春の終わり、夏の始まり 17
東京での生活に別れを告げた唯史は、南大阪の実家に戻った。
新たな勤務地でる大阪支社への通勤は実家からでも十分可能で、唯史は両親の温かい支えを受けながら、少しずつ新しい環境への適応を図っていった。
大阪支社への仕事にも徐々に慣れ、食事もきちんと摂るようになった。
以前よりは健康的な生活を送ってはいるが、離婚のダメージは未だ唯史の心に影を落としている。
美咲の不倫・離婚による自己否定のトラウマは大きく、なかなか抜け出せそうにはない。
そんな中、かつて同窓会を行った居酒屋で、唯