マガジンのカバー画像

詩 作品

27
自分が今までに書いた詩作品をまとめています。
運営しているクリエイター

記事一覧

Summer

拝啓
込み上げる 鳴り止まぬ 崩れる顔を眺めてる
机の奥には 君が過ごした ちっぽけだけど明るい記憶
犬が笑い 川に流す 大切な物の燃えカスを
取り払って 振り払って 目に沁みる あの夏を
走れ
走れ
夏を

捨てきれてない訳じゃ無い 指にこびり付いた残り香が
逃げろ
逃げろ

夏を思い出して水を飲んで乾く喉を忘れよう

そこら中に倒れる人の丸まる背中を見るお前がいる
透明な血を流す彼らに指を刺さ

もっとみる

さみしさ

孤独と優しい光の境目にうずくまる
生暖かい西からの風が、トンネルを通って
私のまるまった背中を撫でてから
トンネルを抜けて岬の潮風と一緒になります
彼女はいつもぼくに背中を向けて笑っている
光の前に立ち眩しい光線のフレアに輪郭をぼやけさせて
彼女の含まれた光の粒子を
ぼくは浴びる
甘酸っぱいのとミルクの香りがして
俯いた私が俯いたままで
誰も忘れて
トコトコと歩く
トコトコと歩く
暗い所は水溜まり

もっとみる

TAKE

TAKE
 IF U  IF U
[ステンレス製] (の) [スリット] (を)  [滑る]
 U
[チョーク] (を) [取る]
 I USE
[紐] (を) [引っ張る]
 LIGHTS
[点く]
 BREATH
[唇] (を) [つまむ]
 SMILE
[銀色] (の) [指輪] (が) [   ]
 REFLEX / ION
[腕] (を) [まくる]
 I
[ノート] (を) [開く]

もっとみる

厚揚げ

肉が食いたい。
野菜では得られない満足感を。
私が食べたいのは肉だ。

しかし肉が食えない。
私は痩せなければいけないから。

私はすっかり脂の誘惑に負けてしまっていたのだ。
焼けば甘く煮れば旨い。
私はすっかり肉の味に捕らわれていたのだ。

痩せねば。つまり肉を食うなという事である。
肉のない食事なんて。
野菜炒めは肉料理だし、
カレーにシチューも肉料理。
肉じゃがは肉が主役だし
サラダが皿の上

もっとみる

創作の風景

 泳ぐのは好きですか?
 走るのは好きですか。
 じゃあ食べるのは好きですか。
 草原に寝そべって目を閉じるのは好きですか?

 きっと風の音がする筈ですね。
 風の音は、まず芝生の草が揺れて擦れるカサカサという音
 次に少し強い風が木の枝を揺らすザラザラという音。
 そしてもっと強い風が木の幹を揺さぶるミシミシという音。

 目を開けると、さっきから聞いていた音に色が付きますよね。
 空の青、芝

もっとみる

においと口紅

君はもう寝るべきなんだ。じゃなきゃ俺が寝れないんだよ。

君の肌の匂いなら永遠に嗅いでいられる。ほら、君はすぐ俺の鼻を鎖骨の辺りに押し付けてくるだろ。だからもう君の臭いを覚えちゃったのさ。君は甘い粉ミルクみたいな香りがするんだよ。気付いてた?石鹸の香りかな。僕は好きだよ。

君の臭いならなんだって嗅ぎ分けてみせるよ。本当に。ほら君はそうやってすぐ顔に手を押しつけてくるだろ。君の指の股からは食器用洗

もっとみる

詩の書き方

「いい詩」の書き方

まず第一に、心から自分を晒せるようなお友達は1人もいてはいけません。

親だけは信頼する事にして、あとは画面か額縁の中の美女の絵にばかり気持ちを膨らませましょう。

そうすると、ふと喉が渇いたり、トイレに行きたくなったり、散歩に行きたくなったりして、席から立ち上がって部屋の中を歩き回るうちに、すぐ自分が一人ぼっちだという事に気付けます。

極上のワインを醸造するワイナリーがカ

もっとみる

スマイリング

大雨を土砂降りって言うと風情が消えたりする。
ちょうどこの湿気た煙草みたいに。
鉄男とアイアンマンじゃまるっきり別人だろ?
拳銃をわざわざ9mmって言ってみるんだ。
光は切先の比喩だろ?
夜は切り落とされたみたいに明けやがったんだ。
ニュアンスって気色悪いと思わない?
思ってる事は同じなのにちょっと言い方が違うだけでカリカリ怒られたりするんだぜ。
ほんとクソッタレだよな。
まぁ、怒らせるような事言

もっとみる
ジャジーナイト

ジャジーナイト

ぽろんポロンとなるピアノを
音 音 音を弾ませる
弾ませるドラムのかすれたスネア
叩くというよりこすり合わせたような音はどこか髭の老人が分厚い手を暖炉の前ですって暖を取るような近さ
私の耳にいつからかカリカリと響いていたレコード針のフアントムが
居心地の良い回転盤の砂丘を見つけたのだと理解した 納得した
コルクのコースターに沁み込む水滴が暗示するのはぬるいアイスコーヒー
バニラアイスのジュピター

もっとみる

願望

都合のいい事なんて 1つも存在しない

1つも 1つも 1つも 1つも

現実を見ろ

見ろ 見ろ 見ろ 見ろ 見ろ

私たちは夢の中

浮かんで 沈んで 泡を吐いた

開けたマナコに水鏡

揺れて 歪んで 映す 写した

現実を

夢の霧を肺いっぱいに吸い込んだ

中毒者

砂糖 脂肪 セックス セックス

唇に塗ったのは口紅か豚の血か

手始 め に ケー キを 切り

もっとみる

自由研究の小豆の波音とASMR

Youtubeで波の音を聞いた。
それは砂浜の音では無かった。
私はASMR動画を聞いていた。
それはマイクの拾った単なるノイズだった。
ザラザラと心地よく鼓膜をくすぐる白い勘違いだった。
しかし、私は波の音を聞いた。

これは初めての事ではないと思い出した。
 それは幼い日の9月の始め、
 毎年クラスで誰か1人は提出する
 小豆をザルに入れただけの自由研究だった
と。
あれは驚くくらい波の音だ

もっとみる

流暢なセンテンス

 流暢なセンテンス。流暢な、センテンス。舐めて、咀嚼して、飲み込む。流暢な食事。
 舐めて、無くなる。飴玉はどこに消える。まるでこの世から、最初から無かったみたい。
 飴玉はどこ?飴玉はどこ?私の口の中にだけ残ったこの甘い後味の行方はどこに続くの?目を閉じてるみたい。飴玉を舐めることよ。口の中に放り込んで、その後は、一度も見てないわ。飴玉はどこ?口の中はどんどん甘くなるわ。でもどこを探しても飴玉は

もっとみる

適当な言葉

 あと5分で寝る。5分で寝れるのか。寝るって言うとだいたいの人は布団に潜る事を言うけれど、自分が今まで生きてきてずっとこの寝るっていう行為に苦手意識を感じているのは正に他でもないこの「布団に入れば取り敢えず寝る事になる」っていう意識であって、実際の所生理的な睡眠は布団に入ってからほどなくして脳みそが睡眠状態に入る事を言う訳だから、要はあの布団に潜る行為という「寝る」と実際的な「睡眠」というものの間

もっとみる

パセリ

パセパセパセリ パセパセリ パセパセ
包丁トントン パセパセリ
パセリが パ と セリ になっちゃった
パパパパ セリセリ パセパセリ
セリセリ
 
パラパラパラリ パラパラリ パセリセリ
イタリアの香り パラパラリ
パスタが パパっと できあがり
パパパパ パスタを ペロペロリ
パセリが わたしの とっておき