終戦の日のことを、祖父に聞いたことがあります。

1945年8月15日。
その日は、とても澄んだ青空が広がっていたのだそう。

あまりにも青くて、それがほんのり黒ずんで見えるほどだった、、そして、蝉の鳴き声が辺りに響いていて、とても暑い一日だった。

その日の思い出は、終戦当時、物心がついていた方々には強烈な印象となって残っているらしく。

祖父曰く、
その日、何が起きたかなんてわからない少年少女たちは、その果てしない青い空を見上げながら、ああ、何か大きな出来事が終わったんだという実感が沸き起こってくるのを感じていたんだそう。

このかつての少年少女たちが”いつか見た青い空”を思い出させてくれるであろうドラマが本作。

脚本は、向田邦子さんのエッセイを基軸にしたものです。

このドラマを見ると、いつの時代でも人の営みは、ものすごい量の感情で動いているのだということを実感できます。あくせくと動いている。

そんなドラマの登場人物が最後に見上げる青い空。

立ち止まって見上げる青い空

果てない遠く高い青空がそこにありました。

もちろん、終戦当時の空は、我々は見上げたことが無い風景。しかし、この青空を見上げている場面を見ていて、妙な気分になりました。

それは、自分がその空を見ていたような錯覚。

恐らくは、当時その空を見上げていたであろう祖父の記憶が自分に宿って、蘇ってきたのでしょうか・・

戦後という言葉。

それはしだいに遠くなってきています。しかし、この”いつか見た青い空”の風景は、いつまでも心に残っていくんでしょう。

祖先の記憶と共に。