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【映画】海獣の子供

【映画】海獣の子供

これぞ真のアニメーション。言語化に苦しむ作品を表現のジャンルで見事に表現しきっており鑑賞中は呼吸をするのを忘れる程だった。

物語は「主人公の成長」と「生命の神秘」の両軸で構成されている。
人間に見えているものは宇宙の真理のほんの一部。
宇宙で繰り返される生と死の歴史はミームとしてあらゆる生命に受け継がれ、その大きな摂理の中に存在している我々にも勿論それは宿っている。しかし、表現する能力も術も持ち合わせていない我々は、何かを知っているようで何も知らないまま今を生きている。

海獣の子供らは、命の恵であり、伝承であり、宇宙の記憶。いつの時代にも存在し、誰かにそっと神秘を語りかけ、それは密かに語り継がれる。

そういえば、米津玄師の主題歌で注目を浴びた作品だったと記憶しているが、実は作中音楽は久石譲氏が担当しておりこちらの音楽にも非常に魅了される。感情に訴えかけるものではなく、想像力を引き出す役割に徹している。尺八のメロディから「鯨のソングが海の奥底まで響き渡る様子」が連想できた。作品から程よく距離をとった久石氏の策略通りの鑑賞をしたような気がする。

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