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監修…小和田哲男『戦国 戦の作法』

 もしも室町後期〜江戸初期のどこかにタイムスリップする機会があったら事前に必ず読んでおきたい本。

 文とイラストで構成されており、丁寧に解説されているので内容がスッと頭に入ってきます。

 まず、この本の冒頭には、総大将(最高指揮官)、副将(総大将の補佐)、軍奉行(戦場で実際に指揮)、馬廻集(護衛や伝令)、軍目付(兵たちの手柄を証明)、小荷駄奉行(兵糧や道具を輸送)、旗奉行(本陣周辺で総大将を警護)、弓奉行(弓部隊を指揮)、槍奉行(槍部隊を指揮)、侍大将(ひとつの軍を指揮)といった組織図が載っています。

 こうした役割の違いを知るだけでも、時代小説や時代モノの映画をより楽しめるようになりますよね。

 また、

 お互いに弓を放つ一騎打ちによる騎馬戦から槍や鉄砲を使う戦闘スタイルの変遷、伏兵・挑発・塩止・火攻め・水攻め・兵糧攻めといった戦術、出陣・進軍の作法、いざ戦をする時のルールと手順、投石といった飛び道具の有効性、戦場での晴れ着とも言える甲冑のお洒落、城の造りや城の立地による長所短所などが載っており、戦国時代ライフ必携の書と言えます。

 戦場での食事や水分補給、戦の途中で排泄したくなった時の対処方法、婚姻や養子や人質といった外交戦略、内応(敵と通じる)・離間(仲違いさせる)・流言(デマを言いふらす)といった工作、狼煙や使者や動物を使った情報伝達方法、討ち死にした遺体の処理の仕方、落ち武者狩りの恐ろしさ、切腹の始まりや作法、打ち取った敵方の首級を確認する首実検や首化粧などなど、いざという時に役立つであろう様々な情報も掲載されています。

 なお、わたしはいつも時代劇を見ていて、「敵味方入り乱れて接近戦をしている最中に間違えて味方を…ってことは無かったのだろうか?」とずっと疑問だったのですが、この本のP92〜93によると、ちゃんと目印を袖、刀、笠などにつけていたそうですね。

「印をなくしてしまった場合は合言葉を問われる。とっさに出ない場合は、味方でも討たれてしまうことも」
(単行本版P93から引用)

 ということですから、生き残るためにも日頃から記憶力を鍛えておきたいですね。

 「えーっとえーっとなんだったけ? ちょっと待って今思い出…ぁあぁああ゛!!」とならないように…。

 と、わたしはタイムマシンを持ってもいないのに、この本を終始ワクワクしながら読みました。

 拙者満足でござる。

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