ひさたか(hisataka)

小説・実用書・学術書などの書評を書いてます。たまに、やや意識高い系のエッセイも書きます…

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小説・実用書・学術書などの書評を書いてます。たまに、やや意識高い系のエッセイも書きます。Amazon.co.jpアソシエイトを利用してます。

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最近の記事

ひきこもりがニーチェの「超人」を目指すエッセイ 滝本竜彦「超人計画」感想

「超人計画」というタイトルの意味「超人計画」は、「NHKにようこそ!」の著者である滝本竜彦が書いたエッセイである。 著者は執筆時に新人作家で、2年もの間、小説が書けずに困っているところ、このエッセイの依頼が来たらしい。 このタイトルにある「超人」とは、哲学者ニーチェの言う「超人」のことだ。 ひきこもりの著者は、「超人」になりさえすれば、すべてが好転すると考える。 そして、「ツァラトゥストラ」をもう一度熟読することで「超人」となり、ひきこもり生活からの脱却を目指す。

    • ブレンターノ「天才・悪」感想

      天才について学びたくてブレンターノはドイツの哲学者で、フッサールの現象学に大きな影響を与えた。(と、本の表紙裏にそう書かれてあった。) ぶっちゃけ誰なのかはわからなかったのだが、「天才」について調べたかったので、とりあえず買って読んでみた。 「天才」と「悪」の2つの論文を収録している。 届いた本を開いてみて驚いたのは、旧漢字を使用していること。 帯には2018年春のリクエスト復刊と書かれている。 訳文がある程度古いことは覚悟して購入したものの、旧漢字にびびりちらかし

      • 「考えながら書く」という手法

        考えながら書きたいという想い最近、考えながら書くという手法に興味が出てきて、採用している。 「考えながら書く」の反対は、「考えてから書く」であり、自分はこの方法を使うことが多かった。 つまり、まず構成を考えて、それから執筆するという方法である。 しかし、この方法だと欠点があるのではないかと感じるようになってきた。 フットワークの重さと軽さまず、フットワークが重くなる。これは大問題だ。 というのも、自分はあまりアウトプットすることに積極的でない性格なのだ。 「考えて

        • 「純(百年文庫96)」感想

          3つの短編普段は、本を読み終わったら、twitterに感想をつぶやいている。 ひさたか@読書垢(@hisataka0)さん / X (twitter.com) けれど、今回は絶版してる本なので、わざわざ不特定多数の人の目に留まるTwitterで書くのもどうかと思い、noteに書くことにした。 載っている短編は、武者小路実篤「馬鹿一」、高村光太郎「山の雪」、宇野千代「八重山の雪」の3つ。 「馬鹿一」は最近になって別の本で出版されている。 「山の雪」は版権が切れていて青空

        ひきこもりがニーチェの「超人」を目指すエッセイ 滝本竜彦「超人計画」感想

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        • 本の感想・書評
          7本
        • エッセイ
          2本

        記事

          備えのための能力を育てる

          能力はいつか必要になる時が来る 正直、ぼくはあまりアウトプットが好きではない。面倒くさいし、何のためにやるんだろう、労力の無駄じゃないかと思っている。 でも、積み重ねた経験はいつか役に立つ時が来るかもしれなくて、 そういう時に備えが足りないと、後悔する。 なんでやっておかなかったんだろう、適当にでもいいからやっておけばよかったと、その時になって後悔する。 必要になってからでは遅い。そういう能力がある。 アウトプットは非効率的でもいい。やってさえいれば。だからもし、

          備えのための能力を育てる

          監視社会(ディストピア)を描くSF小説 ジョージ・オーウェル「1984年」感想・書評

          ジョージ・オーウェル最期の著作「1984年」は、「動物農場」で成功を収めたジョージ・オーウェル氏の最後の著作である。 巻末の解説によれば、「1984年」は、作者自身が失敗作になることを予見しながらも書かれたものであるらしい。 個人的な感想「1984年」は三部構成になっている。一部はSFとして楽しめるので、ここまではだれでも楽しめるだろう。二部もそれなりに良く、恋愛的な要素が絡んでくるので、SF的な要素はそこまで多くはないが楽しめた。なによりヒロインがよい。ヒロインは登場時

          監視社会(ディストピア)を描くSF小説 ジョージ・オーウェル「1984年」感想・書評

          自然のわくわくを体感するための道具2選「センス・オブ・ワンダー」感想・書評

          引き取った姪の息子との体験「センス・オブ・ワンダー」とは、「沈黙の春」で有名なレイチェル・カーソンによって執筆されました。 本書は、レイチェル・カーソンの遺稿のようなものです。本文に入る前の冒頭には、このようなことが書かれています。 ロジャーとは、5歳の時に母親を病気で失い、レイチェル・カーソンに引き取られた、姪の息子です。 本書は、このロジャーとレイチェルが、海辺や森で遊んだときのことをベースにして、語られています。 センス・オブ・ワンダーとはではまず、タイトルにある

          自然のわくわくを体感するための道具2選「センス・オブ・ワンダー」感想・書評

          哲学を図解・図説で読むならこれ一択!「哲学用語図鑑」感想・書評

          先延ばしになっていた哲学の勉強今年は哲学の勉強をするぞー!と意気込んでいたのですが、気がつけばもう9月。 さすがに、そろそろ着手しないと格好がつかないなと思い、本棚からこの本を引っ張り出してきました。 図説が多めで、取っつきやすい図が7割、文字が3割みたいな感じなので、抵抗感なく読めました。 絵が三頭身くらいで、かわいい感じなので、哲学のちょっと堅苦しい印象を和らげてくれて良かったです。 文章も良く、本格的文章も多すぎず、かといって少なすぎもせず、いい案配でした。 図が多

          哲学を図解・図説で読むならこれ一択!「哲学用語図鑑」感想・書評

          桑原武夫「文学入門」の世界近代小説50選は古いのか

          「文学入門」は72年前に発行桑原武夫「文学入門」が出版されたのは、1950年のことです。現在は2022年ですので、72年ほど前ということになります。 72年前と考えると相当前のことで、これだけで昔の本なんだなと感じられます。 私は生まれてもいないし、この文章を読んでくれている大半の人もきっと、そのはずです。 そこまで難解ではないこの本を読んでみて感じるのは、意外とわかりやすいことです。 文章も平易だし、中身も直感的で、それほど難しくない。 普通の新書と同じくらいの難易度に

          桑原武夫「文学入門」の世界近代小説50選は古いのか

          稲盛和夫「働き方」感想・書評

          稲盛和夫さんの訃報先日、京セラ・第二電電(現KDDI)の創業者である稲盛和夫さんが亡くなられたというニュースを目にしました。90歳で亡くなられたそうです。 そういえば以前に、稲森さんの本を買ったと思い出し、せっかくなので読んでみました。 「カミソリのような人」と「鈍な人」この本の珍しいところは、一見どんくさくて、仕事のできなそうな人のある一面を、誉めているところです。 人材には、「カミソリのような人」と「鈍な人」がいると言います。 カミソリのような人カミソリのような人は、

          稲盛和夫「働き方」感想・書評

          Twitterのやり方を調べてみた

          noteを始めたので、ついでにTwitterも始めてみた。 拡散するためには、Twitterも始める必要があるかなと思ったので。 だが、たまに見ていたTwitterも、ただ見るだけなのと、自分でもやるのとでは、大分違う印象を受ける。 というより、何からやればいいか分からない。 Twitterのアカウントを作っても、誰かがその使い方を懇切丁寧に教え込んでくれるわけでもない。 ただただ情報の渦の中に放り込まれた気分で、雑多な情報の中に、自分も埋もれている感覚しかない。 と

          Twitterのやり方を調べてみた

          noteの書き方について考えてみる

          noteを始めてみた。 ただ、何を書けばいいか分からないので、とりあえず、「noteの書き方」について書いてみたい。 noteというより、「記事の書き方」についてと言った方が、正確かもしれない。ただ、おそらく大体一緒なのではないかと予想する。どちらにせよ、通ずる部分はあるはずだ。 ちなみに、前に不定期で1~2年くらいブログを書いていたことはあるので、全くの初心者という訳ではない。 自分の考え自分の考えを書き出してみる。おそらくこれは、一番質の低い情報だ。 しかし、調

          noteの書き方について考えてみる