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寒い家の高齢者

12月も半ばを過ぎ、本格的な冬を迎えましたね。雪の予報がちらほら出てくると、憂鬱な気持ちになります。
お休みなら雪も楽しいのですが、仕事に行く時に雪が積もっていると、めちゃくちゃ厄介で、そして、運転が怖い。
雪かきに骨が折れる。
道路状況で、訪問スケジュールが大幅に狂うので、調整が大変!
と、あまり嬉しくないことが多いのです。
しかし、毎年雪は降るので、雪に備えてスタッドレスタイヤに変えるのはもちろん、雪避け棒、手袋、金属製のスコップなど、雪に備えたグッズは装備完了しました!
どうか、大雪が降りませんように。

この季節になると、訪問系の仕事をしていると、気になることがあります。
それは、室内の気温。
私が住んでいる滋賀県は、まあまあ冬は寒いです。その、『まあまあ』っていうのがくせものなんです。

私は一時期青森で暮らしたことがあるのですが、寒さのレベルが違うなと体感して知っています。北国の冬は寒い通り越して痛い!
そんな極寒の地域は、屋外は痛いくらいの寒さでしたが、家の中は暖かいんですよね。
それは、家の作りが寒さに対応した作りになっているから。
窓は二重ガラス、断熱がしっかりしている壁、天井、床暖房、二重玄関と、しっかりした暖房設備。24時間暖かく過ごせるように、作られているんですよね。

それが、ここ滋賀県はですね、
寒さがまあまあなんですよ。
だから、そこまで家の防寒対策がされていなくて、冬の室内が寒い❗
外と同じくらい、いや、日の当たらない室内は、外以上に寒い場合もあります。

高齢者は、ほぼ家の中で過ごしています。
暖房にも色々ありますが、
部屋全体を暖めるのが
エアコンやファンヒーター等。
ピンポイントで暖める、こたつや、電気毛布。

ほぼ、お一人で過ごされる高齢者は
自分が暖まっていればそれでいいと思いがちで、ピンポイント暖房を選択されていることが多いのです。


低温火傷に注意しましょう


そうすると、何が起こるかというと
そこから動かなくなる。
すると、筋力低下する。
歩けなくなる。
いいこと無いんです。

そしてさらに、室温が低いことによる健康被害として、もっとも恐ろしいのが、低体温症からの凍死です。

「気温による死亡のリスク」と聞くと、多くの人が熱中症を思い浮かべるのではないでしょうか。 熱中症はについてはテレビや新聞で取り上げられることも多く、OS-1の所ジョージさんのCMなどからも、広く世の中に浸透したと思います。
でも、実は熱中症以上に危険とされているのが凍死なのです。
 厚生労働省の人口動態統計によると、2000年~2021年の凍死者数の合計は約2万2千人。熱中症での死者数(計約1万6千人)を大きく上回るのだそうです。
低体温症患者は高齢者が多いのも特徴で、日本救急医学会の報告によると、低体温症で救急を受診した患者の平均年齢は70.4歳。高齢になると体温調節機能が低下することや、筋肉量が減って熱を生み出しにくくなること、食事量が減るため食べ物から作り出せる熱量も減ることなどが、高齢者に多い理由として挙げられます。 また屋内発症と屋外発症では、約3:1の比率で屋内が多かったということです。
高齢者にとって低体温症や凍死は、なにも雪山遭難といった特別なシチュエーションではなく、家の中でもじゅうぶん起こりうるのです。

お家のなかでも凍死します

それは、訪問看護や、定期巡回介護で、高齢者宅を訪問していて、その室内の寒さを体感して現実に起こってもおかしくないぞ!と、これは啓発しなければいけないことだと実感しています。ただ、寒さは日本国内で地域差があるので、暑さ対策に比べて、全国的な啓発に発展しにくく、知らない人が多いのではないかと思います。

ピンポイントでしか暖房しないことには、
経済的な理由もあります。
近年の電気代や、燃料費の高騰により、
暖房の使い控えが起こっているのも事実です。

ひどい場合は、ピンポイント暖房すら使わず、
布団に入って自分の体温のみの保温、または、使い捨てカイロを使っている人もいます。
その使い捨てカイロも、肌に近い場所で使って
低温火傷になる方も、毎年お見かけします。

WHO(世界保健機関)は、家の中の最低温度として18℃以上を推奨しています。

家の中が寒いと、血圧が高くなったり入浴中の事故のリスクが高まるなどの悪影響もあります。ヒートショックと呼びますが聞いたことありますか?

大きな気温の変化によって血圧が急激に上下し、心臓や血管の疾患が起こることをヒートショックと呼びます。
具体的には、冬場における浴槽でのヒートショックが代表的です。
ヒートショックの症状は、めまいや吐き気、頭痛、倦怠感、動悸などが挙げられます。
また、重篤な場合には意識障害や心肺停止に至ります。
血圧の乱高下に伴って、脳内出血や大動脈解離・心筋梗塞・脳梗塞などの病気が起こるので、命に関わる重大事項なのです。

なお、令和元年のデータでは交通事故による死亡者が約3,000人であったのに対し、ヒートショックに関連した死亡者数は4,900人となっています。 ヒートショックは入浴中に亡くなる理由で最も多いものなので、特に基礎疾患があるような方や高齢者は要注意です。

寒暖差に気を付けよう!


エアコンを適切に使い、部屋の温度を保つようにするのが理想的なんです。
でも、そうしていない家で、リスクだらけの中で暮らしている高齢者が多いのです。

古い住宅で隙間風ヒューヒューしている家も沢山あります。エアコンすらつけないのですから、断熱性能を高めるリフォームなんて、検討の余地にも入りません。
また栄養不足、疲労や睡眠不足でも低体温症になりやすくなるのですが、栄養も、食べないという理由から、菓子パンのようなものばかり用意されていたり、明らかに量が少なくても、『年寄りだからこんなもんだろう』という、根拠のない思い込みから、低栄養状態を招いている人もよく見かけます。

しっかり睡眠をとることも大切ですが、寒さからピンポイント暖房から動かなくて、昼夜逆転を招いていたり、外に出ない、カーテンすら開けないことで、日光に当たらないことから、冬季うつを招いてしまうこともあります。

この問題は、高齢者の貧困問題とも大きく関係があると思います。

貧困でなかったとしても、これから何年生きるか予測ができない未来と、限りある年金や、預金の現実への不安、人に迷惑をかけてはいけないという思いからの我慢、家族の無関心。

見ていて切なくなる現実が、
特に冬には多いのです。

介護サービスが入っている家でさえこんな現状があるのですから、なんのサービスも入っていない家では、もっと深刻な状況があるのではないかと思います。

サービス内でできることは、もちろん改善しますが、予算の伴うことは、どうしても本人、及びご家族の協力が必要なんです。

だから、毎年冬に起こりうる健康被害についての啓発チラシを、各家庭に配りますが、
なかなか私たちの思いは届かないのが現状です。
寒さは季節性のものなので、喉元過ぎてしまえばまた来年~(-_-)/~~~
なんですよね。

悩ましいことです。

なので、ここでは、ここでも?言わせてください。

《日常生活でできる対策》
■暖房を適切に使う(18℃以上を保つ)
■寒暖差をできるだけ作らない
■帽子や靴下、ネックウォーマー、レッグウォーマーなどを活用する
■隙間を塞ぎ、窓に断熱シートを貼る
■鍋料理や煮込み料理など温かい食事をとる
タンパク質、根菜、穀類を意識してとる
■室内でもできるスクワットやストレッチなどで定期的に体を動かす
■日中は太陽光を室内に入れる、または散歩などで日に当たる
■高齢家族に関心をもつ

低体温症になりやすい病気 もあります。
ケガや麻痺等で自由に動き回ることができない人は、自分で寒さ対策ができません。
寒いと思っても暖房を入れたり衣服を着込むといった対処ができず、体温が低くなってしまうことがあります。
甲状腺機能低下症 心疾患、血液疾患 糖尿病は低体温症を招きやすい疾患です。

まずは病気の治療をしっかり行うことが大切です。薬の飲み忘れなどに十分注意したうえで、前述の対策を参考に体温を保つようにしてください。
高齢者に寒さ我慢は禁物です。
「寒さくらい我慢できる」
「もったいないから」と暖房をつけたがらない高齢者は多いですが、その背景には、様々な、事情があります。
あなたの身近な高齢者、
または、遠くに住む親は大丈夫ですか?
近くに住んでいても、関わっていなければ、是非本格的に寒くなる前に会いに行ってください。

低体温症の怖さを知らない高齢者が多いので、まずは危険性をわかってもらうことから始めましょう。
家のなかで寒くなる箇所をチェックして、断熱カーテンや隙間風防止テープを施したり、暖房器具を置くなどして対策してください。
見やすい場所に温度計を置き、18℃以下になったら暖房をつけるように伝えましょう。
若いときならなんでもなかったことも、高齢になると思った以上に身体にこたえることがあります。取り返しの付かないことになる前に、できることから、できる人が、対策しましょう。

無関心は一番の愛の無い行いです。 
クリスマスやお正月には是非、気になるご家族を訪ねてみてくださいね。

今日も読んでいただきありがとうございました。

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