【岐阜県議会】伊藤英生 岐阜県議会議員が、水道民営化について一般質問。

 2019年3月13日、岐阜県議会 第1回定例会の一般質問が行われ、その中で、伊藤英生 岐阜県議会議員(国民民主党 / 可児市選挙区)が、水道事業へのコンセッション方式導入(いわゆる、水道民営化)について、一般質問しました。

【 伊藤英生 岐阜県議会議員(国民民主党)の質問 】
次に、水道法改正に伴う、県営水道事業の今後のあり方について、知事にお尋ね致します。

本県では、岐阜東部上水道、上水道用水供給事業、以下、県営水道事業とさせて頂きますが、として、東濃および可茂地域の7市4町を対象に、水道用水の供給を行っております。
7市4町の内訳は、中津川市、恵那市、瑞浪市、土岐市、多治見市、美濃加茂市、可児市、川辺町、坂祝町、富加町、御嵩町でございます。
日本を代表する河川である、木曽川と飛騨川の清流から、水を取り入れ、受水市町、約50万人の県民の皆様に、上質な水道用水を弛まなく供給しております。

昨年の出来事でございますが、2018年6月27日から28日にかけて、下呂地区で発生した大雨の際には、飛騨川の水質悪化により、同月29日に県営水道 山之上浄水場の運転停止を余儀なくされるという事態が発生しました。
しかしながら、県営水道 中津川浄水場および川合浄水場から、バックアップ給水を行い、県営水道においては、断水を回避されたことは、記憶に新しいところであります。
災害時に備え、敷設した、東濃西部送水幹線が効果を挙げた事例であり、同事業を推進された関係各位の先見の明に敬意を表するとともに、対応に当たった関係者のご尽力に感謝を申し上げたいと思います。

さて、そうした中、今回、水道法が改正され、水道施設の所有権を地方公共団体が有したまま、運営権を民間に設定できるコンセッション方式の導入が可能となりました
この、コンセッション方式については、次の2点において、問題が懸念されます。
まず、1点目として、民間事業者は、運営権の範囲で、水道施設を運営し、最終責任は地方自治体が負うこととされており、災害時の責任の所在や、役割分担が不明確になるおそれがあること。
そして、2点目として、水道の技術継承を困難にし、技術力、人的基盤の喪失につながるおそれがあることが挙げられます。
水は、命の源であり、水道は、命と生活を支える、重要な基盤でございます。
県民の立場に立って、命と生活を支える、水の安全、安心を守っていくことが、何よりも大切なことと考えております。
以上のことを踏まえまして、県営水道事業の今後のあり方について、知事のお考えをお聞かせ下さい

【 古田肇 岐阜県知事の回答 】
次に水道法改正に伴う県営水道事業の今後のあり方ということでございます。
えー、水道は大変重要なライフラインの1つであります。
えー、ここのところ、人口減少に伴う、水需要の減少、施設の老朽化といった、様々な課題に直面しております。
今回の水道法改正は、こうした課題に対応して、将来に亘って、安全な水の安定供給という観点から、広域連携、適切な資産管理、民間活用と、こういったことを推進し、えー、水道の、お、基盤強化を図ろうということでございます。
この内、民間活用につきましては、従来のPFI手法である、施設の建設や維持管理等に加えて、民間の経営ノウハウを期待し、一定の範囲において、料金の設定や収受も民間事業者に包括的に行わせる、いわゆる、コンセッション方式を自治体が採用することができるという風にされたわけであります。
一方、水道事業は本来、市町村が行う事業ではありますが、地下水源の乏しい東部地域からの要望を受け、県営事業として、末端の水道事業者である東濃および可茂地区の、可茂地域の7市4町に対し、水道用水の供給を県として行っているものであり、直接、家庭への水の供給は県の水道事業としては行っておりません
えー、可能な限り、効率的な供給体制を整えていく必要はありますが、このように、県営水道事業は、市町村と連携しながら投資をし市町村から、えー、コストを回収すると、いう性格のものでございまして、民間事業者に料金の設定や収受を行わせようとするコンセッション方式には馴染み難い、いー、事業形態ではないかと、いう風に、まぁ、思っております。
したがって、現時点では、導入を考えておりません
一方、県営水道事業におきましては、今後、50年間に、給水人口が約50万人から27万に、ほぼ半減すると、いう風に見通されておりますし、施設の老朽化も進んで参ります。
こうしたことを見据えながら、専門の、お、えー、経営の専門家、あるいは、外部の有識者等から意見も頂き、当面10年間に取り組むべき施策としての、え、新岐阜県営水道ビジョンというものを2016年に策定致しております。
ま、この計画に基づいて、えー、計画的な長寿命工事将来の需要に合わせたダウンサイジングなどを着実に実行することにより、持続可能な経営を確保して参りたいと考えております。

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※ 水道事業に関する回答であり、下水道事業については触れていない。
※ 民営化は下水道事業から狙われることがあるため、注意が必要。
※ 岐阜県、岐阜市、瑞穂市、富加町は、国土交通省の「下水道における新たなPPP/PFI事業の促進に向けた検討会」に参画しているので、注意が必要。


■ 日本の会計検査院が、PFI事業の不適切業務と、従来方式よりもPFI方式の方が割高であることを指摘。
https://note.com/gifu_water/n/n3fc77773f1e4