満州をめぐる人々

満州にロマンを見出だすのは、植民地支配の美化であり危険だ。

しかしながら、戦争の悲惨さを伝えるドキュメンタリーにおいてすら、満州はどこか郷愁をもって語られがちである。

きっと、そうせずにはいられない何かがあるのだろう。

 

満州の運営に関わった岸信介は、同国を「私の作品」と言った。

日帝の傀儡国家を、彼は芸術として捉えているらしい。

作家の安部公房は満州の生まれだ。

『砂の女』や「赤い繭」は、土地と人間の結びつきの恣意性と不可避性を描いたものと言える。

童話作家のあまんきみこも満州出身である。

『車のいろは空のいろ』シリーズの、人間と動物が会話し交流する物語を「五族協和」的なイメージと重ねるのは流石にこじつけすぎか。

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