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九尾が風に靡くとき



⚠️今回は長文投稿となります





青き鱗
西の海まで
波うつ時
(青龍)

白き足跡
流れゆく雲に
残しては
(白虎)

秋の息を
背に乗せて
冬まで駆ける
(白虎)

雪積もる
麓まで
脚進めれば
(玄武)

墨色のなか
月冴ゆる音
(玄武)

こだまする

四季(四神)の
こえ。

※詩(poem)の語り手は朱雀としています。

by  kabocya






✍️一言メモ
・青龍の方角は東・木属性・季節は春
・白虎の方角は西・金属性・季節は秋
・玄武の方角は北・水属性・季節は冬
・朱雀の方角は南・火属性・季節は夏


上記の詩(poem)では個々の属性や季節感を意識をして創作してみました。
漫画やアニメが活躍の場を広げる昨今におきまして、こちらの四神の名前を目にする機会も増えたように感じます。


今回は、この四神と妖狐である九尾に関しまして掘ってみたいと思います。


九尾の爪痕




九尾が眠る殺生石
殺生石とは、栃木県那須郡那須町の那須湯本温泉付近に存在する溶岩を指しています。
その殺生石付近では今でも僅かながら有毒な火山ガスが噴出しているようです。


殺生石の言い伝え
平安時代末期、鳥上皇の寵姫「玉藻前(たまものまえ)」に化けていた妖怪の狐(妖狐)。多くの人々の命を奪い、人の世を終わらせようとしていました。陰陽師により姿を見破られた九尾の狐は那須の地で退治されるものの、今度は姿を石に変え毒を放ち、多くの村人の命を奪い続けていたと書物にも残されています。


殺生石の様子を俳句に残した俳諧師
"石の毒気いまだ滅びず、蜂蝶のたぐひ真砂の色の見えぬほど重なり死す"

上記の作品は、江戸時代前期の俳諧師であり、俳諧 (はいかい)の分野を代表する三大文豪として評価されている"奥の細道"で有名な松尾芭蕉の作品ですが、殺生石を訪れた際に詠んだとされています。


九本の尾っぽであるワケ




妖狐であるの九尾は何故"人の世"を終わらせようと複数の尾っぽの姿をして地上に舞い降りたのでしょうか、そう疑問が生まれますよね。
あくまでも私個人の思想ですが、"九"と表現された数字の意味合いと繋がっているように考えています。



仏教おいての"九"という存在
法然を宗祖とする日本の仏教の教えの一つでもあります極楽浄土(ごくらくじょうど)に渡るのに、この世で暮らした生活の様子から九種類の道筋を決められることを意味しているそうです。


全人口の86%は無宗教であり、約5%は仏教徒の方がいらっしゃるベトナムの国。今回はそちらのベトナムからも着想を広げて仮説をたててみたいと思います。


ベトナムで幸運を最も呼び込む数字は、九だそうです。これは、陰陽五行説の""と東西南北"四"を足すと"九"になり、森羅万象を得ることができるからという説と、漢越語の九の発音(CUUクー)が、永遠を意味する「久/CUUクー」に似ていて縁起が良いという中国の影響を受けた説、二つの説があるように覚えています。


そうなんです。
上記の事柄をふまえ九尾は人の世(人間世界)を終わらせた後、一人ひとりが迷わずに歩めるように九つの道筋を建てていたように私個人では推測しています。
それではそれらの道標は、どんな世界観だったのでしょうか。


九つの選択




観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)によりますと、極楽浄土は"非の打ちどころがない善人は臨終のとき、仏が迎えにきて即座に極楽に往生(おうじょう)できる様子"を指しています。


※ 観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)とは、大乗仏教の経典の一つです。
別名観無量寿仏経であったり、無量寿仏観経や無量寿観経とも言われ観経と略称されています。
今のところサンスクリット原典、チベット語訳が発見されていないため、中央アジア撰述説と中国撰述説の二つがあるそうです。
観無量寿経の情報はWikipedia様から知りました、ありがとうございます。



それぞれの分かれ道
それでは早速、その分かれ道についてです。

・上品上生(じょうぼんじょうしょう)
・上品中生(じょうぼんちゅうしょう)
・上品下生(じょうぼんげしょう)

・中品上生
・中品中生
・中品下生

・下品上生
・下品中生
・下品下生

※九番目の下品下生は、極悪非道の行為を繰り返した者が、臨終の際に念仏を唱えたことによって往生できる様子を意味しています。


こちらの事を踏まえまして、再度殺生石に軸を戻してみましょう。
九尾は常に有毒なガスを用いて近づく人間や動物などの命を奪っていましたが、玄翁和尚(僧)や貴僧の霊力でその九尾の力は弱められ、やがて精魂は消え去ったとされました。
後に那須野原に追いつめられ絶命したようですが、現代でもなお毒石に変化し聳えています。


殺生石の作中では、九尾は精魂が消え去る前に貴僧達と悪事は働かないと約束をしたようですのでホッと安堵できる場面も印象深いですよね。
元を辿りましたら、九尾の狐(九尾狐・九尾狐狸)は中国に伝わる伝説上の生物であり、その言い伝えのなかには(周書や太平広記など)天界より遣わされた神獣であるとされてもいます。


再び言わせてください、そうなんです。


元は神獣であります九尾は"神使"のなかに含まれているのではないかと、個人的に想いを馳せています。
※神使とは
神道において神の使者もしくは神の眷族で神意を代行して現世と接触する者と考えられる特定の動物のことである。「神の使い」「つかわしめ」「御先」などともいう。時には、神そのものと考えられることもある。その対象になった動物は哺乳類から、鳥類・爬虫類、想像上の生物まで幅広いとされているようです。
(神使の情報につきましてはWikipedia様から知りました、ありがとうございます。)


九尾(狐)と稲荷神社





ガスを起こすには、火を起こす必要があります。古来より火は土を生ずることから、土壌を肥やすための野焼きなどを表し、五穀に関わるとされてきました。
稲荷神社にある鳥居は、灯火の色であり狐火の色とも表現がとれる"赤い色"を宿しているように思います。


ちなみに朱色の赤い色は、木火土金水の五行説におきまして五穀の神の色ともされいるようです。稲荷神社と九尾との関係性に、個人的には期待が持てるように思えてなりません。


終わりに



今回は九尾について個人の仮説を混ぜ紐解いてみましたが、いかがでしたでしょうか。


九尾の力を弱めた僧のうちの一人でもあります玄翁和尚ですが、その名前から"玄武"との繋がりもきていると自身では身勝手に想い描いています。
水属性の玄武は、火属性を打ち消す北の守護神でもありますよね。


一人ひとりの歩みにおいて誰一人として迷わぬようにと、それぞれの道筋を鳥居が目印となり、暖かく灯しているようにも感じています。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。


それでは...。 kabocya

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