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アート

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展覧会や推しの作家など、アートの話題。
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Sonny Boy - 変えられないセカイで、世界を再選択する物語

Sonny Boy - 変えられないセカイで、世界を再選択する物語

という歌い出しで幕を閉じたのは「少女歌劇レヴュースタァライト」の劇場再生産「ロンド・ロンド・ロンド」でした。その先で

と歌われます。その後の劇場版で未だ何者でもない彼女たちは一度殺され、互いの相克と自らのモラトリアムに決着を付け、再生産することでそれぞれの人生でのトップスタァを目指して新たにキラめき始めました。

そんな劇場版スタァライト(以下劇ス)を15回ほど観終えた2021年初秋、「なんか面

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5月2日にバリ島のバリ舞踊・ガムラン演奏グループ"Semara Ratih"の支援配信があります。

5月2日にバリ島のバリ舞踊・ガムラン演奏グループ"Semara Ratih"の支援配信があります。

バリ島の芸能芸術文化が好きでコロナ禍前は毎年訪問していたので、バリ島の芸能についてそのうち書きたいと思っていました。しかし観光が主産業のバリ島も他と同様、今や経済的にかなり深刻な状況です。"そのうち"なんて言ってたら、書く頃には無くなってるかもしれません…。そんな中、自分の最推しバリ舞踊グループ"Semara Ratih"の存続が危ぶまれ、近く支援の為の配信があることを知り、グループの紹介だけでも

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テオ・ヤンセン - ストランド・ビーストに見る生命創造的アプローチ

テオ・ヤンセン - ストランド・ビーストに見る生命創造的アプローチ

山梨県立美術館で開催のテオ・ヤンセン展を見てきました。

https://www.art-museum.pref.yamanashi.jp/exhibition/2021/146.html

テオ・ヤンセン氏はオランダのアーティストです。

物理学の道からアーティストに転向した人で、ストランド・ビーストという砂浜の上で風を受けて自律動作する、人工生命体に擬えた巨大な構造物を多数作っている方です。近

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劇場版少女☆歌劇レヴュースタァライトを鑑賞しました

劇場版少女☆歌劇レヴュースタァライトを鑑賞しました

(ネタバレなし)

🦒わかります。

自分はTV版含めて全く認知していませんでした。SNSで鑑賞した人の言動を観測して、予感めいたものを感じて急ぎTV版と合わせて鑑賞しました。

結果的には想像を超えた衝撃と感動の体験でした。無制限で劇場リピートせざるを得ないほどに。TV版含めてめちゃくちゃ好みの作品だったので、今まで知らなかったことを痛烈に後悔しました…

”少女歌劇レヴュースタァライト”は2

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イサム・ノグチ - 発見の道

イサム・ノグチ - 発見の道

東京都美術館で開催中の展覧会「イサム・ノグチ 発見の道」を見てきました。

美術以外にも家具や公園遊具などのプロダクトデザイン、舞台美術から公共施設などの建築デザインまで、さまざまな方面で功績がある人ですが、自分が最初に作品に触れたのは横浜こどもの国の遊具でした。

幼児期の家族サービスから学生時代のイベントまで、横浜市民はなにかとお世話になるこどもの国。そこはかとなく古くて地味な遊具があるのは覚

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バリ島の竹ガムラン・ジェゴグとスアール・アグンの思い出

バリ島の竹ガムラン・ジェゴグとスアール・アグンの思い出

日本では名作アニメ映画AKIRAの劇伴や、その作曲と演奏を担った芸能山城組でよく知られる竹のガムラン、ジェゴグ(Jegog)。竹らしい丸く優しい音色、相反して音の格闘技とも呼ばれる強くて激しい演奏、ガムランらしい複雑なポリリズム構造が魅力です。民族音楽として世界的にも評価され人気があります。

ジェゴグはガムラン文化圏の中でもバリ島西部ヌガラ地方特有のものです。オランダ植民地だった時代に一度廃れて

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バシェ音響彫刻に見る、造形と音響の共鳴

バシェ音響彫刻に見る、造形と音響の共鳴

超希少楽器、バシェ音響彫刻勝原フォーンのサウンドを求めて、11月にアーツ千代田で開催していたサウンド&アート展に行ってきました。

サウンド&アート展については、一応全部回ったけど、会場内が無秩序にうるさかったのが…(テーマ上仕方ない話で、作品が悪かったわけではないので、念の為)楽しかったり思うところもあったりするけど、割愛。

で、これがその勝原フォーン。

面構えが良すぎる。

バシェ音響彫刻

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篠田桃紅 - 墨象によることばの拡張

篠田桃紅 - 墨象によることばの拡張

引っ越し準備で時間がない中、どうしても一度観てみたかった篠田桃紅の展覧会が開催しているので、一瞬行ってきたメモ。

篠田桃紅は昨年2021年に逝去した女性の書道家です。随筆家でもあり、亡くなるほんの少し前にもエッセー集を出版してましたが、なんと享年107歳!

彼女の作品の特徴は墨象と呼ばれる、いわば墨を使った抽象絵画。前期の作品はいかにも書道なものから大胆に字で遊んだものが多いですが、2年の渡米

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