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本の感想・書評

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本の感想・書評の記事まとめです
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ひきこもりがニーチェの「超人」を目指すエッセイ 滝本竜彦「超人計画」感想

ひきこもりがニーチェの「超人」を目指すエッセイ 滝本竜彦「超人計画」感想



「超人計画」というタイトルの意味「超人計画」は、「NHKにようこそ!」の著者である滝本竜彦が書いたエッセイである。

著者は執筆時に新人作家で、2年もの間、小説が書けずに困っているところ、このエッセイの依頼が来たらしい。

このタイトルにある「超人」とは、哲学者ニーチェの言う「超人」のことだ。

ひきこもりの著者は、「超人」になりさえすれば、すべてが好転すると考える。
そして、「ツァラトゥスト

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「純(百年文庫96)」感想

「純(百年文庫96)」感想

3つの短編普段は、本を読み終わったら、twitterに感想をつぶやいている。

ひさたか@読書垢(@hisataka0)さん / X (twitter.com)

けれど、今回は絶版してる本なので、わざわざ不特定多数の人の目に留まるTwitterで書くのもどうかと思い、noteに書くことにした。

載っている短編は、武者小路実篤「馬鹿一」、高村光太郎「山の雪」、宇野千代「八重山の雪」の3つ。

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監視社会(ディストピア)を描くSF小説 ジョージ・オーウェル「1984年」感想・書評

監視社会(ディストピア)を描くSF小説 ジョージ・オーウェル「1984年」感想・書評

ジョージ・オーウェル最期の著作「1984年」は、「動物農場」で成功を収めたジョージ・オーウェル氏の最後の著作である。

巻末の解説によれば、「1984年」は、作者自身が失敗作になることを予見しながらも書かれたものであるらしい。

個人的な感想「1984年」は三部構成になっている。一部はSFとして楽しめるので、ここまではだれでも楽しめるだろう。二部もそれなりに良く、恋愛的な要素が絡んでくるので、SF

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自然のわくわくを体感するための道具2選「センス・オブ・ワンダー」感想・書評

自然のわくわくを体感するための道具2選「センス・オブ・ワンダー」感想・書評

引き取った姪の息子との体験「センス・オブ・ワンダー」とは、「沈黙の春」で有名なレイチェル・カーソンによって執筆されました。

本書は、レイチェル・カーソンの遺稿のようなものです。本文に入る前の冒頭には、このようなことが書かれています。

ロジャーとは、5歳の時に母親を病気で失い、レイチェル・カーソンに引き取られた、姪の息子です。
本書は、このロジャーとレイチェルが、海辺や森で遊んだときのことをベー

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哲学を図解・図説で読むならこれ一択!「哲学用語図鑑」感想・書評

哲学を図解・図説で読むならこれ一択!「哲学用語図鑑」感想・書評

先延ばしになっていた哲学の勉強今年は哲学の勉強をするぞー!と意気込んでいたのですが、気がつけばもう9月。
さすがに、そろそろ着手しないと格好がつかないなと思い、本棚からこの本を引っ張り出してきました。

図説が多めで、取っつきやすい図が7割、文字が3割みたいな感じなので、抵抗感なく読めました。
絵が三頭身くらいで、かわいい感じなので、哲学のちょっと堅苦しい印象を和らげてくれて良かったです。

文章

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桑原武夫「文学入門」の世界近代小説50選は古いのか

桑原武夫「文学入門」の世界近代小説50選は古いのか

「文学入門」は72年前に発行桑原武夫「文学入門」が出版されたのは、1950年のことです。現在は2022年ですので、72年ほど前ということになります。
72年前と考えると相当前のことで、これだけで昔の本なんだなと感じられます。
私は生まれてもいないし、この文章を読んでくれている大半の人もきっと、そのはずです。

そこまで難解ではないこの本を読んでみて感じるのは、意外とわかりやすいことです。
文章も

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稲盛和夫「働き方」感想・書評

稲盛和夫「働き方」感想・書評

稲盛和夫さんの訃報先日、京セラ・第二電電(現KDDI)の創業者である稲盛和夫さんが亡くなられたというニュースを目にしました。90歳で亡くなられたそうです。
そういえば以前に、稲森さんの本を買ったと思い出し、せっかくなので読んでみました。

「カミソリのような人」と「鈍な人」この本の珍しいところは、一見どんくさくて、仕事のできなそうな人のある一面を、誉めているところです。
人材には、「カミソリのよう

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