【伊勢遷宮編】エピソード20　神々の宴

第十一代天皇、垂仁天皇すいにんてんのうの御世みよ。

紀元前4年、皇紀こうき657年（垂仁天皇26）。

天照大神あまてらすおおみかみ（以下、アマ）の鎮座地ちんざちを求め、倭姫やまとひめ（以下、ワッコ）一行は、旅を続けていた。

そして・・・。　

ワッコ「して、ここは？」　

アマ「次の遷座地せんざち、奈尾之根宮なおしねのみやじゃ。」　

カット「では、早速さっそく、解説を始め・・・。」　

男「ちょっと待まった！」　

ワッコ「な・・・何者なにものじゃ？」　

男「俺おれか？　そう！　俺が、俺こそが、吉雲建子よしくもたけこだ！　『くもた』と呼べ！　そして、俺には、二つの別名が有る。分かるかな？」　

ねな「伊勢都彦いせつひこよ。」　

インカ「もう一つは、櫛玉命くしたま・のみことにござる。」　

くもた「よし。正解だ。」　

ワッコ「な・・・何なんなのじゃ？」　

くもた「俺は、伊勢いせの守護神しゅごしんだ。『サノやん神武天皇』の命を受け、伊勢の地を平定した男だ。」　

ワッコ「えっ？　御初代、神武天皇じんむてんのうの御世みよ？　では、元々もともとは、人であったと？」　

くもた「そうではない。俺は、出雲神いずもがみの御子みこだ。」　

オーカ「大国主大神おおくにぬしのおおかみの息子にあらしゃいますか？」　

くもた「そんな感じだな。」　

くにお「して、何故なにゆえ、降臨こうりんあそばされたのです？」　

くもた「その前に、俺の息子と娘を紹介させてもらおう。息子の大歳神おおとしのかみこと『としお』と、娘の桜大刀命さくらとじ・のみことこと『さくら』だ。」　

としお「お初はつにお目めにかかる。我われが『としお』じゃ。エピソード559にて、名のみの登場をしておるぞ。」　

市主いちぬし「もしや、加努弥かぬみ神社じんじゃの件くだりで・・・。」　

としお「その通りじゃ。我われの娘、稲依比女命いなよりひめ・のみことが祀まつられておると、解説しておったであろう？」　

くもた「俺おれの孫まごってことだな。」　

さくら「そして、私が『さくら』よ。よろしくね。」　

ちね「とにかく、現れた理由わけを教えて欲ほしいんやけど・・・。」　

くもた「まあ、待て。次に紹介するのは、山の神、大山祇神おおやまづみのかみだ。」　

大山祇おおやまづみ「お初にお目にかかる。わしが、大山祇おおやまづみこと『山やま』じゃ。ようやく、登場出来できたというわけじゃ。」　

乙若おとわか「ようやく？　どうゆうことにござりまするか？」　

山やま「名前は、度々たびたび、上がっておったが、物語ものがたり本編ほんぺんに登場したことが無かったのじゃ。」　

ワクワク「ビッグネームなのに、出てなかったんだね。」　

ワッコ「ビッネーン？」　

山やま「そうなのじゃ。あと『さくら』は、木花開耶姫このはなのさくやひめこと『サクヤ』の別名ともされておるので、わしの娘かもしれんぞ。」　

くもた「なっ！？　そんな？！」　

さくら「お父様とうさまが、二人・・・。私、どうすればいいの・・・。」　

おしん「そんたなことより、そろそろ理由わけを・・・。」　

山やま「おお！　そうであった。もう一柱ひとはしら、紹介せねばならん。その名も、朝熊水神あさくまのみなとのかみじゃ。『アサーク』と呼んでやってくれ。」　

アサーク「お初にお目にかかる。我われが『アサーク』じゃ。」　

アマ「揃そろいも、揃そろって、如何いかがしたのじゃ？」　

山やま「おお！　『アマ』ちゃん。待まっておったぞ。」　

アマ「兄上！　その呼よび名な、お止やめくださりませ。」　

くもた「とにかく、俺たち、五柱ごはしらの神は、『ワッコ』に御饗みあえを奉たてまつるため、遥々はるばるやって来たのだ！」　

アマ「それだけのために、ここまで紙面しめんを使つこうたのか？」　

くもた「えっ？　い・・・いや・・・。その・・・。」　

山やま「まあ、良いではないか。『ワッコ』のために、伊勢に関かかわる神が、勢揃せいぞろいで迎むかえたのじゃ。」　

アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」　

カーケ「宴うたげなら、文句もんくは無いんだぜ！」　

ワッコ「こ・・・このような・・・畏おそれ多おおいことにござりまする。」　

アマ「快こころよく馳走ちそうに与あずかるが良い。汝なれの働はたらきが有ったればこそ、ここまで来れたのじゃからな。」　

ワッコ「ア・・・アマ様・・・(´；ω；`)ｳｯ…。」　

アマ「泣くのなら、わらわが食べてしまうぞ。」　

こうして、宴うたげが催もよおされたのであった。　

つづく