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JW454 笹幡に参りたい

【崇神経綸編】エピソード29 笹幡に参りたい


第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。

多くの池が築造されてから、二年の歳月が流れた。

すなわち、紀元前34年、皇紀627年(崇神天皇64)。

ここは、磯城瑞籬宮(しきのみずかき・のみや)。

地図(磯城瑞籬宮)

崇神天皇こと、御間城入彦五十瓊殖尊(みまきいりひこいにえ・のみこと)(以下、ミマキ)の元に、一人の女性が参内(さんだい)していた。

天照大神(あまてらすおおみかみ)(以下、アマ)の御杖代(みつえしろ)、倭姫(やまとひめ)(以下、ワッコ)である。

系図(ワッコ)

ミマキ「汝(なれ)が来たということは『アマ』様が、遷座(せんざ)を訴えて参ったのじゃな?」

ワッコ「左様にござりまする。菟田(うだ)の笹幡(ささはた)に参りたいと・・・。」

地図(菟田)

そのとき、光と共に「アマ」様が出現した。

アマ「此度(こたび)の宮じゃが、その名も、佐佐波多宮(ささはたのみや)と申すぞ。」

するとそこに、「ミマキ」の伯父で、義理の父でもある大彦(おおひこ)が乱入してきた。

系図(大彦)

大彦「オミナ(女の子)だけで赴かせるわけにはいかないんだな。それがしも付いて行くんだな。」

ミマキ「伯父上が供をしたなど『記紀(きき)』にも、何処(どこ)にも書いておりませぬぞ!?」

大彦「可愛い曾孫のためなら『おりじなる設定』など、苦(く)には、ならないんだな。」

アマ「では、大彦よ! 『ワッコ』の護(まも)り、しかと頼むぞ!」

大彦「かしこまったんだな。」

こうして、二人と一柱は旅立った。

すると、倭国造(やまと・のくにのみやつこ)が現れた。

すなわち、大倭市磯長尾市(やまと・の・いちしのながおち)(以下、イッチー)である。

系図(大倭氏)

イッチー「エピソード264以来の登場やに!」

大彦「どういうことなのかな?」

イッチー「実は『倭姫命世記(やまとひめ・のみこと・せいき)』において、倭国造が『ワッコ』様に、御田(みた)や采女(うねめ)の香刀比売(かとひめ)を贈ったと書かれているんやに。」

ワッコ「御田は、神に捧げる稲を収穫する田んぼのことにござりまするな? そして、采女というのは、食事や身の回りの世話をする、オナゴ(女)の使用人にござりまするな?」

イッチー「その通りやに! では、紹介するっちゃ。香刀比売こと『カット』やに!」

カット「お初にお目にかかりまする。私が『カット』にござりまする。」

ワッコ「よろしく頼みまするぞ。『カット』!」

イッチー「では、うちは、これにて・・・別に活躍することもないんで・・・( ノД`)シクシク…。」

こうして、一行は、落涙する「イッチー」と別れたのであった。

大彦「では、これから、佐佐波多宮の候補地解説をおこなうのかな?」

ワッコ「ひいじいさま、申し訳ありませぬ。その前に、やっておかねばならぬことが・・・。」

大彦「それは『倭姫命世記(やまとひめ・のみこと・せいき)』に書かれていることなのかな?」

ワッコ「左様にござりまする。東に向かって、誓約(うけい)をしているのです。」

アマ「なぜじゃ? 豊鍬入姫(とよすきいりひめ)こと『きぃ』は、誓約などしておらなんだぞ?」

ワッコ「仕方がありませぬ。そのように書かれておるのです。では、始めまする。我(わ)が、こころざして往くところ、吉(よ)きこと有れば、未婚のオミナ(女の子)に逢(あ)え!」

誓約の結果は?

次回につづく

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