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JW550 瀧原宮

【伊勢遷宮編】エピソード9 瀧原宮


第十一代天皇、垂仁天皇すいにんてんのう御世みよ

紀元前4年、皇紀こうき657年(垂仁天皇26)。

天照大神あまてらすおおみかみ(以下、アマ)の鎮座地ちんざちを求め、一行は、宮川みやがわわたった。

人物一覧表(倭姫の一行)
人物一覧表(五人の大夫)

真名胡神まなこのかみ(以下、マナ)の助言を受け「真名胡まなこ御瀬みせ」すなわち「三瀬みせわたし」から渡ったのである。 

地図(真名胡の御瀬→三瀬の渡し)

ワッコ「・・・ということで、私は『マナ』様をまつりたいと思う。」 

マナ「ありがたきしあわせじゃぞ。」 

ちね「その名も『御瀬社みせのやしろ』やで!」 

カット「二千年後の多岐原たきはら神社じんじゃにござりまする。」 

多岐原神社(鳥居と拝殿)

武日たけひ「ところで、何処いずこ鎮座ちんざしちょるんや?」 

乙若おとわか三重県みえけん大紀町たいきちょう三瀬川みせがわにござりまする。」 

地図(多岐原神社)

武日たけひ三瀬みせわたしの、すぐそばなんやな。」 

ねな「当たり前でしょ。そうじゃなきゃ困るんだけど・・・。」 

武日たけひ「じゃ・・・じゃが(そうだね)。」 

さて、一行は、更に進んでいった。


そして・・・。 

ワッコ「なんと美しい地なのでしょう。『マナ』様? この国は、なんと言う国なのです?」 

マナ「大河おおかわ滝原たきはらくにじゃ。」 

ワッコ「では、ここに『アマ』様のみやてようぞ。」 

市主いちぬし「かしこまりもうした。」 

ワッコ「して『ねな』よ。なれは、宮をつくるため、荒々しくしげる草をり、この地をきよめよ。」 

ねな「どうしてやつかれだけなの? こんなに従者じゅうしゃがいるっていうのに・・・。」 

ワッコ「なぜなら『倭姫命世記やまとひめのみこと・せいき』に、そう書かれておるからじゃ。」 

ねな「そ・・・そういうことなら、仕方しかたないわね。」 

アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」 


こうして、宮が建てられたのであった。 

ワッコ「その名も、瀧原宮たきはらのみやじゃ。」 

瀧原宮(鳥居と拝殿)

ねな「なんだかんだで、皆様みなさまの御協力をいただけたこと、しゃたてまつるわ。」 

インカ「みなで、やった方が早いからのう。」 

くにお「草刈りくらいなら、任せておけい。」 

ちね「神に仕える立場では無いさかい、掃き清めるんは、出来でけへんけどな・・・。」 

カーケ「して、二千年後の鎮座地は、何処いずこになるのかね?」 

乙若おとわか三重県みえけん大紀町たいきちょう滝原たきはらにござりまする。」 

地図(瀧原宮)

オーカ「ん? どうして、宮が二つも有りますのや?」 

市主いちぬしじつは『瀧原宮たきはらのみや』と『瀧原竝宮たきはらならびのみや』の二宮ふたみやになっておるのです。」 

オーカ「二宮ふたみや? 竝宮ならびのみや? どういうことにあらしゃいます?」 

市主いちぬし瀧原宮たきはらのみやにて『アマ』様の和魂にきみたままつり、瀧原竝宮たきはらならびのみやにて『アマ』様の荒魂あらみたままつっておるのです。」 

オーカ「和魂にきみたまは、優しい心。荒魂あらみたまは、激しい心にあらしゃいますなぁ。」 

市主いちぬし左様さようにござりまする。」 

左が瀧原竝宮・荒魂、右が瀧原宮・和魂

くにお「ところで、なにゆえ、このようなまつり方になっておるのじゃ?」 

市主いちぬし「さ・・・さぁ。なにゆえにござりましょうか・・・。」 

ねな「馬鹿ばかね・・・。これがロマンよ。」 

おしん「と・・・とにかく、瀧原宮たきはらのみやは、伊勢いせ神宮じんぐうぐ、格式の高い宮と言われてんだ。」 

カット「遥宮とおのみやとも呼ばれて、信仰されておりまする。」 

ワッコ「して、御船倉みふなくらというのも建っておるが、これは、私たちが『真名胡まなこ御瀬みせ』を渡ったおりに使った舟を収めてあるのか?」 

御船倉

インカ「左様さようにござりまする。」 

マナ「では、これにて『アマ』様の鎮座地が定まったということじゃな?」 

カーケ「ん? 『マナ』様? まだ、いたのかね?」 

マナ「すごくショックなんですけど・・・(´;ω;`)ウッ…。」 

するとそこに「アマ」様が現れた。 

アマ「みなもの。すまぬ。わらわのしずまるべきは、ここではないようじゃ。」 

一行「ええぇぇ!!」×14 

マナ「すごくショックなんですけど・・・(´;ω;`)ウッ…。」 

アマ「許せ。『マナ』。わらわは、更に進むぞ!」 

旅は、まだまだ続くのであった。

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