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何者にもなれなかった私へ

ドライフラワーって風水的によくないよねとかわかっていながら,どうにかしといてって言われた結婚祝いの花束をドライフラワーとして吊るしてみた院生です,こんにちは.
すっかり年の瀬ということで,色々締切もあり中間発表もありドタバタして,なんか結婚して日本一頼りない嫁になってから更新も何もできずにいたので一年を振り返るわけじゃないけどちょっと考えた.

・2019年の始まりもドタバタ
・遠距離恋愛を実体験
・ドタバタ婚姻届
・結局ドタバタした一年

・2019年の始まりもドタバタ
 これはよくよく考えたら恐ろしかった.2019年の1月,私はM2で,今でこそ働いている彼も学生で院生でM2で,お互い修論に追われて彼は制作もあり,卒展や修論審査会に向けて恐ろしく目まぐるしく3ヶ月が終わった気がする….
 卒業旅行でメキシコに行ったり,社会人になったらなかなか時間取れなくなるからって3月にソウルの両親の元へ遊びに行って(彼にとっては二度目の挨拶),これからのことをきちんと話して.結婚を前提にしたお付き合いとは言っていたけれど,本当は,今年は彼も一年目だし貯金したり私も自分の研究ペースを掴みたいから来年を目処に入籍を考えてます,なんて話をした.父は父で色々人生の(会社員の?)先輩としての話や自分の時の結婚までの経緯を話してくれて,その上で遠距離ならもうちょっと早くてもいいんじゃない?なんて笑って冗談めいて言ってみたりしていた.

・遠距離恋愛を実体験
 まあ,そのお父さんの言葉を真に受けていた私も私なんだけど,4月をすぎて遠距離になって,彼に伝えられた配属先が以前より二人で考えていた所よりももっと離れた場所で,???となった記憶はある.そしてこれで何か彼にあった時,私にあった時,病院に入れてもらえないとか,今年はまだなんとでもなるけれど,婚姻届を出したい日は私の我儘で記念日と言っていたので,D2の同期とかの話を聞いて来年その時に私が日本にいるのか,学会でいないのか,先が見えなさ過ぎて不安になった.彼のことは信用していたので浮気とか,そういうことじゃなくて完全に私の我儘だと思う.
 ただでさえすぐには行けない場所になったので,いや,頑張ったら飛行機無茶振りすれば新幹線の1/4くらいで行けるのか?そんな場所と,東京の大学院に残った私.アクセスは悪い,方法論の違いなどから修士の頃ほど学校に通い詰め状態ではない,一人暮らしはいいけど都心に行くにも通院するにも都内なのに交通費が馬鹿高い,彼が長期休暇できてくれた時にもアクセスが悪過ぎ,下宿代…となって実家に引き上げることに.実家は新幹線も飛行機もアクセスが良いので,都心のデザイン系の展示も博物館も調査によく行けるようになった.
 彼とはラインをしていたけれど,ご褒美みたいに電話は週に一度,週末だけ.そうするとお互いやりたいことをやってこうなっているので,多少研究や仕事でううううってなっていても今週がんばった,と彼の声を聞くことで癒されていた.彼も頑張り屋さんすぎるのでよく疲れていたけれど,声を聞けたのは嬉しかった.彼の方へ遊びに行った時は絶対に休日を挟んでデートしたり,そっちの美味しいものを食べたりしていた.

・ドタバタ婚姻届
 結局,5月あたりに慌てて顔合わせのことをやって,その時に私はソウルの両親の予定を聞いては,東日本にいる彼の両親と連絡をとる彼と,全てが遠隔でスケジュール調整や店選びなどを行っていた.大事な行事?みたいなことを決めるときでさえ一緒に直接会って決められないジレンマみたいなものはどんどん私を焦らせたり不安にさせた.
 なんとか8月,うちの両親が一時帰国するタイミングに彼の両親のスケジュールを合わせていただいて顔合わせをすることができた.結婚という喜びと同時に,家族会議で行ったお金の話や,私が学生であるが故の扶養問題など頭を悩ませることも多々あった.結婚できること,こんな状況で学生で遠距離で,なんてこともあったのに特に反対もなく認めてもらえて本当に幸せなことで,人に恵まれ過ぎてバチが当たりそうなくらい嬉しいことなのに,同時にこれから大丈夫なんだろうかとか,まだ起きてもいない問題や未来に勝手に不安ばかりが募り,こんな時に彼がいてくれたらいいのにとか思ったことも正直あった.だんだんと周りでも結婚ラッシュでそんな報告を見るたびに,同棲できることの羨ましさや一種の妬みを感じていたのは事実だ.一緒にいられる,住めるだけ幸せだろとか.
 結局のところ,私は仕事もしてないし学生で一人前の研究者にもなれないまま,一人暮らしもできず実家に居候しながら,11月に嫁となった.彼らは経済的にも自立しているし,私たちとは状況も違う.だからそれでいいのだ.仕方ない.私は逆にそれを利用して,一緒にいられる時を大事にしたいと思っているしそれ以外の時は不器用なので恐らく兼業みたいにできないから,研究に専念できていいのだと思う.たまに,結婚して転職してリモートにしたら寂しくなりそうとか,付き合って3ヶ月で同棲,とかそういうの見てガチでイラッとしたこともあったし,いやいや仕事してんならやることあるだろとか,寂しいとか思ってる暇あったら仕事しろよとか,そういう捻くれた考えしかできないこともあったね…うん,ま,色々あります.
 婚姻届は3回書いた….市役所側の不手際で保険証の完成が遅くなり今度今月の医療費(今自己負担10割で払ってるし,なんなら自立支援も切り替え中なので1割の恩恵にこれほど感謝したことはない)の返金に行ってくる.特に私は今年大学近くの東京から実家へ,それから今の彼のところへと住所を二回も変えているので,マイナンバーカードの転入欄が埋まりました.会社には博士課程の実態が知られていないので,あとラボにもよると思うので,こっちに住んで学業に支障はないの?と心配されて証明書出して,と言われる始末.それでもなんとか手続きをして,婚姻届を提出した週は年賀状の写真取りにデート軽くしただけで本当に手続きのために行った感が強く,ゆっくり遊べなかったなあ…と思ったりもした.(遊ぶために行ったわけではないんだけど)

・結局ドタバタした一年
 こうして書いてみると,研究は?とか思われるかもしれないが,あんまりプライベートを理由に研究が疎かになってはいけないかなとか謎に凝り固まった思考回路していて,ゼミは毎週行ってますしB4の指導も少しずつさせていただいてたりする….M生の相談会とか.
 学会も,後輩によくアヲイさん色んなところ行ってますね,とか言われるくらい結構移動は多い.メインにしている学会が京阪神だからかもしれないけれど.あとは調査とか?学芸員さんと意見交換とか,会社のアポ取とかは修士からやっていたのでそこまで苦ではない…かな.
 今は彼のところにいて,実に2回目のクリスマス(去年は修論や体調でお互い色々あったので実家にいた)を一緒に迎え,平日といえど料理を振舞うくらいはできたのでデートはできなかったけれどこれはこれで,アットホームでいいのかなとか.それに翌日も仕事なんだし別に派手にクリスマスをする必要はないし.あとは年賀状をひたすらやって,それが終わったらその日の夜に発作起こして死んでた.(夜中だったけれど彼をなんとなく起こしてしまって申し訳ない…)
 彼は一日早く,今日仕事納めをしてくるわけだけれど,だからと頑張り屋さんは残業したり少し根詰めてそうなのですが,今日は二人で夜パッキングして明日東京に帰省します.東京に帰省ってウケるな,なんか.
 ニュースで見ていた帰省ラッシュも時期は被るんだけど,上下線が逆だからそこまでラッシュが〜という感じでもなく,明日はとりあえず私の実家に滞在.彼も毎年恒例の行事があるし,親友とも会えるようで楽しく遊んでらっしゃいな〜と思っている.(私はさっきの病院の返金のため東奔西走して金を回収してきます)
 後期からは研究の方法論が割と固まってきたというか,模索段階なのは百も承知だけれど少しずつラボに染まりつつあり,助教の弟子みたくなってきている….指導教員とも勿論観点は似ているけれど研究の方法論としてはここの三人は共通しているのかなという感じがしている.楽しくなってきています.ただまだ修正論文が査読中なのと,今月の締め切り物がもう少しあるのでまだまだバタバタしそうです.今月中にボードリヤール読むのも宿題だし,難しいけど記号論は避けては通れないのはわかっている….

 東京というユートピアに戻ったら私はまず,スーパーフライデーの31のアイスクリームが食べたい.二人で31のアイスを食べるなんてもう夏以来していないし,なんならこっちは31に行くのに何分かかるんだという世界だ.それから年末年始は彼の実家にお邪魔するので,なるべく原稿は終わらせてから行きたい.そして年始にうちの両親も挨拶に来るので,ちょっと雪遊びがしたい.
 温泉にも行きたいし彼とゆっくり休暇らしい休暇をしたい.そしてずっと行こうと言っているマル秘展に行ったら披露宴のことをまた相談しよう.やることはたくさんあるし,バタバタは来年もどうせ続くんだし,一生私はバタバタしているんだと思う.
 改めて振り返っても何者にもなれなかった私というタイトルに触れておくが,嫁にも博士の学生にもなったじゃないかと指摘があるかもしれない.だけど私は何者にもなっていない,私のままであって,学生とか肩書きとか,そういう大層なものを得られるほどの身分でもない,憧れた先生になったわけでもない.近づけただけだ.自分の研究スタイルや研究を研究として確立させる研究者になれたわけでもないし,彼女はやめたけど嫁としては名乗れるほど彼を完全にサポートできているわけでもない.

私は何者でもない.
なりたい何かに向かっているんだろうけれど,それは私が作り出した理想であって,まだ誰もがなっていない人物像であるから何者とも断言できず,そしてまだ描いているだけの凡人である.

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