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会社の成長を支えるナンバー2の育て方 vol.84 ナンバー2の役割⑧代理役の機能

社長が対応しなければならない仕事は実は少ない

中小企業では社長が不在だと会社の機能がストップしてしまったり、社長の負担が重たすぎる場合が少なくありません。

社長も人間ですから病気や怪我で入院をすることもあるでしょうし、トップセールスとして外出や出張という機会も多いでしょう。また、ここ数年では感染症に罹ってしまい出社できない社長もいたでしょう。

社長が不在の場合に業務を代理で執行する存在は、組織の安定的な運営を確保するために極めて重要です。

大企業のように役割分担が明確で、しっかりした責任者が常駐しているような組織なら社長が不在なのは当然かもしれませんが、中小企業では社長に多くの決裁権が集中していて、対応すべき事柄も多岐に渡ります。

例えば、社長が不在の間に、

・従業員がお客様との意思疎通で行き違いを起こし、大きなクレームに発展する出来事が発生した。
・大きなチャンスになる可能性を秘めた問い合わせ電話を受けた時にそつなく対応ができなかった。また、そうした電話があったことも報告しなかった
・急を要する業務事故が発生した。

対応を誤ると大きな問題や失注になってしまうような場合などが代表的な例でしょう。

【過去記事はこちらから】
ナンバー2の役割①補佐役の機能
ナンバー2の役割②フォロワーの機能
ナンバー2の役割③実行役の機能
ナンバー2の役割④通訳役の機能
ナンバー2の役割⑤改革役の機能
ナンバー2の役割⑥調整役の機能
ナンバー2の役割⑦統括役の機能

社長の代わりに判断する、業務管理する、突発的な出来事に対応できる存在がいないと社長の携帯電話は着信やメッセージが溜まってしまうか、社長が知らないところで物事が良くない方向に進んでいるかのどちらかになると思います。

従業員だけでも通常業務は支障なく行うかもしれませんが、そうは言っても日常業務の中にも悩ましい判断も数限りなく潜んでいます。業務上の判断であっても、社長、会社の方針に合っている対応かどうかと頭を悩ませる場合もあるからです。

私自身、社長の留守を預かる立場でしたので、ありとあらゆることに対応した経験をしましたが、即時対応を求められる場合や慎重さや熟考を要する難しい判断を迫られることも少なくありませんでした。特にクレーム対応は初動が全てですので、気が抜けない日々を過ごしていました。

私が勤めていた職場は社長が不在がちで、スタッフが個々に勝手な判断をし、管理職も全く機能していない無法地帯で、トラブルばかり発生している職場が多かったので、人一倍実感しています。また不在にしている社長が外出先から対応してもトラブルがかえって大きくなる指示ばかりするようなこともありました。(もちろんこうした状況は私がナンバー2のポジションに就く以前の状況です)

社長としては自分の不在時に何が起きるか気が気でない、目の前の商談に集中できない、経営者仲間と過ごす楽しいはずの時間も終わりの時間が気になって仕方がない、休暇で家族と過ごす時間も楽しめない、こんな状況になってしまうと思います。

経営に関する重要な判断はさておき、少なくとも日常業務における多くの判断業務や初動が大事な対応においては社長以外にも判断、対応できる人材を確保していないと、社長は多くの時間を失うばかりか精神的にもストレスが溜まってしまいます。

「何が起こったとしても社長としての責務だから仕方がない」ではなく、そうした状況になってしまう原因を解決することの方が大事です。

以下に、ナンバー2が代理役として社長の不在時の業務執行において果たす役割やその重要性について解説します。

組織の安定性と継続性
ナンバー2は社長が不在の際に組織の安定性と継続性を確保するための装置です。社長が不在というだけで業務の混乱や決定の遅れなどが起きてしまうのであれば、それを最小限に抑えることができます。

意思決定と問題解決
裁量範囲内で社長の代わりに意思決定を行い、組織内の問題や課題に対処します。迅速で適切な意思決定により、業務の円滑な進行と組織の適切な運営ができます。

従業員とのコミュニケーション
従業員とのコミュニケーションを保ち、会社全体が社長の不在による混乱から免れるようにします。従業員への確認、指示などの対応によって従業員の不安を軽減し、業務のスムーズな進行がサポートできます。

外部ステークホルダーとの連携
社長の代わりに取引先や協力会社などの外部ステークホルダーとの各種打ち合わせを通じて良好な関係性を維持し、外部とのコミュニケーションを担当し、信頼を築く役割を果たします。

緊急事態への対応
緊急事態に迅速に対応し、危機管理を行います。万一の災害や予期せぬトラブルに備え、組織の安全性と緊急時の対応策を検討するのも役割の範疇です。

社長が不在であっても、ナンバー2が適切なリーダーシップを発揮することで組織の安定性と持続的な成長を図ることができます。

営業、社内業務、外部との打ち合わせと社長が自分で何もかも行う必要性など本来ないですし、その状況を抜け出したいのであれば時間をかけてもナンバー2をはじめとする経営幹部を育成することが大事です。

代理役としての役割を機能させるために行うこと

社長が行っている仕事の全てを任せることはもちろんできませんので、任せる仕事の範囲を決めることがスタートです。そのために社長自身が自分の仕事の棚卸しをする必要があります。

そして、その範囲の中でどこまで判断してよいかを決め、判断するうえでの基準も示しておきます。判断に迷う時にはもちろん報連相を徹底させることです。また、ナンバー2が未経験の事柄を任せる場合には面倒くさがらずにその仕事の内容、意味、対応方法について説明しましょう。

自分の仕事の棚卸し

権限移譲、裁量範囲の決定

対応方法のレクチャー

報連相のルール決めと徹底

まとめ

社長に限りませんが、人に任せることが苦手という人がいます。教える時間がない、教え方がわからない、自分でやった方が早くて間違いがない、権限移譲したくない、理由はさまざまですが、一人で抱え込んでしまうことのデメリットを冷静に考えてみるとメリットの方が多いと思います。任せてみたら本当に楽になったと実感できるでしょう。

社長が安心して会社を不在にできるというのは大事なことです。ストレスや心配が減り、自分がやるべきこと、自分の得意なこと、好きなことに専念できている方が成果も出しやすいです。

自分がいなくても仕事が回る仕組み作りというものに興味を抱く社長も多いかと思いますが、その根底にあるのはシステムではなく、信頼して任せられる経営幹部、ナンバー2の存在です。

最初は任せた後も、気になって仕方がなくついつい何度も確認したり、じれったくなり本人の頭越しに現場に指示を出してしまうこともあるでしょう。

けれど自分の期待通りに行動してくれる人材に育つまでには時間も必要です。思わず言いたくなる言葉をぐっと飲みこんで、適切な距離を保ち、必要に応じてアドバイスをし、時には労い、根気よく成長を待ちましょう。ナンバー2ができることの範囲が少しづつ広がり、判断や指示の質も向上します。

自分でなくてもできる仕事というのは会社の中に無限にあります。そこには社長が関わっている仕事も例外ではありません。

社長の仕事は将来を見据えて展望を描き、指示を出し、成果を出させ、責任を取ることが本質だと思います。新年を迎えて心機一転、体制を考え直してみるよい時期かもしれません。

今回はナンバー2の役割のひとつである代理役という役割について解説させて頂きました。参考になりましたら幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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