マガジンのカバー画像

資料(Esoteric & punk)

37
主に(ポスト)パンク、ヨーロッパ的秘教音楽。忍冬資料室 https://atochietebura.com/DATA/esotericindex.html の転載。
運営しているクリエイター

#パンク

英国幻想弾語事始 :デスディスク

英国幻想弾語事始 :デスディスク

上ページの転載です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 Fairport Conventionのフィドル奏者デイヴ・スウォーブリックは、1975年に出版された『The Electric Muse: The Story of Folk Into Rock』の中で自分たちのフォーク・ロックという様式、その特色である電気によって増幅された音の魅力を説明している。

もっとみる
アーロン・ディラン・カーンズの眼球へ

アーロン・ディラン・カーンズの眼球へ

 『FEECO』Vol.3にてインタビューを快諾し、Vol.4には原田浩の映画についてのテキストを寄稿してくれたアーロン・ディラン・カーンズが、住所であるジョージア州アトランタの一ギャラリーで行なったライヴの映像をアップロードしていた。彼が言うには、アトランタで所謂「アート」のシーンの存在を強く意識する機会は少ないとのことである。ギャラリーは多目的スペースの意味合いが強く、あくまで金で時間と空間を

もっとみる
"音速のバナリスト"マーク・スチュアートを追う

"音速のバナリスト"マーク・スチュアートを追う

 先日の大阪はエル・おおさかで開かれた、パンク・ムーヴメントの歴史を辿る展示『Punk! The Revolution of Everyday Life』(ほか東京、岡山、長崎、福岡でも巡行)には大いに刺激を受けた。展示されたパンクやriot grrrl(ライオット・ガール)の成果物たるレコードやファンジンはもちろん、「自主制作」という点ではルーツと呼べるヒッピー雑誌『International

もっとみる
『Live and Let Live』増補改訂版のおしらせ

『Live and Let Live』増補改訂版のおしらせ

2016年に自費出版した『Live and Let Live』という本に加筆・修正したものをnoteとBASEで販売します。記事単位でも購入できますが、マガジンごと買った方が多少お得です。オリジナルとの差異は
・誤字脱字の修正(随時更新します)
・2017年以降の情報を基にした加筆(全章合わせて1万字以上)
・図版の大部分とディスコグラフィーの省略(図版に関しては後日、アルバムジャケットなどを追加

もっとみる
ネオフォークはパンクから生まれた②CRASS

ネオフォークはパンクから生まれた②CRASS

ネオフォークの原型を作り上げたDeath In JuneやSol Invictusの母体が社会主義的主張を訴えたパンク・バンドCrisisであること、その一見すると180度逆である方向転換が、70年代末英国の左派組織(SWP)やRock Against Racismのような運動への失望に起因することは前の記事で書いた。長く続けたSol Invictusをいったん凍結させ、現在にCrisisとして復

もっとみる
ネオフォークはパンクから生まれた①Tony Wakeford (Crisis,Death In June,Sol Invictus)

ネオフォークはパンクから生まれた①Tony Wakeford (Crisis,Death In June,Sol Invictus)

※本記事は過去に公開したものが手違いで消えてしまったため(血涙)、加筆部分込で書き直したものです。

77年のロンドンに登場し、80年5月公演(MagazineとBauhausのサポート)を最後に解散したパンク・バンド、Crisisが2017年にラインナップをほぼ一新して復活した。
レジェンドと称されるバンドの再結成は大抵が金策目的だが、Crisisの背景にはオリジナル・ベーシストであるトニー・ウ

もっとみる
80sロンドン・アンダーグラウンド結合点② アイスランド

80sロンドン・アンダーグラウンド結合点② アイスランド


アイスランド・パンク
82年2月、Killing Jokeがドイツの名匠コニー・プランクの下で『Revelations』の録音を終えたころのこと。キーボード兼ヴォーカリストであるジャズは迫りくる終末の予感に耐えられなくなっていた・・・いや、そこから免れるための天啓を得たことに喜んでいたのかもしれない。サッチャー政権が煽り続ける新自由主義と冷戦の恐怖がそれを保証したのか、とにかくジャズは黙示録の到

もっとみる