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31.ひと区切りついたのでイタリア滞在

イベントが終わったのが11月1日、そして11月11日にはカターニア空港へ降り立っています。
あまりの忙しさにブチ切れて、逃避するため航空券を買い宿の手配をしたのだと思われます。
この滞在をとおして先のことを考え、ある決断をしました。


懐かしい人たちとの再会

カターニア到着時間が遅かったので、この日はタオルミーナへの高速バスが終わっていました。
それで、カターニアに宿を取り1泊して翌朝、タオルミーナへ移動しています。

到着した夜のホテルの中庭。ブーゲンビリアとレモンに癒される
ホテルの朝ごはんブッフェ。相変わらず甘いものだらけ

そして今回は女料理人のところではなく、別の海沿いのアパートに滞在しました。
ダイニングキッチンと寝室があり、窓からも海が正面に見えるという絶好のロケーションです。

窓からの眺め。まさに波音を枕に眠る環境

まずはタオルミーナで出会った人たちとの再会です。
お寿司を作っていた魚屋さんファミリーはもちろんのこと、学校の先生たち、ロンドン女子やシチリア女子にエディーコラのシチリア男子。

もちろん部屋を借りていた女料理人ファミリーとも再会しました。
家族そろって待っていてくれて、みんなで一緒にランチをして思い出話で盛り上がる楽しい時間。

1年ちょっとぶりですが、この間に私はさまざまな経験をしていました。
東京で起こったあれこれを伝えるだけで、みんな驚きます。
まるで流れている時間のスピードが違うような、私は日本ではなく未来から来たかのような、そんな感覚がありました。

シチリアのトモコさん

今回のアパートは、タオルミーナで出会ったトモコさんという日本女性の紹介で決めました。
私の留学中に、例のB&Bのオーナーを介して知り合ったのです。
当時、シチリア男性と結婚してタオルミーナに移住したばかりだったと記憶しています。
B&Bの件で私が困っていたとき相談に乗ってくれて本当に心強かったです。

この時の滞在では彼女の家の目の前にあるアパートを取り、ほとんど毎日一緒に過ごしました。
そして、クルマで色々な所へ連れて行ってくれたのですが、彼女は将来的にタオルミーナステイの個人旅行のお手伝いをしたいと思っていたのです。
私はちょうどその体験をさせてもらうような形になりました。

崖の上に建つ黒い聖母マリア伝説の残るティンダリの教会
崖から転落した子どもを救うため聖母マリアが出現させたと言われている砂州
ティンダリで食べた絶品カツオのグリル

日本のガイドブックには載っていないようなまだよく知られていない名所へ連れて行ってくれました。
タオルミーナからちょっと足を伸ばすだけでステキな場所がいっぱいあるのです。

いま私がブラッチャーノでやっていることは、間違いなくこの時の体験がベースになっています。
そしてシチリアのトモコさんとはこのあと一緒にシチリア旅のプランニングをすることになるのですが、その話はまた改めて。

後戻りはできない

タオルミーナに滞在したのはちょうど1ヵ月でした。
仕事を持ってきていたので完全な休暇ではなく今風にいうと海外ノマドですね。

タオルミーナのアパートでイベント報告書を作成中。窓の向こうはヤシの木と海

イベント準備中のこの1年、スローフードでの仕事をこのまま続けていては昔に戻ってしまうのではないかと思いました。
せっかく会社を辞めてイタリアにまで行ったのに、思い切って人生の舵をぜんぜん別の方向へ切ったのに、会社員時代と同じような生活に戻ってしまっています。

タオルミーナではまるで時間が止まっているかのように何も変わっていませんでした。
この1年のことを話しても、私のほうは多くの人と出会い一緒に仕事をしていたけれど、彼らはずっとここにとどまりいつもの生活を続けていただけです。

どちらがいいのか分かりません。
もしも若くてそんなに経験がなかったら、こういう暮らしぶりは退屈に感じるだけでしょう。
でもアラフォーの私には、タオルミーナの暮らしのほうがしっくり来ました。
多くの人との新しい出会いより、少ない人との関係を深めていくほうが大事なことのように思えたのです。

そして、このシチリア滞在の間にNPO法人を辞める決心を固めました。
もう後戻りはしたくありません。

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