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「家族」——『さよならデパート』ができるまで(23)
本文の完成は間近だ。
考えなきゃいけないのは装丁だけじゃない。
いずれ仕上がる本を「どこで売るか」についても検討しなければならなかった。
『キャバレーに花束を』『この街は彼が燃やした』の過去2作は、主に山形市内の書店さんに直接交渉し、委託販売をしていた。
「委託販売」とはつまり、実際にお客さんが買ってくれた分だけの売り上げを受け取る、という仕組みだ。
例えば◯◯書店さんに30冊を委託したとする
「炎は消える」——『さよならデパート』ができるまで(21)
長かった昭和が、この章で終わる。
山形中心街の戦後を牽引してきた人間たちが、次々とその寿命を燃やし尽くす、書いていても悲しいパートだった。
さて以前書いたのだけど、次章の平成からはやや語りの視点を変えようと考えていた。第三者としての俯瞰では新聞のつなぎ合わせと似てしまう。それならすでに出ている記事で事足りるわけで、本にする理由がない。何より読まれる方が飽きてしまうかもしれないと考えたからだ。
も
「摩擦」——『さよならデパート』ができるまで(16)
「圧倒的な規模のデパート」vs.「小さな商店」
この対立の激化を描いた章だ。
ふと「元エレベーターガールの話が欲しい」と頭に浮かんだ。
短絡的な思い付きかもしれない。でも、デパートの本にはやっぱりエレベーターガールが必要だと考えた。「駄菓子詰め合わせ」と言われて、キャベツ太郎が入ってなかったら拍子抜けだろう。そんな感じだ。
とはいえ当てがない。
例えばふらりと入ったバーで、奥のカウンター席に座