【米国株式投資】アボット・ラボラトリーズ / ABT / 予想配当利回り1.83% / 中立 / 配当王:最新の23年4Q決算と今後の株価見通し(Abbott Laboratories)
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本日のアナリストは、🇨🇾キプロスを拠点に活動している、イアニス・ゾルンパノス氏です。
自己紹介
ゾルンパノス氏は、詳細なビジネス分析を通じてデューデリジェンス・プロセスを向上させることを目的とした株式市場調査プラットフォーム、「Yiazou Capital Research」の創設者。
以前はDeloitteとKPMGで外部監査と内部監査、コンサルティング業務に従事。公認会計士資格を保有し、ACCAグローバルのフェロー・メンバー。
また、英国の一流ビジネススクールで学士号と修士号を取得。
最新のレポート紹介
アボット・ラボラトリーズ / ABT / 予想配当利回り1.83% / 中立 / 配当王:最新の23年4Q決算と今後の株価見通し(Abbott Laboratories)
Ticker: ABT / 3310文字 / 所要時間7分程度 / 中立
サマリー
アボット・ラボラトリーズ(ABT:予想配当利回り1.83%)は、心臓血管用および糖尿病用機器、診断機器および検査キット等を製造・販売しているヘルスケア企業である。
同社は2024年1月24日に23年度第4四半期決算を発表している。
また、同社は過去52年間連続して増配を実施しており、米国株配当王の一角を担っている。
アボット・ラボラトリーズの概要
セクター:医療機器
現在の株価:120ドル
時価総額:2,098億2,000万ドル
一株当たり本質的価値:105.68ドル
安全マージン:-14.41%
過去5年間の配当成長率:13.30%
配当落ち日:2024年4月12日
配当支払い日:2024年5月15日
予想配当利回り:1.83%
過去5年間の売上高成長率:7.70%
過去10年間の売上高成長率:7.60%
アボット・ラボラトリーズ(ABT)は、心臓血管および糖尿病治療機器、成人および小児用栄養製品、診断機器および検査キット、ブランドジェネリック医薬品を製造・販売しているヘルスケア企業である。
製品には、ペースメーカー、植え込み型除細動器、神経調節装置、冠動脈ステント、カテーテル、乳児用粉ミルク、成人用栄養剤、持続グルコースモニター、免疫測定器およびPOC診断装置等があり、売上の約60%を米国外で得ている。
さらに、同社は過去52年間連続して増配を実施しており、米国株配当王の一角を担っている。
アボット・ラボラトリーズの収益と成長に関して
アボット・ラボラトリーズ(ABT)の前四半期の業績は、EPS(23年第4四半期:1.19 / 第3四半期:1.14 / 第2四半期:1.08 / 第1四半期:1.03)、1株当たり売上高ともに前期比で増加し、プラス傾向を示している。
そして、希薄化後EPSも改善を示しており、強い収益成長の可能性を示している。
加えて、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は26.10%で、過去10年間の年平均成長率は17.90%となっており、着実な成長を見せていることが分かる。
また、今後10年間の業界の成長予測を考慮すると、同社は良好な市場環境から恩恵を受けるポジションにあるようにも見える。
さらに、財務レバレッジの歴史的な水準は、同社が負債水準を効果的に管理し、さらなる成長の余地を提供していることを示唆している。
以上を踏まえると、安定した利益成長と強固な財務体質により、アボット・ラボラトリーズは上昇軌道を継続し、投資家に価値を提供する可能性を秘めていると言える。
アボット・ラボラトリーズの配当に関して
アボット・ラボラトリーズ(ABT)は、過去5年間一貫した配当成長を示しており、1株当たりの5年間の配当成長率は13.30%、3年間の配当成長率は12.30%となっている。
同社のEBITDA純有利子負債倍率は1.48と健全な水準にあり、配当支払いを維持できる強固な財務体質を示している。
そして、現在、同社の予想配当利回りは1.83%となっている。
最近の四半期では、同社は0.55ドルの一株当たり配当金(DPS)を発表し、定期的な配当の支払いを続けている。
同社は52年間にわたる安定した配当の歴史を持ち、且つ、配当額は長期にわたり着実に増加しており、米国株配当王の一角を担っている。
同社の配当実績をセクターと比較すると、同社の配当成長率は平均を上回っており、配当を通じて株主に価値を還元する同社の姿勢を反映している。
配当成長の歴史を持つ安定した配当銘柄を探している投資家にとって、アボット・ラボラトリーズはヘルスケア・セクターにおける魅力的な投資対象であろう。
予想配当利回り:1.83%
配当性向:49%
配当カバレッジ・レシオ:1.6
過去5年間の配当成長率: 13.30%
EBITDA純有利子負債倍率:1.48
※2013年1月1日、同社は研究開発型医薬品事業をアッヴィ(ABBV)として知られる新会社に分離している 。 そのため、上の添付画像にあるように、1株当たりの配当金額は株式分割を反映して調整されている。
アボット・ラボラトリーズのバリュエーションに関して
アボット・ラボラトリーズ(ABT)の現在の株価は120.92ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である105.68ドルに対して割高で取引されている。
また、実績PERは37.09となっており、株価が過去の平均と比べて割高である可能性を示している。
加えて、株価売上高倍率は5.26となっており、業界平均より高く、投資家が同社の売上高にプレミアムを支払っていることを示唆している。
さらに、EV/EBITDAレシオも20.43と業界平均を上回っており、EBITDAに基づくと株価が割高になっている可能性を示している。
そして、PEGレシオは2.53となっており、理想値である1より高く、株価が割高である可能性をさらに示している。
最後に、同社のバリュエーションは5年平均、10年平均も上回っており、投資家が同社を投資対象として検討する際には、これらのバリュエーション水準には注意が必要である。
アボット・ラボラトリーズのリスクとリターンに関して
アボット・ラボラトリーズ(ABT)のリスク評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたい。
まずマイナス面では、売上総利益率は年平均-1.2%と長期的に低下している。
また、インサイダー(内部関係者)による同社株式の売却が活発で、過去3ヶ月で9件の売却が確認されており、合計で74,459株が売却されている。
さらに、1株当たり売上高は減少しており、株価は2年ぶりの高値水準に近い。
株価売上高倍率も2年ぶりの高水準となる5.2倍で、潜在的な割高感を示している。
しかし、一方でポジティブな指標もある。
BeneishのMスコアは-2.56で、基準値の-1.78を下回っており、同社が利益操作を行っている可能性が低いことを示している。
また、営業利益率は拡大しており、これは一般的にプラスの兆候である。
さらに、アルトマンZスコアは5.35と高く、同社が財務的に安定していることを示している。
全体として、いくつか注意すべき兆候はあるものの、ポジティブな指標はアボット・ラボラトリーズがまだ成長する可能性があることを示唆しているようにも見える。
アボット・ラボラトリーズのインサイダー(内部関係者)による売買に関して
アボット・ラボラトリーズ(ABT)は過去12ヵ月間、インサイダーによる同社株式の買い付けがなかった一方で、15件の売却を確認している。
ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率はわずかに0.88%である点にはご留意いただきたい。
一方、機関投資家の保有比率は56.57%と比較的高く、機関投資家の存在感がより大きいことを示している。
これは、プロの投資家が同社に対してより前向きな見通しを持っていることを示唆している可能性があり、内部関係者の慎重なセンチメントとバランスを取っている可能性がある。
アボット・ラボラトリーズの流動性に関して
アボット・ラボラトリーズ(ABT)の直近営業日の1日の出来高は4,142,673株で、過去2ヶ月の1日平均出来高は5,234,701株となっており、これは、同社株式の取引が比較的安定していることを示している。
さらに、同社のダークプール指数(DPI)は25.0%で、 取引のかなりの部分が公開取引所ではなくダークプールで行われていることを示唆している。
※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
ダーク・プールでの取引は広範な市場に即座に見えるものではないため、これは株価の価格発見と流動性に影響を与える可能性がある。
全体として、アボット・ラボラトリーズの取引量とDPIは、流動性が中程度であり、ダークプール経由の取引による値動きへの影響の可能性を示していると言える。
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