「ママまだ痛い？」

「ごめんね、ありがと」

「僕もうハミガキ終わった！」

「本当？じゃ仕上げ…」

「だめー！今日はおやすみ！」

「ダメだよちゃんと磨かないと」

「平気！ママの分までやったから」

自分の歯を私の分まで磨いたと自慢げに言う息子がおかしくてぷっと吹き出す。

今月は特にきつかった。そろそろ婦人科に行かないとと思いながらも、毎日精一杯でつい自分のことは後回し。

「だからママは、お薬飲んで寝る時間です！」

息子は私のマネをしてそう言うと薬を持って来た。

「えっ…なんでこれわかったの？」

「ママがこうやってうーんってつらい時は、この青いの」

見事飲み薬の1つを的中させた息子。よく見てるなぁ。そう思いながらちょっと泣きそうになる。

「ねぇこれ、なんて書いてるの？」

「トラネキサムさん、だよ」

「とらむきたんさん！あれ？」

何度か挑戦するも言えてないのが可愛くて、涙目のまま声をあげて笑ってしまった。

「やっぱりママは笑ってる時が一番可愛い」

あぁ、私はなんてものをこの世に生んでしまったのか。
面白くて可愛くて優しくて、時々鼻血が出そうな殺し文句を言ってくれる、私のアイドル兼ヒーロー。

今日も息子に救われた。
こんな日は何度でも言って欲しい。
鼻血が出たら「とらむきたんさん」飲もう。

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