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大 竹 し の ぶ さ ん の エ ッ セ イ が と て も 良 か っ た 話 。

ただいま深夜の1時前。
明日から飲食店バイトが始まるのですが、初めてのことをする日の前日だからか、めずらしく暖かい夜だからか眠れません。まさかオールにならないよね?と思いながらも、眠れないのでnoteで記事を書くことにしました。

昨日、このところ読んでいた大竹しのぶさんのエッセイを読み終わりました。図書館で借りていて。読み終わってすぐ返却してきました。次に予約してる方がいらっしゃるみたいだったので、早く返した方がいいかなって。

しのぶさんのエッセイをなぜ手に取ったか。
図書館で目立つように置いてあって、かわいい表紙に惹かれて。
ただ、それだけでした。

でも、読んで良かった。出会えて良かった。
読み終わったあとに、じんわりと、そう、思いました。

大竹しのぶさん、というと、イメージはやっぱり「女優」そして「さんまさんの元奥さん」。なぜか後者の方がイメージが強いかも。
でも、いつだったかの「世にも奇妙な物語」にしのぶさんが出演してて、その後SNSでしのぶさんの演技がすごかった!とバズってるのを見かけて、大竹しのぶさんってすごく演技がうまいんだ・・ とその時思ったのを今も覚えています。

今回読んだエッセイは「母との食卓 まあいいか3」というタイトルで。
短いエッセイがたくさん収録されていて。そのほとんどが、しのぶさんのお母さま(96歳)との日々について綴られていました。他は、舞台のお話が多かったかな。どちらも興味深く読みました。
しのぶさんのお母さまは高齢のため身体の自由が利かなくなってきて、、でも、昔から母としての役割を全うするために頑張る母だったんだよね。だから自分がこう動きたいと思っても動けず助けてもらわなければいけない自分にはがゆさをすごく感じていたのだと思う。
エッセイでは、しのぶさんのお母さまが亡くなられるまでの日々を、しのぶさんの心境とともに綴られていて、胸がキュッとなった。
というのはやっぱり、自分とも重ねてしまうから。
この先、こういうことがある。って、考えたくないけど・・ 両親にはずっと元気にいて欲しいけれど。
少しずつ不自由になっていく両親をこれから先、目にすることになるかもしれないのだ。(いや、もう、必ずなんだよね。信じたくないんだけど)
そしてさらにグッと深く考えると、私の妹は遠い県外に住んでるから、同じ県内に住んでる自分がしっかりしてないといけないのだ。
果たして、自分のことでイッパイイッパイになってる自分に、それが出来るのだろうか?
考え出したら「不安」でしかない。
でも一方で、すごく両親にはお世話になったと感じているので、そういったことが出来るって幸せなことなんじゃないかな、とも、思う。
だけど、こわいな・・

しのぶさんのエッセイには他にも、娘のいまるさんが休みが出来たのでどこか行き先にお薦めの場所があるかどうかをしのぶさんの友人に聞いていた、という話をしのぶさんが耳にして、悲しい気持ちになった・・ というお話や、舞台が全て終了し、家に帰った時に充実感と疲労感はあるものの、淋しさも感じ、泣きそうな気持ちになる・・ という話、などが綴られていました。

ドラマや映画の話みたい・・ と思ったのが、しのぶさんのお母さまの誕生日の日のエッセイ。(すこし長いけど引用します)

母が96歳の誕生日を無事に迎えることが出来た。妹が買ってきてくれた小さなケーキを囲み、子供たちも加わってハッピーバースデーを歌う。母もなぜか一緒に歌い、私たちもそんな母に合わせて歌おうとするから、かなりバラバラの歌になり、皆で笑う。

(中略)

2日後の日曜日、孫やひ孫、親友のお寿司屋さんの家族、息子の友人ら30人が集まり、誕生日を祝う会が開かれた。美由紀さん(お寿司屋さんの女将です)が、風船とくす玉を用意してくれ、いつも母の記念日に参加してくれる息子の友人たちと1時間前に集まり、50個程の風船を皆で膨らます。ヘリウムガスを入れたりフーフーと顔を真っ赤にしたりして、賑やかに飾り付ける。(略)皆で美味しい食事を頂き、美由紀さんが作ってくれたくす玉を割る。そして、彼女の娘さんのゆきちゃんが注文してくれた、母の似顔絵が描いてあるケーキで、ハッピーバースデーを大合唱。全てに心がこもっていて、私は感謝で胸がいっぱいになる。息子とその友人たちは皆でそれはそれは美しい96本のバラを「おばあちゃん、ありがとう」と手渡してくれた。何てすてきなんだ。母はバンザイをしながら「皆さん、ありがとう。私は世界一幸せ者です」。来年もこの言葉が聞けたらいいなと、私は涙ぐみながら静かに祈った。

「母との食卓 まあいいか3」大竹しのぶ

なんて素敵な。こんな、絵に描いたような誕生日ってあるのかな。
自分では考えられないなって思いました。(つまり、自分のおばあちゃんの誕生会がこんな風になること)
うらやましい・・ というのではなく、自分の世界線にはない、みたいな。シンプルに驚いてしまいました。

そして後は、さんまさんのお話もちょこちょこ。
息子の二千翔さんの誕生日にかけつけるさんまさん(二千翔さんのお父さんはしのぶさんの元夫の方なのですが、さんまさんは離婚後も二千翔さんの友人たちと一緒に旅行に行ったり、食事をしたり、交流はずっと続いていたそうです。素敵すぎる)のお話とか。さんまさん自身も幼いころに実の母親を亡くしていて。(しのぶさんの元夫の方も早くに亡くなられた)母が亡くなった日に、飼っていた犬に手を噛まれたこと。それが、唯一の母との思い出だそう。その後、再婚した父と義理のお母さんと一緒に暮らしていたものの、どうもしっくりいかなかった。といったこともエッセイに書かれていました。(さんまさんのそういったお話って聞いたことなかったから意外だった。でもだからこそ、さんまさんって優しくて人の痛みが分かるのかも)

エッセイを読んでいると、さんまさんの人間力の高さというか、あたたかみというか、がすごく伝わってきました。(他にも書きたいこといっぱいあるけど、ものすごいネタバレになっちゃうので我慢・・ ほんと素敵なエピソードたくさんだったんよね)今のさんまさんとしのぶさんの関係性も素敵。別れてからもこんな風に繋がっていられる、って。むしろ、今の方が良い距離感、とも書いてあったかな。夫婦ならダメだけど、友達みたいな関係ならうまくいく・・ 離れていたらうまくいく、とか、いろんな関係性があるのかな。でも、しのぶさんとさんまさんの場合はどちらも人間がすごく出来ているから(できている、って言葉にちょっと違和感ではあるけどボキャブラリーが少ないからこれしか思い浮かばなかった)こういう風に成り立っているんだろうなと思ったりもしました。

あとは(まだまだある)、このエッセイを読んで、しのぶさんがものすごーーーく演じることを愛しているということが伝わってきたり。日常のこともこなしながら、なんなく女優の日々を送っているしのぶさんがまじでパワフル過ぎる。これだけ「好き!」と思えるものに出会えてるしのぶさんをうらやましく思った。舞台が終わったあと楽屋で「あー、今日も楽しかった。あともう2回は出来る」って言えちゃうんだもん。あと、蜷川さんに「結局さぁ、俺たちはさぁ、仕事人間なんだよ、仕事バカ、しのぶちゃんも俺も劇場以外生きるところはないんだよ。芝居している時が一番幸せで落ち着くでしょ。さぁ、他の幸せはもうあきらめなさい」って言われたりとか。
私にとって、何をしている時が一番幸せなんだろ?って思ったりしました。
今パッと浮かんだのは、音楽聴いてるとき。ライブ観戦してるとき。カフェでのんびりしてるとき。

とっても楽しく興味深く読み終えてしまったので「ああ、もう少し読みたかったなあ・・」と、名残惜しく思ってしまった。
エッセイはあと1,2があるので、また読んでみたい。
でもその前に「私一人」というエッセイもあるというのが分かったので、そちらのが読みたいなと思っている。しのぶさんの半生をありのまま綴ったエッセイ・・・。

あらためてわたしは、エッセイ、が好きなんだなと思った。
自分が生きれない人生を生きている方の日々が綴られたものを読むのって、すごく楽しい、し、学びがある。隣の芝生は青く見えるじゃないけど、芸能人の方の生活ってぴかぴか輝きまくってる風に見えるけど、しのぶさんのエッセイは人間味があって親近感もすこし湧いた。素敵な誕生会は、すごいなぁーって驚きもあるけど。

銀色夏生さん、よしもとばななさん、高山なおみさん、の日記本はずーと好きで読み続けていたけど、まだまだ、まだまだいろんな方の日々が読みたくてタマラナイわたしです。飾っているものではなくて、本来見せたくない部分をもさらけ出すような日記・・ (だから自分もかなりさらけ出し日記書いちゃうんだろうな)そういうものに、とても、惹かれます。

そんな深夜の長文レビューでした。
(1時半・・ 寝れるかな。寝やなアカン)

読んで頂き、ありがとうございました◎

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