界の上位5人の総資産はおよそ126兆円に達し、下位50億人弱はますます貧しくなっているという
上位1%の富裕層の資産は、下位95%の資産と同じ
UBIは、その世界の格差の歪みを修正する処方箋の役割を果たす

まず、私達に必要なのは、管理通貨制度の理解近未来に対する考察
そして何より、倫理観の修正価値観の意識改革

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