日本遺産プロジェクト

2016年から放送の紀行番組シリーズ『日本遺産』と『彩〜日本遺産』を制作した(株)TB…

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2016年から放送の紀行番組シリーズ『日本遺産』と『彩〜日本遺産』を制作した(株)TBSスパークルのプロデューサー河野英輔が運営するページです。70以上の日本遺産を美しい4K映像の作品に仕上げてきた経験をもとに、日本遺産の魅力を制作者目線から紹介する記事をお届けします

最近の記事

#日本遺産 被災地に生き続ける700年の文化 ―テレビ屋が体験した日本遺産【5】 人吉球磨・熊本

 今回は熊本県の日本遺産第一号、「相良700年が生んだ保守と進取の文化 ~ 日本でもっとも豊かな隠れ里 ― 人吉球磨 ~」です。長いので「人吉球磨」とだけ自分は言っています。  熊本県南部の球磨地方一帯は、江戸時代までは人吉藩相良家の所領でした。人吉市含む球磨地方の10市町村が日本遺産のある場所です。  人吉を鉄路で目指すとなれば、雄大な球磨川の峡谷を走るJR肥薩線がありました。しかし残念ながら、令和2年7月の豪雨災害の傷が未だ癒えず、同路線では現在も八代〜人吉〜吉松

    • ご視聴有り難うございました!年内に次の機会を設けます!

      2月5日(月)から、1週間の延長を含め計3週間公開してきました、映像紀行『日本遺産』ですが、ついさきほど公開終了となりました。 SNS動画としては瞬発的な訴求力が決して高いとは言えない本映像作品でしたが、その割に非常に多くの方の目に触れたのではないかと感謝しております。 1本しか見ていないと言う方でも、59作すべてをご覧になった方でもご意見ご感想、大歓迎です。ご覧になった日本遺産の名称と、そのご意見ご感想をいただければ、該当する日本遺産地域の協議会窓口にそのままお伝えしま

      • 「日本遺産を知って何の得があるん?」と思ったときに見るといい動画

        挑発的なタイトルを書きましたが、この「見るといい」というのは現在期間限定公開中の映像紀行『日本遺産』。御託はさておきで見て頂けるなら、すぐにこちらのチャンネルへどうぞ。 せっかくだから御託を聞いてやろう、と思われる方は続けてお読みください。 見出しの「 」内のセリフは、去る2月10日㈯に東京銀座の観世能楽堂で開かれた「日本遺産の日記念シンポジウム」のトークショーに出演されたNHK『ブラタモリ』のチーフプロデューサー氏がおっしゃったもの。 日本遺産の魅力を多角的に語り合う企

        • 映像紀行『日本遺産』公開期間延長のお知らせと、これまでの人気順位中間発表

           2月5日(月)から公開中の映像紀行『日本遺産』ですが、このたび文化庁の公式SNSでも紹介されました!より多くの方の目に届くよう、公開期間を令和6年2月25日(日)24時まで延長します!  そして以下に、ここまでの人気順位を中間発表します!(クリック数、視聴時間など総合的に分析された順位ですので、再生回数とは必ずしもリンクしません。それぞれの再生回数は、公式Youtubeでご確認を!) 2月14日現在の人気順位(1位〜59位)第1位 島根県 「神々や鬼たちが躍動する神話の

        #日本遺産 被災地に生き続ける700年の文化 ―テレビ屋が体験した日本遺産【5】 人吉球磨・熊本

          大型シリーズ番組『日本遺産』     期間限定公開はこちらから!

          公開ラインアップ(全58ストーリー)は以下の通りです※2月5日(月)0:00以降、下記のタイトルをクリックすると再生ページにジャンプします。 ※どなたでも無料でご覧になれます 北海道の日本遺産 北海道 「江差の五月は江戸にもない ─ニシンの繁栄が息づく町─」(認定No.038) 北海道 「カムイと共に生きる上川アイヌ 〜大雪山のふところに伝承される神々の世界〜」(認定No.055) 東北地方の日本遺産 宮城県 「政宗が育んだ“伊達”な文化」(認定No.019) 福島県 

          大型シリーズ番組『日本遺産』     期間限定公開はこちらから!

          日本遺産を描いた唯一の大型シリーズ番組『日本遺産』 期間限定公開のお知らせ

          毎年2月13日は国が定める「日本遺産の日」です。 文化庁は、シンポジウムを中心とした記念イベントの開催を発表しました。 日本遺産ポータルサイト 「日本遺産の日」イベント開催のお知らせ このイベント開催記念として、日本遺産ストーリーを初めて網羅的に映像化してきた番組シリーズ『日本遺産』を2週間限定で一挙公開します! 公開期間は、2月5日(月)0:00〜2月18日(日)24:00 あしかけ6年に渡って4K映像で撮影した美しい映像で、日本遺産の58の日本遺産ストーリーが体験で

          日本遺産を描いた唯一の大型シリーズ番組『日本遺産』 期間限定公開のお知らせ

          #日本遺産 テレビ屋が体験した日本遺産【3】 加賀前田家ゆかりの町民文化 富山・高岡

           学生時代の昔に何度か富山県に行きました。行くと言っても長野県大町市から立山連峰を越える、黒部立山アルペンルートを利用しての道行きです。主目的は立山でのスキー夏合宿で、合宿を終えると、決まって富山市のお寿司屋さんに寄って、新潟県直江津経由上野行きの列車で都心に戻るという行程でした。土産には必ず「ますのすし」。  その頃新幹線なんかありません。合宿抜きにまっすぐ移動したとしてもあしかけ三日かかる工程です。 自分にとっては、「とにかくすっごい遠い」、それが富山でした。2000

          #日本遺産 テレビ屋が体験した日本遺産【3】 加賀前田家ゆかりの町民文化 富山・高岡

          #日本遺産 テレビ屋が体験した日本遺産【2】 かかあ天下 群馬

          「かかあ天下って遺産なの?」と、疑問に感じると思います。2015年に最初に認定された日本遺産のひとつです。 正式名称は、 「かかあ天下 ―ぐんまの絹物語―」。(クリックするとHPにとびます) 「かかあ天下」という言葉は、関東では何気ない日常会話の中によく聞かれた言葉だったように記憶します。 「おめえ群馬の出だって?やっぱかかあ天下か?」 なんて。  養蚕業が盛んだった群馬では、夫よりも妻の方が稼ぎのいい家庭が多かったことから、上州名物を指す言葉として定着したものだそう

          #日本遺産 テレビ屋が体験した日本遺産【2】 かかあ天下 群馬

          #日本遺産 日本遺産ってなぜ必要? 勝手に日本遺産学【3】

           東京八王子市が満を持して開催した日本遺産フェスティバルが終了しました。メイン会場の東京たま未来メッセには、全国の日本遺産のPRブースがずらり並んで特産品の販売をしたり、伝統工芸の体験を提供したり、あの手この手で日本遺産地域のアピールをしていました。八王子は新宿のような首都ど真ん中ではありませんが、約58万の人口を抱える大都市です。会場には多くの市民がつめかけ、誰もが楽しげに見物をしているようでした。  ブース出展している中には、動画制作の関係で知り合った方が何人もいました

          #日本遺産 日本遺産ってなぜ必要? 勝手に日本遺産学【3】

          #日本遺産 結局なんのためにある? 勝手に日本遺産学【2】

          ※文末に大事なお知らせがあります!  著者がチーフプロデューサーとして制作担当した番組『日本遺産』は2016年11月に放送がスタート。折しもその頃、アメリカ大統領選でのドナルド・トランプ氏の勝利に世界中が驚いていました。グローバリズムに反抗するように「America First」を叫んでいたトランプ氏。その彼が大統領になることで、日本にもきっと大きな影響があると、少々の不安が世間に漂っていたのではいでしょうか。  「アメリカ・ファーストなら、こっちはジャパン・ファーストだ

          #日本遺産 結局なんのためにある? 勝手に日本遺産学【2】

          #日本遺産 テレビ屋が体験した日本遺産 【1】木曽路・長野県

          正式名:「木曽路はすべて山の中 〜山を守り 山に生きる〜」(長野県・岐阜県) 公式ページはこちらから  このタイトルは何?  と、思われた方は島崎藤村をご存じないですね。  島崎藤村と言えば、故郷を舞台にした小説「夜明け前」。  冒頭はまさにこうです。  「木曽路はすべて山の中である。」  近代日本文学の代表作からの引用ではありますが、今はもう90年も前の小説です。冒頭の書き出しまでは知らない人が多いかもしれません。  しかしその実筆者は、タイトルは馬鹿に出来ないと

          #日本遺産 テレビ屋が体験した日本遺産 【1】木曽路・長野県

          #日本遺産 テレビ屋が体験した日本遺産 【0】はじめに

           みなさま、こんにちは、こんばんは。  「テレビ屋が体験した日本遺産」と題した記事をこれから順次投稿していきます。  日本遺産を総合的に紹介する資料となると文化庁公式ページ以外では限られたものしかないように思います。見かけたとしても、その内容は文化庁や各日本遺産協議会の示す内容に沿う形が多い印象があります。  これからこのお題の誌面では、日本遺産運営側からの視点ではなく、第三者、つまり、日本遺産の映像制作の現場で見て、聞いて、調べて、その知見をもとに咀嚼した、見たことのな

          #日本遺産 テレビ屋が体験した日本遺産 【0】はじめに

          #日本遺産 長い、長い日本遺産のお名前 勝手に日本遺産学【1】

          さて、前回筆者が担当した番組の成り立ちをお届けしました。ここからは日本遺産そのものの話題に入っていきます。少々ひんしゅくを買いかねない内容もあったりしますが、実はそれも日本遺産ならではの楽しみ方だったりしますので覚悟をもってお伝えします。(※太字から公式HPなどにジャンプできます。) まずは、2016年度放送分のラインアップを再度添付します。 放送した日本遺産のタイトルを見てみましょう。  上記PDFの表には日本遺産名(正式名)の列がありますが、それは番組でもエピソードご

          #日本遺産 長い、長い日本遺産のお名前 勝手に日本遺産学【1】

          #日本遺産 『日本遺産』という番組があったことご存じ? 番組紹介その2

           2015年4月、最初の日本遺産認定が発表されます。    「なんと、ほんとに日本遺産をやるんだ」    新聞紙上に書かれていた18件のタイトルの中には世界遺産っぽい名前がいくつもありました。「日本遺産とは何か?」と記事にはちゃんと書いてあったのですが、それらタイトルをみただけで筆者は日本遺産とは「世界遺産の日本版」のようなものと完璧に勘違いしてしまいます。しかし、読み進むうち大きな違和感を感じることになります。(※下記記事は当時目にしたものではありませんが、だいたい似た内容

          #日本遺産 『日本遺産』という番組があったことご存じ? 番組紹介その2

          #日本遺産 『日本遺産』という番組があったことご存じ? 番組紹介その1

           筆者は(株)TBSスパークルの所属です。社のページを見ていただければわかりますが、制作を請け負う長寿番組に『世界遺産』があります。筆者は、1996年の番組開始当初からスタッフとして参加し、世界を飛び回りました。ディレクターとして足かけ19年、制作会社プロデューサーとしては地上波番組で3年、BSの特別編で7年にわたり従事しました。その後、縁あって日本遺産に関わることになりますが、実は「日本遺産」という観念は、その制度開始の2015年よりもずっと前に頭をもたげていました。  

          #日本遺産 『日本遺産』という番組があったことご存じ? 番組紹介その1

          #日本遺産 日本遺産プロジェクト管理者自己紹介

          「日本遺産」はなぜ、「世界遺産」のように認知されないの? そんな素朴な疑問や、自身で体感した面白さなど、日本遺産のあれこれをお伝えしようとするnoteです。 初めまして、日本遺産プロジェクト管理人・河野英輔です。(株)TBSスパークルで映像制作の仕事に従事しています。決して何かの専門家ではありません。三十路を迎えた頃からなぜか世界遺産の取材担当として約20年従事、その後“遺産つながり”で文化庁の日本遺産の取材番組の制作に携わり、出不精人格だったくせに、旅することが仕事といっ

          #日本遺産 日本遺産プロジェクト管理者自己紹介