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JW574 真澄鏡

【伊勢遷宮編】エピソード33 真澄鏡


第十一代天皇、垂仁すいにん天皇てんのう御世みよ

紀元前4年、皇紀こうき657年(垂仁天皇26)。

伊勢いせ神宮じんぐうが創建された。

地図(伊勢神宮:内宮)
伊勢神宮:内宮

天照大神あまてらすおおみかみ(以下、アマ)の御杖代みつえしろ倭姫やまとひめ(以下、ワッコ)は、アマ様をまつるため、様々な準備をおこなう。

垂仁天皇こと、活目入彦五十狭茅尊いくめいりひこいさち・のみこと(以下、イク)たち家族と共に、解説が進められるのであった。 

系図(大王一行)

イク「ということで、次は、何をするの?」 

ワッコ「神宝しんぽうとどやしろを建てようと、おもうておりまする。」 

シロ「神宝しんぽう? 神宝とは、何じゃ?」 

ワッコ「アマ様の父母ふぼである、伊弉諾神いざなぎのかみ伊弉冉神いざなみのかみささげる、白銅ますみかがみ二面ふたおもてにござりまする。」 

マス子「鏡をまつるためのやしろを建てはるんやね?」 

ワッコ「左様さようにござりまする。おばあさま。」 

ロミ子「ちなみに、白銅ますみとは、どうすず合金ごうきんで、それで作られた鏡は、とてもっているので、真澄鏡ますみかがみと呼ばれたのでござりまするよ。」 

カキン「真澄鏡ますみかがみは、かみつきかみが、鏡の姿になったモノとも言われておりまするな。」 

ダッコ「それだけじゃないわよ。みずかみかみ霊妙れいみょうちから宿やどしているみたいよ。」 

ロミ子「補足説明、かたじけないのでござりまするよ。」 

ニッシー「でも、ひいおばあさま? 日の神って『アマ』様のことだよね? 神宮じんぐうで『アマ』様をまつってるのに、こっちのやしろでも『アマ』様を祀るのって、なんか、おかしくない?」 

ロミ子「ニッシー? いくらまつっても良いのでござりまするよ。」 

ニッシー「そういうモンなの?!」 

イク「そういうものなんだよ。」 

ひばり「それで・・・。何処いずこに建てられるのです?」 

ワッコ「決めました。三重県みえけん伊勢市いせし中村町なかむらちょうに建てようと思いまする。」 

マス子「それで・・・。なんて名前に、しなはるの?」 

ワッコ「その名も、月読宮つきよみのみやにござりまする。」

地図(月読宮)
月読宮(鳥居と拝殿)

ニッシー「ワッコ? さっき、かみが・・・って言ったよね? なんで、月読命つくよみ・のみことが、メインになっちゃってるわけ?」 

ワッコ「メイ?」 

イク「いいじゃないか。つきかみかかわってるんだし・・・。」 

ニッシー「なんか、モヤモヤするんだよなぁ。」 

シロ「ワッコ? 四つのやしろが並んで建っているようじゃが、これは、如何いかなることじゃ?」 

ワッコ「じつは、月読宮つきよみのみやだけではないのです。」 

ひばり「他の三つのやしろには、どんな神様がまつられているのです?」 

ワッコ「一つ目が、月読荒御魂宮つきよみあらみたまのみやにござりまする。月読命つくよみ・のみこと荒御魂あらみたままつっておりまする。」 

カキン「二つ目は、伊佐奈伎宮いざなぎのみやにござりまする。その名の通り、伊弉諾神いざなぎのかみまつっておりまする。」 

ダッコ「そして、三つ目が伊佐奈弥宮いざなみのみやにござりまする。こちらは、もう、お分かりですよね?」 

ひばり「伊弉冉神いざなみのかみですね?」 

ダッコ「左様さようにござりまする。」 

四つの社

イク「これで、神宝しんぽうまつることにも成功したってわけだね。」 

ニッシー「このあとは、どうするの?」 

ワッコ「次は、御膳御贄みけおおみにえところさだめたいとおもうておりまする。」 

シロ「御膳御贄みけおおみにえ?」 

マス子「神様にささげる食べ物のことよ。」 

シロ「小難こむずかしいかたをするのですな?」 

マス子「やっぱり神様ですからねぇ。長ったらしくて、いにくいほうが、有難味ありがたみが有るんやない?」 

カキン「そういうモノなのですか?」 

するとそこに、大若子おおわくご(以下、ワクワク)と、舎人とねり乙若子おとわくご(以下、乙若おとわか)がやって来た。

二人とも、甲冑かっちゅうに身を固めている。 

ニッシー「ちょっと! どういうこと?! よろい? 僕も身に付ける!」 

ワクワク「何、言ってるの? 念のために、身に付けたんだよ?」 

ひばり「ワッコ? これは、どういうことなの?」 

ワッコ「旅に出るため、船の支度したくを頼んでおいたのですが、甲冑かっちゅうを付けろ・・・とまでは・・・(;^_^A」 

乙若おとわか如何いかなるあやうきことに出会うか、分かりませぬからな・・・。念には、念を・・・というわけにござりまする。」 

イク「なんか、物々ものものしくなっちゃったね・・・(;^_^A」 

こうして、船旅が始まったのであった。

つづく

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