政策評価

「民主主義体制の中の非民主主義的な主体」である「職業公務員」の行動原理

日本の地方自治体の職員は、いわゆる「職業公務員」です。民主主義社会における主権者は住民であり、その住民によって選ばれた首長が行政を担い、議員は行政の執行を監視する役割を担うわけですが、自治体職員はあくまで採用試験で選ばれた「職業公務員」であり、主権者ではありません。しかし、自治体職員がいなければ行政は回っていきません。

東京大学の金井利之教授は、この自治体職員のことを「民主主義体制の中の非民主主

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「事業仕分け」を再考する

2010年度予算編成のために民主党政権が導入し、蓮舫参議院議員の「2位じゃだめなんでしょうか?」発言もあり、一大センセーションを巻き起こした「事業仕分け」。

今回は、この事業仕分けはどんな意義と課題があるのかについて再考してみたいと思います。

1 事業仕分けの事業廃止効力

実は、事業仕分けの導入は、国よりも自治体が先であり、2002年から取り組みが行われてきました。

事業仕分けでは、外部の

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自治体の「政策評価」の再評価を―その4 チェック機能の弱さと外部評価の導入―

地方自治体に「政策評価」という仕組みが導入されて、約20年が経ちます。

政策評価とは、自治体が実施する政策や施策、事務事業について、それらが成果を上げているのかを把握するために指標を設定するなどして評価し、改善に結びつけていこうという仕組みです。

今回は、この政策評価のチェック機能の弱さと、それへの対応としての外部評価の導入について述べたいと思います。

1 アカウンタビリティ確保の手段として

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自治体の「政策評価」の再評価を―その3 民間企業はアウトカムを測定しているのになぜ行政ではできないのか?―

1 民間企業はアウトカムを測定できるのになぜ行政ではできないのか?

今回は、自治体の政策評価へのよくある批判その2として、「民間企業はアウトカムを測定しているのになぜ行政ではできないのか?」という批判について考えてみたいと思います。

これはよく、民間企業の方が行政を批判する際に出てくる頻出フレーズですが、本当にそうなのでしょうか?

2 民間企業における評価基準

民間企業には、誤解を恐れずに

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自治体の「政策評価」の再評価を―その2 アウトプットばかり評価していては意味がない?―

1 自治体の政策評価へのよくある批判

前回は、自治体の政策評価における指標設定の難しさについて述べましたが、今回はその続きです。

自治体の政策評価に対しては、以前から様々な批判がされています。ただ、それらの批判の中には、感情的なものや理論的でないものも散見されます。

よくある批判として、「アウトプットばかり評価していては意味がない」もしくは「アウトカムを測定しなければ意味がない」というものが

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自治体の「政策評価」の再評価を―その1 指標設定の難しさ-

自分の頭の中を整理する意味も含めて、自治体の「政策評価」の課題について、何回かに分けて、思うところを書いてみたいと思います。

1 政策評価とその課題

自治体に「政策評価」という仕組みが導入されて、もう20年近くが立ちます。政策評価とは、自治体が実施する政策や施策、事務事業(以下「政策等という。」について、それらが成果を上げているのかを把握するために指標を設定するなどして評価し、改善に結びつけて

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日本のスター・サイエンティスト

はじめに

私の研究分野は、「科学技術とアントレプレナーシップ」という経営学や経済学などを合わせた複合領域です。とは言え、この研究分野がどういう分野かというのはなかなか分かりづらいので、「スター・サイエンティスト仮説」という一連の研究を交えながらご説明します。 

私は経営学者ですので、研究において交流の多いサイエンティストからすると遠い分野と思われがちなのですが、私の研究対象自体が「サイエンティ

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「科学的手法」という言葉に騙されないために (1)

この連載では、「科学技術とアントレプレナーシップ」分野における先端的な経済学や経営学の論文のご紹介を行っていきます。それぞれの分野で私が面白いと考える論文を毎回3本程度、取り上げます。

社会科学の論文には大きく分けて、「理論系論文」と「実証系論文」の二種類があります。「理論系」というのは、数理モデルだったり、既存の研究の積み重ねだったりに基づいて、演繹的に理論を構築していく類の論文です。ゲーム理

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