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生きる喜び

 人間一生誠にわずかの事なり。すいた事をして暮らすべきなり。夢の間の世の中に、すかぬ事ばかりして苦を見て暮すはおろかなることなり。

葉隠 聞書二 八五

 人は自己の存在に意義を感じ、充実感に満たされているとき、幸福を実感する。「生きがい」を感じる瞬間でもある。

 自分の持ち味、能力が存分に発揮され、それが周囲に十分に評価されることによって「生きがい」は生まれるものならば、打ち込んで悔いの残らない道をまず選ぶことである。

 またたく間に過ぎ去ってしまう人生の、限りある命を燃焼しきることこそ生きたあかしでもある。

 常朝は、ともすれば若者が好きなことだけして、自分の意に添わないことには一切振り向かないという浮薄な考えでこの言葉を解釈してしまうことの無いように、続けて次のような言葉を付け加えている。

 この事は、悪しく聞いては害になる事故、若き衆などへついに語らぬ奥の手なり。


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