佐伯剛

2003年4月 風の旅人を創刊。2015年10月の第50号まで制作発行。 2016年1…

佐伯剛

2003年4月 風の旅人を創刊。2015年10月の第50号まで制作発行。 2016年10月より、「日本の古層」というプロジェクトを開始。 2020年4月から、毎年一冊、「 Sacred world 日本の古層」シリーズを制作発行。

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記事一覧

縄文人には見えていて、現代人には見えていないもの。

先ほど書いたことの補足だけれど、今回、北海道でもオーロラが見えた。  私は、自分でも縄文土器を作り続けていた時期があったのだが、縄文土器の文様は、オーロラのよう…

佐伯剛
9時間前
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人間の目には見えない宇宙の真理

 太陽フレアの大爆発によって、低緯度でもオーロラが見られたというニュースが、各地から届いている。  その場にいた人たちがスマホで撮影したオーロラを、世界中のどこ…

佐伯剛
9時間前
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情報として表に出てこない日本のリアリティ

日本という国は、いくら都市化が進んでいるといっても、国土の70%以上が山岳地帯であり、島国であるがゆえに、少し移動するだけで大海原を見ることができる。  こうし…

佐伯剛
1日前
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今年の木村伊兵衛賞作品展の哀しいまでの空疎さ。

 昨日、池袋の新文芸坐で、小栗康平監督の「眠る男」と 「伽倻子のために」の デジタル4Kレストア版を観る前に、銀座に立ち寄って、木村伊兵衛英賞の受賞展を観てきた。 …

佐伯剛
8日前
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日本人の潜在的な心の在り方と海人とのつながり。

古代に対する関心の持ち方は人それぞれだが、私は、卑弥呼のクニがどこにあったかということよりも、日本人の潜在的な心の在り方に関心がある。  日本の縄文時代は10000年…

佐伯剛
2週間前
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口先だけの分析なら、もはやAIの方が上手にできる。

昨夜の地震の状況を知ろうと思って、朝、テレビをつけたら、屋台を引きながら無料でハーブティーをふるまい、薬に関する相談などにのっている若い薬剤師が紹介されていた。…

佐伯剛
3週間前
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地震のサイクルと、日本社会のサイクル。

先ほど、愛媛、高知で震度6弱の地震。これは本当に怖い。南海トラフの前の、不気味な足音のような気がしてならない。  台湾から宮崎、そして四国と、最近、立て続けに、…

佐伯剛
3週間前
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女性天皇が続いた時代。

愛子さま、明治神宮に初参拝。  この方は、なんだか巫女のようなオーラを漂わせている。  現在、皇位継承順位は、第一位が、秋篠宮文仁親王で、第2位が、文仁親王の長男…

佐伯剛
3週間前
1

自分の計画通りに作るのか、何かに導かれるようにして作るのか。

レヴィ=ストロースは、生命原理は、エンジニアリング(設計思想)ではなくブリコラージュで成り立っていると述べた。  毎月、東京と京都で交互に行っているワークショッ…

佐伯剛
1か月前
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古代、聖から邪に転換した竜蛇神

 数日前に、近畿の真ん中の縦長の盆地の北と南の端にあたる吉野と京都を結ぶ丹生の女神のことについて書いたが、今度は、その京都を軸にした東と西の関係について考えてみ…

佐伯剛
1か月前
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『生成と消滅の精神史』下西風澄著について。

先週の21日(日)に行ったワークショップセミナーに、昔、風の旅人の編集部で働いていた中山慶が参加してくれて、会が終わった後、ノンアルコールビールを何本も飲みながら…

佐伯剛
1か月前
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大谷翔平選手の”遊び”と、世俗世間の無聊の慰めの違い。

大谷選手の通訳が、スポーツ賭博で7億円近い借金をして、大谷選手の口座から埋め合わせをした事件が世間を賑わす前、大谷選手の新妻が、五千円のバッグを持って海外遠征に…

佐伯剛
1か月前
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縄文時代に遡る巫女神が、時代を超えて伝えていること。

南海・東海大地震が起きた場合、もっともダメージが懸念される原子力発電所である浜岡原発は、太平洋に突き出た静岡県御前崎にある。  この場所は、四国から近畿にかけて…

佐伯剛
1か月前
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大震災と、この国の祈り。

南海・東海大地震が起きた場合、もっともダメージが懸念される原子力発電所が、静岡の浜岡原発で、さらに、プルサーマル発電を継続中(2024年7月終了の予定)の愛媛県の伊…

佐伯剛
1か月前
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震災国日本の祈りのかたち

(さらに昨日の続きが、とまらなく続いてしまう。もはや誰が読むかなど、ほとんど考えていない)。  古来、日本の天皇は政治的権力者というより、この国の祭祀の要に位置…

佐伯剛
1か月前

巫の力と、天皇制。

(さらに昨日の続き)  古代、巫の力は、自分の存在を打ち捨てる覚悟で神に仕えることで、その身に神を憑依し、神そのものになって人々に豊穣をもたらし、人々を災難から…

佐伯剛
2か月前
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縄文人には見えていて、現代人には見えていないもの。

先ほど書いたことの補足だけれど、今回、北海道でもオーロラが見えた。
 私は、自分でも縄文土器を作り続けていた時期があったのだが、縄文土器の文様は、オーロラのようなプラズマ現象ではないかという気がしていた。   
 

縄文人は、実際にオーロラ現象をよく見ていたのではないかと思うのだ。
 というのは、縄文遺跡は、東北から北海道にかけて多い。そして、貝塚の貝の種類や貝塚のある場所から、当時の海岸線が現

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人間の目には見えない宇宙の真理

 太陽フレアの大爆発によって、低緯度でもオーロラが見られたというニュースが、各地から届いている。
 その場にいた人たちがスマホで撮影したオーロラを、世界中のどこでも見られるわけで、地球上に起きていることを人類全員が共有化できる時代になっていることを、つくづくと感じる。
 素人が撮ったものでも、オーロラの映像は美しい。しかし、どこか不気味でもある。太陽活動が、ダイレクトに地球に影響を与えていることの

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情報として表に出てこない日本のリアリティ

日本という国は、いくら都市化が進んでいるといっても、国土の70%以上が山岳地帯であり、島国であるがゆえに、少し移動するだけで大海原を見ることができる。
 こうした自然風土の国でありながら、山も海も見えない大都市のなかだけで日々暮らしていると、現実感覚が狂ってくる。 
 テレビやインターネットから送り届けられる情報を現実世界だと思ってしまうと、その情報をもとに自分の行動を決めていくことなるが、テレビ

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今年の木村伊兵衛賞作品展の哀しいまでの空疎さ。

 昨日、池袋の新文芸坐で、小栗康平監督の「眠る男」と 「伽倻子のために」の デジタル4Kレストア版を観る前に、銀座に立ち寄って、木村伊兵衛英賞の受賞展を観てきた。
 そして、会場に入るなり、その空疎な内容に呆然。ポスターのような無機質な写真が掲示されていて、モニターに会場内を写しているような画像が流されていたから、ここは展示の入り口のようなもので、部屋の向こうに、展示会場があるのかと本気で思った。

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日本人の潜在的な心の在り方と海人とのつながり。

古代に対する関心の持ち方は人それぞれだが、私は、卑弥呼のクニがどこにあったかということよりも、日本人の潜在的な心の在り方に関心がある。
 日本の縄文時代は10000年も続いており、明らかに大陸の影響を受けたと思われる弥生時代以降の歴史は、その4分の1でしかない。だから、縄文時代の日本人の心が完全に消え去ってしまったとは思えず、それが、どのような形で今日まで引き継がれてきたのかを辿りたいという思いが

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口先だけの分析なら、もはやAIの方が上手にできる。

昨夜の地震の状況を知ろうと思って、朝、テレビをつけたら、屋台を引きながら無料でハーブティーをふるまい、薬に関する相談などにのっている若い薬剤師が紹介されていた。
 彼がこういうことをするようになったきっかけは、病院の待合室で、患者さんが隣の人に対しては気軽に自分の症状や心配事について話をしているのに、いざ医師や薬剤師の前に来ると、素直に心の中を打ち明けてくれないことがあって、自分と患者さんのあいだ

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地震のサイクルと、日本社会のサイクル。

先ほど、愛媛、高知で震度6弱の地震。これは本当に怖い。南海トラフの前の、不気味な足音のような気がしてならない。
 台湾から宮崎、そして四国と、最近、立て続けに、中央構造線の南側の地震が続いている。
 1995年の神戸での大地震以来、北海道、新潟、鳥取、東北、熊本、そして能登と、ほぼ5年間隔で、中央構造線の北側で大きな地震が発生してきた。
 そのあいだ、大きな地震が発生していなかったのは、東海、近畿

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女性天皇が続いた時代。

愛子さま、明治神宮に初参拝。
 この方は、なんだか巫女のようなオーラを漂わせている。
 現在、皇位継承順位は、第一位が、秋篠宮文仁親王で、第2位が、文仁親王の長男の悠仁親王。
 これは皇統に属する男系男子にのみ皇位継承権を認めるという皇室典範のためで、小泉政権の時に、女性天皇の可能性が検討されたのに、皇室典範改正に慎重な安倍晋三が総理大臣になってから、改正の動きは止まってしまった。
 平成の天皇は

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自分の計画通りに作るのか、何かに導かれるようにして作るのか。

レヴィ=ストロースは、生命原理は、エンジニアリング(設計思想)ではなくブリコラージュで成り立っていると述べた。
 毎月、東京と京都で交互に行っているワークショップセミナーの冒頭で、このことについて詳しく説明してから本題に入ることにしている。
 ウィキペディアなどで「ブリコラージュ」を調べると、「寄せ集め」とか中途半端な説明になってしまっているので、もう少し具体的な説明が必要だ。
 たとえば石工が作

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古代、聖から邪に転換した竜蛇神

 数日前に、近畿の真ん中の縦長の盆地の北と南の端にあたる吉野と京都を結ぶ丹生の女神のことについて書いたが、今度は、その京都を軸にした東と西の関係について考えてみたい。
 吉野三山に鎮座し、蛇神の天津羽羽神を祀る波宝神社の真北に位置する上賀茂神社は、京都を代表する二つの聖山、比叡山と愛宕山を結ぶ東西の同緯度ライン上に鎮座している。
 この東西ラインは、東に行けば近江富士の三上山で、西に行けば亀岡の出

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『生成と消滅の精神史』下西風澄著について。

先週の21日(日)に行ったワークショップセミナーに、昔、風の旅人の編集部で働いていた中山慶が参加してくれて、会が終わった後、ノンアルコールビールを何本も飲みながら夜遅くまで話し込んだ。
 その時、彼が、最近読んだ本として、「生成と消滅の精神史』下西風澄著を紹介してくれた。
 まだ30代の独立研究の哲学者の本で、ホメロス神話から古代ギリシャ哲学、そして近代西欧の哲学の変遷に、日本の万葉集と古今和歌集

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大谷翔平選手の”遊び”と、世俗世間の無聊の慰めの違い。

大谷選手の通訳が、スポーツ賭博で7億円近い借金をして、大谷選手の口座から埋め合わせをした事件が世間を賑わす前、大谷選手の新妻が、五千円のバッグを持って海外遠征に同行している写真が取り上げられているのを見て、いいなあと思っていた。
 二人が付き合って数年が経ち、その間に、野球以外の副収入も含めて年間に数十億円の稼ぎがある彼に、新しいバッグをねだってもいないし、プレゼントもされていない、そもそも、そう

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縄文時代に遡る巫女神が、時代を超えて伝えていること。

南海・東海大地震が起きた場合、もっともダメージが懸念される原子力発電所である浜岡原発は、太平洋に突き出た静岡県御前崎にある。
 この場所は、四国から近畿にかけての中央構造線を東に伸ばして、伊豆下田の伊古奈比咩命神社(白濱神社)、そして大島の波布比咩命神社を結ぶライン上にある。
 不思議なことに、このライン上には、古代の巫だと思われる女神の聖域が、数多く並んでいる。
 

最も西が瀬戸内海の姫島で、

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大震災と、この国の祈り。

南海・東海大地震が起きた場合、もっともダメージが懸念される原子力発電所が、静岡の浜岡原発で、さらに、プルサーマル発電を継続中(2024年7月終了の予定)の愛媛県の伊方原発も不気味だ。
 日本の原発は、岬や半島など、古代の聖域に建設されているものが多いが、浜岡も伊方もそうである。
 そして、太平洋に突き出たところに作られた静岡の浜岡原発(静岡県御前崎)は、なんとも気になる位置にある。
 ここは、近畿

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震災国日本の祈りのかたち

(さらに昨日の続きが、とまらなく続いてしまう。もはや誰が読むかなど、ほとんど考えていない)。
 古来、日本の天皇は政治的権力者というより、この国の祭祀の要に位置しており、この国の祭祀の根幹は、古代の巫女が、自分の存在を打ち捨てる覚悟で神に仕えることで、その身に神を憑依し、神そのものになって人々に恵みをもたらし災難から守護するために祈るところにあった。
 しかし、8世紀の律令体制によって、そうした古

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巫の力と、天皇制。

(さらに昨日の続き)
 古代、巫の力は、自分の存在を打ち捨てる覚悟で神に仕えることで、その身に神を憑依し、神そのものになって人々に豊穣をもたらし、人々を災難から守護する存在であった。
 そして、古代の歌人には、この巫の力が宿っていた。
 柿本人麿の出生地は、いくつかの候補地があるが、有力な場所が、終焉地とされる島根県の石見である。そして、益田市の戸田柿本神社が、人麻呂の生誕地に建てられているとされ

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