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葉巻と、それを吸う愛しい人

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親友のパパのことを好きになってしまった25歳の女の子の話。フィクションの官能小説です。(フィクションなだけに自分の好みをぎゅうぎゅうに詰め込めたので、書いた自分が一番喜んでいる)
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葉巻と、それを吸う愛しい人 episode-1

「あっ… おじさま!こんばんは。ジェシーはいる?」 「あれ?約束してたのかい?ジェシーはロージーと一緒に親戚の家に泊まりがけで出掛けてるよ」 「本当に?!知らなかった。あーあやっぱり電話してから来ればよかったわ。怖いビデオを借りたから一緒に観ようと思ったんだけど…」 とマリアが言って困っているとフランクが、 「まあとりあえず入んなさいよ」 と笑顔で招き入れてくれた。 思いがけずおじさまと2人きりになってしまった…!  マリアはもう数年の間、この親友の父親である、20才歳の

葉巻と、それを吸う愛しい人 episode-2

 「今まで通り、ただのジェシーの友達に戻る」 マリアは頭では本当にそう思っていたし、絶対にそうしなければならないと心から誓っていた。 でも……。 あの晩以来、仕事をしている時以外はほぼずっとフランクのことを考えてしまっている。思わず抱きついてしまった時に、頭と背中を優しく抱いてくれた感触。 「キスして」と言った時のフランクの表情、そして初めて唇が重なった瞬間。 特に「そんな可愛い声を出さないどくれよ。自信が無くなっちまう」という台詞は何度思い出しても胸がキュンと締め付けられる

葉巻と、それを吸う愛しい人 episode-3

 先日ジェシーの家で2週間ぶりに会ったフランクにそっけない態度を取られて、マリアは気持ちの浮き沈みが激しくなっていた。 フランクはあの夜のことを後悔しているのだろうか   。 フランクの態度のことを考えれば考えるほど、自分が嫌われてしまったのだとしか思えなくなって来る。 (私のせいであんなことになっちゃったから、おじさまは後悔して私自身にも嫌悪感を持っちゃったってこと…?)  それまで、マリアはずっと誰にも自分の気持ちを悟られないように振る舞っていた。自分がフランクに恋をし

葉巻と、それを吸う愛しい人 episode-4

 マリアがフランクに恋をし始めたのはどの瞬間からだったろうか   。  大学に入って割とすぐにジェシーと仲良くなり、その内お互いの家で遊ぶようになった。マリアは親元を離れて一人暮らしをしていたので、気兼ねもいらず、しょっちゅう2人で遅くまで飲んだりイベントに行ったりして遊んでいた。  フランクに初めて会ったのは、ジェシーの家によく行くようになって半年後ぐらいだった。ロス警察の警部だというのは聞いていたが、相当仕事も忙しく不規則なのだろう、家にいたのはその日が初めてだった。

葉巻と、それを吸う愛しい人 episode-5

 仕事の帰り、マリアは相変わらずフランクのそっけない態度のことを考えては暗い気持ちに支配されながら通りを歩いていた。家に帰って食事を作る元気もない。せめて何か美味しいものでも買って帰ることに決め、デリがある店に行く角を曲がろうとしたその時、後ろから軽いクラクションの音がプップッ!と聞こえた。 反射的に振り向くと、そこには見慣れたベージュ色の車があり、その窓からフランクが顔を出して葉巻を挟んだ手をあげていた。例のマリアの大好きな笑顔で。 「おじさま…!!」 マリアは驚いて思わず

葉巻と、それを吸う愛しい人 episode-6

 マリアは、嫌われているとばかり思っていたフランクからの思いがけない告白を聞いて、身体中が一瞬で熱くなるほど嬉しかった。あの夜からずっと、恋しく焦がれる気持ちと、そっけない態度の意味を考えて沈む気持ちの間で、毎日苦しい思いをしていた。まさか、あんな言葉を聞くとは思いもよらなかったのだ。 (おじさまも私のことをそんな風に思ってくれていたなんて…) しかし   。 フランクはローズとジェシーを愛しているから、また元の関係に戻らなければいけない、とはっきり言った。  マリアは、フ

葉巻と、それを吸う愛しい人 episode-7

 フランクと最後に会ってから既に1ヶ月経っていた。元の関係に戻らなくてはいけないと言われたあの日である。ジェシーの家には、その後2度行ったが2度ともフランクは不在だった。あのマリアが初めて想いを打ち明けた晩から数えたらもう2ヶ月経っている。あの夜の素敵なセックスは思い出すだけでトロけそうになるが、時間が経ち過ぎて、もう夢だったような気すらして切なくなる。  そんなある夜、マリアが会社を出て家に向かう帰り道、後ろから知らない男が声をかけてきた。それほど物騒ではない通りだが、夜

葉巻と、それを吸う愛しい人 episode-8

 そうして、2人は約束をして会うようになった。 マリアは幸せでたまらなかった。自分の毎日の中にフランクの存在があることで、心も身体も隅々まで満たされて潤うような気がした。  外で食事をしてからマリアの家に来たり、マリアが食事を作って家で過ごしたり、時には食事だけしてそのまま現場に行ってしまうこともあったが、よほど急に事件が起こったりしない限り、できるだけマリアに会おうとしてくれるフランクの態度がマリアを余計幸せな気持ちにさせた。自分から連絡を取ることはできなかったが、それを

葉巻と、それを吸う愛しい人 episode-9

 その日は土曜日であったが、フランクは仕事があったので外に出ていた。しかしそれが思いの外早く午後3時前には終わったので、マリアに電話を掛けてみた。 「おじさま!」 電話越しでもマリアの声が嬉しそうなのがわかるので、こちらも思わず笑顔になる。 「今どうしてた?忙しいかい?」 「全然よ、雑誌読んでただけだわ」 「いや、仕事が思いの外早く片付いたんでね。お前さん出て来られそうならどっかで珈琲でも飲もうか」 「本当に?!嬉しい!すぐ行けるわ!」  2人は古い住宅街の中にある落ち着い

葉巻と、それを吸う愛しい人 episode-10

 ジェシーにボーイフレンドができた。 会社の同僚の一つ年下の男で、支社から異動して来たばかりの彼が例の上司とうまくいかずに悩んでいた時に、ジェシーにその上司のことを相談してきたことで意気投合したのだという。 「なにせアイツの悪口と対処法なら何時間でも語れるからね。3軒はしごして飲んでる内に…なんか仲良くなっちゃったの」 「じゃあ、何だったらアイツがキューピッドみたいなものだと思うと笑えるわね」 「あなた初めて役に立ったわよって教えてあげたいわ」 そう言って2人で笑った。  

葉巻と、それを吸う愛しい人 episode-11

  キース達と会った翌日、案の定ジェシーが電話をしてきた。 「んもう昨夜どうして帰っちゃったのよ。デニスもキースも残念がってたわよ」 「ごめんごめん。でも私…」 「キース気に入らなかった?」 「ううん、良さそうな人だとは思ったけど……でも、本当に私男の人と付き合う気にならなくって」 「マリア…。あなたってなんか不思議ね。こんなに情が厚いのに男にだけ淡泊でさ。今まで本当に好きだなーって思う人いなかったの?」 マリアは言葉に窮した。まさかあなたのパパだと言うわけにもいかない。 「

葉巻と、それを吸う愛しい人 episode-12

 明け方に薄明かりの中で目を覚ました フランクは、自分の横で眠っているマリアを見て、まず幸福を感じた。可愛い女がそばに眠っているな、と思った。 しかしすぐその後から、自分がしていることは相当最悪なことだという自覚が襲ってくる。普段だったら横に眠っているのはローズなのだ。そう思うとローズに対して強烈に罪悪感を感じる。 と、同時にマリアに対してもすまない思いが湧き上がってくる。2人に対して自分だけが自分に都合の良いことをしているなと思う。このままの関係を続けていたら、いずれ全員が

葉巻と、それを吸う愛しい人 episode-13

 マリアが、ソファに横になって仕事の帰りがけに買った最新号のVOGUEを眺めていると、不意に電話が鳴った。 (おじさま?!) と一瞬期待したが、この4、5日は全然暇がないと言っていたから絶対に違うはずだ。その4、5日が終わったら電話するよと言われているのだ。だから多分これはジェシーだと思って気軽に受話器を取った。 「ハロウ?」 「…あー、えっとマリア?」 「……キース?」 どうしよう、何も断りの言葉を考えていないのに無防備に電話に出てしまった、とマリアは内心慌てつつも、普通の

葉巻と、それを吸う愛しい人 episode-14

 フランクは、マリアの家に泊まることがだんだん増えていった。  今夜は19時にはマリアの家に着いたので、いつもより長い時間ワインを飲みながら会話を楽しんでいて、気づいたらもう2本空いている。時間がたくさんある安心感で、2人とも程よく酔って甘い雰囲気である。 「そういえば…お前さんっていつからあたしのことを想ってくれてたんだい?」 「んーはっきり気づいたのは3年前ぐらい。まだ大学に通ってた頃ね」 「3年も前なのかい??」 フランクは驚くと同時に複雑な気持ちになった。 3年も前か