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カンボジア政界:大胆な「世襲」による「若返り」

かねて予告されたとおり、カンボジアの首相は、38年首相を務めたフン・セン(71)から、息子のフン・マネット(45)に引き継がれた(22日朝、選任)。

あわせて、他の内閣メンバーも、2代目に一斉に「若返った」。


閣僚のうち10人超がフン・セン氏や側近といった人民党有力者の子どもだ。
フン・セン氏の三男フン・マニー氏(40)や、サイ・チュム上院議長の息子サイ・ソムオル氏(43)が入閣。内相や国防相ポストはそれぞれ世襲となり、世代交代は進んだ。(東京新聞web 8月22日)


それに先立ち、中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)の総裁も、チア・チャントから、娘のチア・スレイ(42歳)に交代している。


政府主要メンバーが、60、70代から、40代へ、世襲により一斉に若返った。

カンボジアは、日本と同じ立憲君主国である。

ある意味、世界の政治屋たちが「やりたい」と思っていることを、大胆に、目に見える形でやってみせたと言える。権力の私物化、というより、家業化、だろうか。

岸田首相も、「あんな風にやれたらなあ」と羨ましいだろう。


カンボジアの首相交代については、先月、タイの政治情勢とともに書いた。


そのタイでは、民主化勢力が軍政に守られた既成権力に挑戦している。(22日、タクシン元首相が15年ぶり帰国した)

タイ、カンボジア、日本は、同じ立憲君主国だが、「立憲」部分が形骸化しているのも共通している。


日本の政治も世襲化が進み、民主主義の内実を失いつつある。

政治だけでなく、財界も、マスコミも文化の分野も、世襲ばかりである。

民主主義や立憲主義の「中身」をともなわず、世襲で「若返り」だけが進む、というカンボジア型に、日本もなっていくのかもしれない。



<参考>



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