花器内ほたる

花器内ほたる

最近の記事

「響け! ユーフォニアム」映画5作の、高久ちえりさんを探してみた

■まえがき2024年春アニメとして、「響け! ユーフォニアム」3期が始まる。 1期と2期は見たが、総集編劇場版、新作劇場版ともに未鑑賞だった。 3期予習のために総集編1作目を見ていると、人生最大級に惹かれた「リズと青い鳥」の鎧塚みぞれと傘木希美がちらほら映っていて、あー2期であんなふうになるのに一緒にいるー! と胸がざわついた。 で、「リズと青い鳥」を初めて見たときのことを思い出した。 みぞれが高く高く飛翔するようなオーボエを吹くのを聞いて、希美がぽろっと涙を流した少し後、話

    • 宮﨑駿「スタジオジブリ絵コンテ全集23 君たちはどう生きるか」メモ

      ■まえがき 「君たちはどう生きるか」の絵コンテを読んだ。 次に本編を見るときのために、目を引いた箇所をメモしておく。 以下、〈 〉は引用。  ■Aパート(カット1~220)007p ●カット112 064p 〈ドアをしめ部屋をよこぎり ここにヒザをおり サイドテーブルにお盆ごとおやつをおき お茶と貴重なカリントウ〉 夏子、眠る眞人のベッドサイドに。 本編ではシベリアに変更されていた。「風立ちぬ」で印象的だった。 ●カット170 088p 〈絶対に行ってみようとマヒトは思

      • 映画ドラえもん 42作 振り返り

        ■まえがきドラ映画を1期から3期に分けて、鑑賞した。 その都度活躍度や好みをメモしてみた。 以下に42作まとめた表を示す。 自分で言っておきながら、活躍度って何よ。 と思わないでもないが、せっかくなのでいくつか所感を書いてみる。 今回は以下のような表記をする(「のび太」を省略)。 ○1期 01 の恐竜 02 の宇宙開拓史 03 の大魔境 04 の海底鬼岩城 05 の魔界大冒険 06 の宇宙小戦争 07 と鉄人兵団 08 と竜の騎士 09 のパラレル西遊記 10 の日本誕

        • 映画ドラえもん 3期(26~42)活躍度

          ■まえがき2024年3月公開の「映画ドラえもん のび太の地球交響楽」までに全作見ておこうという個人的目標を、ギリギリで達成できた。 声優総交代というイベントで、あるいは単にドラえもんを必要としない年齢になったので、遠ざけていたわさドラ。 中年になって総覧できてよかった。 【注意】 以下、ひねくれた大山ドラ好きによる、多少口汚い表現あり。 ■凡例項目は8分類。  ドラ:  のび:  しず:  ジャイ:  スネ:  ゲスト:  メモ:  好み: 活躍度の採点は3段階。  2 

        「響け! ユーフォニアム」映画5作の、高久ちえりさんを探してみた

          熊倉献「ブランクスペース」の引用、連想

          ◇まえがき 熊倉献「ブランクスペース」にはたくさんの本が登場する。 単に雰囲気や目配せとして選択されているのではなく、内容と結びついている。 1巻の帯に、〈これは、想像力についての物語。〉とあるように、ただのいい漫画というに留まらず、過去の文芸作品を、源泉にしたり、仲間にしたりしている。 その上選ばれた作品が、どれも素敵。 備忘録も兼ねてまとめてみた。 たとえば「ボルヘス」で検索してみた人が、この漫画にふらっと辿り着いたらいいなと思う。 記事の性質上ネタバレご注意。 ◇方

          熊倉献「ブランクスペース」の引用、連想

          ダリオ・アルジェント監督が関わった、27作品の題名について

          ■まえがき・Dario Argento ・2022年、宮崎駿と同じく約十年ぶりに「ダークグラス」を公開した。生年もだいたい同じ。 ・江戸川乱歩に「残虐への郷愁」という言葉がある。 ・全部見たわけではなく8割程度だが、断然好き。 ・四半世紀前、行ける限りのレンタルビデオ屋で、VHSで漁っていたころは、インターネットを活用しきれていなかったので、 動物三部作って何のこと? とか、 魔女三部作ってどれ? とか、 なんでサスペリアの2と1とが逆なの? とか、 ゾンビとかデモンズとか

          ダリオ・アルジェント監督が関わった、27作品の題名について

          相米慎二監督13作の「引用」(主に劇中歌謡曲)などまとめ

          ■まえがき相米慎二が監督した長編映画は全13作。 所謂アイドル映画という企画なのに、役者虐め的な演出。 また妙にアングラな要素を盛り込む。 企画や映画文法からはみ出すところが面白い映画作家だ。 見るうちに気づいたのだが、やけに登場人物が歌を口ずさむ。 また全然必要なさそうな挿入曲が結構な頻度で差し挟まれて、その劇中における意味がわかりづらい。 さらにいえば、劇中で昔の映画をプロジェクタで投影していたりして、妙な感じがする。 ともかくも「引用する」ということに意識的な監督だ

          相米慎二監督13作の「引用」(主に劇中歌謡曲)などまとめ

          映画ドラえもん 2期(19~25)活躍度

          ■まえがき1期が我が少年期ドラだった。 2期はF先生没後の作品群で、遠ざけていた。 約20年を経てようやく大山ドラを全部見ることができた。 ■凡例項目は8分類。  ドラ:  のび:  しず:  ジャイ:  スネ:  ゲスト:  メモ:  好み: 活躍度の採点は3段階。  2 強烈  1 まずまず  0 言っちゃ悪いがいるだけ 好みの採点は、  A 大好き  B 好き  C まずまず ■19 1998 のび太の南海大冒険 ドラ:0 ポケット紛失(のための、とってつけたよう

          映画ドラえもん 2期(19~25)活躍度

          シアーシャ・ローナン出演作27本

          ■まえがき 唐突に癖(ヘキ)を語り出すことの気持ち悪さは判っているが、まあ自分のための備忘録なので自由にさせてもらう。 俳優を追うよりも監督を追う派で、強いて俳優追いを挙げるなら、ジャック・ニコルソンとかアル・パチーノとか、男優だった。 女優は二の次で、女性像はむしろ二次元で足りていた。 そりゃ思春期には三次元の、椎名へきる、中谷美紀、池脇千鶴に眷恋していた時期がないではないが、こと映画女優については、満遍なく。 三次元の女優ってスキャンダルで幻滅の可能性あるっしょ。 嫌いに

          シアーシャ・ローナン出演作27本

          映画ドラえもん 1期(01~18)活躍度

          ■まえがき当方、藤子不二雄ド真ん中世代、というには、少し遅れてきた者。 1983年生まれで、F先生ご逝去が1996年なので、F勃興期ではなくF爛熟期に幼年時代を過ごした。 小学生当時は「オバQ」「パーマン」には疎く、テレビアニメ「ドラえもん」一色で、ついでに「キテレツ大百科」「21エモン」も少し見ていたくらい。 もちろん原作漫画も好きになった。 当時ドラのてんとう虫コミックスは、40巻くらい刊行されていて、書店にて既刊を月一くらいでバラバラと集める途中、41から45巻が出版

          映画ドラえもん 1期(01~18)活躍度

          宮崎駿15作品の要素を整理してみた

          まえがき3年ほど前、宮崎駿監督作品、関連作品を集中的に再鑑賞していた。 その際、町山智浩・切通理作による以下の動画を見た。 DVDボックスのブックレットには詳細な論が展開されているのだろうが、町山氏の意見をざっくりいうと、駿は同じことばっかり描いている、と。  ①人物配置……少年、少女、大人など。  ②構成……上がって、落ちて、上がる。物語的にも、空間的にも。横ではなく縦。  ③テーマ……光>闇 → 一概に選べない → 他の人にはわからない。 この言及をきっかけに、幼少期か

          宮崎駿15作品の要素を整理してみた

          川端康成 単行本 書影97

          00 まえがき 2022年10月から川端康成を読み返している。 代表作は中高生の頃にわけわからないまま読んだが、今回はネットも参照しつつ。 文庫で手に入ったものだけなので全く網羅的ではないが、なんとなく全容が見えてきた。 恵まれなかった幼少年期を燃料にして、結構な頻度で自分を切り売りする形で作品化している。代表作はこちら。 かたや少女小説や婦人向け小説も多い。こちらは代作や文壇政治や権力構造など厄介だが、文筆業界の慣習でもあるだろう。 数か月に一冊刊行しているので、現代で

          川端康成 単行本 書影97

          ポール・トーマス・アンダーソン長編劇場映画9作品

          先日ポール・トーマス・アンダーソン監督「リコリス・ピザ」を見た。 ついでに検索してみたら、見過ごしていた「ハードエイト」も見つかり、無事劇場長編9作を鑑賞できた。 となると関連書を読みたくなる。 「ポール・トーマス・アンダーソン ザ・マスターワークス」。 面白そう。読みたい。税込み4950円。高い。ということで逡巡中。 ネットで見かけた情報だが、章立てが面白い。 制作順ではなく、だいたいの作中時間順になっているらしい。 第1章「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」 第2章「ザ・マ

          ポール・トーマス・アンダーソン長編劇場映画9作品

          皆川博子で世界旅行・時間旅行

          まえがき: 小中高と世界史が苦手だった。 物覚えの悪さ、意欲の低さ、想像力の貧困など、思い当たる理由はある。止むを得ない。 教科書よりもファミコン、スーファミ、漫画、アニメのほうに真実味を覚えていたのだから、仕方ない。 二十歳を越えてから皆川博子を読み、大ファンになった。 幻想文学の文脈から知ったという経緯もあり、主に少女や女性が、過酷な現実を前に、喘いだり、まなじりを決したりする短編群を愛してきた。 文体に惚れたということもある。 が、皆川博子の作風の裾野は広い。 「死の泉

          皆川博子で世界旅行・時間旅行

          津原泰水の小説冒頭抜き出し

          まえがき: 2022年10月2日に津原泰水が亡くなった、と5日に知った。 こっそり私淑していた作家なので、衝撃大。 何日もwebでお名前を検索しては、死を悼む読者や同業者の書き込みを、読んで読んで読んで……あ、このネットサーフィンには終わりがないな、と気づいた。哀悼に淫している感じ。 数日後、読々ハムスター@読書垢(@dokudokuhamster)さんがアップした著作リストを発見して、好機だ、再読の踏み台にしよう、と考えた。 さらに踏み台の第二段階として、津原作品に顕著な書

          津原泰水の小説冒頭抜き出し

          庵野秀明展「式日」企画書

          まえがき、前提、凡例 まえがき: 庵野秀明展・山口展(2022年7月~9月)で、映画「式日」の企画書が展示されていた。 ロケ地となった地元ということもあって、おそらく他の巡回展より手厚かったのではないかと思う。 写真撮影可能な箇所だったのでしっかり撮ってきたが、公式図録も販売しているので、画像すべてをそのまま上げたり全文書き起こしたりするのはいかがかと思う。 気になった点だけをピックアップしながら、感想をつらつら書いてみる。 (例外として、図録に未収録の展示については画像を

          庵野秀明展「式日」企画書