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歌舞伎の楽しみ 〜衣裳の色と柄〜 その2
先回は色悪や粋な二枚目の立役の着る衣裳の「黒」についてお話ししました。
今回はさらにハンサムな立役の着る着物の色に見られる「浅葱色(あさぎいろ)」の事を書きます。
浅黄色とも書くことがあるようですが、これは正しくありません、正式な日本名は古くから「浅葱色」が一般的です。
「浅葱色」はもともと藍染から出来た色です。
江戸時代に流行した色といえば、青系統の藍、それに、茶、鼠の三つです。
特に藍色は好む
歌舞伎の楽しみ 〜性念場、性根場〜
普通、私ども、一般的に「正念場」という言葉をよく使います。
例えば、「この選挙で政権はいよいよ正念場を迎える」などといいます。
この場合、「最も重要な局面を迎えた」ことを意味し、これを「正念場」と言っているようです。
また、この「正念場」は「重要な場」という意味だけでなく、その重要な局面を迎える人にとって、「厳しくそれを乗り越えるためには相当の困難が予想される」という特徴があります。
つまり、本人
歌舞伎の楽しみ 〜実は、、〜
「実は、、」は「やつし」の世界から始まります。
それが徐々に変身してゆき、時代世話の「もどり」となって黙阿弥の頃になると因果の糸に操られた世話物の「実は」になってゆきます。
順を追っていきましょう。
歌舞伎が華やかな江戸中期から後半になると、「実は」は「やつし」を指している意味になっています。
「やつし」というのは仮の姿のことで、本来の姿、元の姿をチラッと変えて見せる演出を言います。そこに「実は
歌舞伎の楽しみ 〜お家の重宝〜
歌舞伎にはお家騒動がテーマの演目がたくさんあります。
その原因となるのが代々その家に伝わってきた宝物が紛失したことによるものが多いようです。
大抵は武家や公家に伝わる大切な宝物が何者かに奪われ、主君は切腹、お家が断絶、その結果、跡継ぎの若君や忠義の家臣が町人に身をやつして宝物を探し家を再興するために苦労するという物語になっています。
大事な宝物が質入れされ、そのために大金が必要になって奪い合いの殺
歌舞伎の楽しみ 〜待て〜
ストーリーの次なる展開、、
たとえば、
「青砥稿花紅錦絵」 おなじみの弁天小僧・浜松屋
まんまと百両をせしめたと弁天小僧と南郷力丸、帰ろうとするところへ、奥から現れた侍「ちょっと待ってくだされ」、低いが厳しい声が掛かります。
「鈴ヶ森」白井権八と幡随院長兵衛
群れかかってきた雲助相手に見事な太刀捌き、立回り、斬り殺し、追っ払った若衆姿の白井権八。悠然と立ち去ろうとした時、暗闇の中、
歌舞伎の楽しみ 〜歌舞伎小屋の木戸〜
四国琴平町の金比羅歌舞伎の金丸座をご存知でしょうか? 日本でも有数の古い芝居小屋で、今でも毎年4月には大歌舞伎が興行されています。もっともこの3〜4年、コロナ禍の影響で中止になりましたが、、、。
ここには古い以前からの歌舞伎の劇場(小屋)の機構が残っています。その一つが入口の「木戸」です。
「木戸」というのは、言うまでもなく、劇場(小屋)の表側の入口です。以前から、この木戸から劇場に入るときには「