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JW557 お塩の神社

【伊勢遷宮編】エピソード16 お塩の神社


第十一代天皇、垂仁天皇すいにんてんのう御世みよ

紀元前4年、皇紀こうき657年(垂仁天皇26)。

天照大神あまてらすおおみかみ(以下、アマ)の鎮座地ちんざちを求め、倭姫やまとひめ(以下、ワッコ)の一行は、旅を進めていた。 

登場人物一覧表(倭姫の一行)
登場人物一覧表(三人の大夫)

ワッコ「船旅ふなたびは、快適じゃのう。」 

カーケ「されど、そろそろおかに上がった方が良いのではないかね?」 

ワッコ「さ・・・左様さようにござりまするか?」 

くにお「おかに上がらねば、話が進みませぬからなぁ。」 

ワッコ「そ・・・そういうことなら、この浜に船を着けましょうぞ。」 

インカ「二千年後の二見浦ふたみうらにござりまする。」 

地図(二見浦)
二見浦の海水浴場

おしん「おお! 奇麗きれい浜辺はまべだべ。」 

オーカ「まるで、浜辺はまべ美波みなみにあらしゃいますなぁ。」 

ねな「浜辺の基準が間違まちがってるんだけど・・・。」 

ワッコ「し・・・して、このくになんぞ?」 

ワクワク「速両はやふたたび二見国ふたみ・のくにだよ!」 

ワッコ「どういうなのじゃ?」 

ワクワク「二度も見てしまう、二見国ふたみ・のくにってことだね。」 

ワッコ「よ・・・よく分からぬ。」 

するとそこに、一人のおなごがいた。 

ワッコ「ん? あのおなごは?」 

女「・・・・・・。」 

ワッコ「いましの国の名は何ぞ?」 

女「・・・・・・。」 

カット「このおなごは、佐見都日女さみつひめこと『サミー』にござりまするな。」 

ワッコ「何故なにゆえなれが知っておるのじゃ?」 

カット「知っていると言うか『倭姫命世記やまとひめのみこと・せいき』に書かれておりますれば・・・。」 

ワッコ「そ・・・そういうことか・・・(;^_^A」 

サミー「・・・・・・。」 

市主いちぬし「少しだまぎではないか?」 

インカ「なにか、もうしてみよ。」 

サミー「・・・・・・。」 

ワッコ「じっと私のことを見ておるが・・・。」 

乙若おとわか無視むししているわけではないようですな。」 

くにお「ん? かた三角錐さんかくすいの形に焼き固めた塩を運んでまいったぞ。」

三角錐の塩

カーケ「そして、うやうやしく『ワッコ』に献上けんじょうしたんだぜ。」 

サミー「・・・・・・。」 

ワッコ「もしや! いましは、耳が聞こえぬのか?」 

サミー「・・・・・・(うなずく)。」 

ワッコ「そ・・・そうであったか・・・。知らなかったとはいえ、舎人とねりたちの無礼ぶれい、許してくれ。」 

サミー「・・・・・・(微笑ほほえむ)。」 

ワッコ「なんときよらかなおなごであろう。浜辺はまべ美波みなみるであろう。」 

ねな「だから、判断基準が間違ってるんだけど・・・。」 

ワッコ「私は決めたぞ。『サミー』を顕彰けんしょうし、やしろてようと思う。」 

ねな「やつかれが、無視されてるみたいなんだけど・・・。」 

おしん「こうして、堅多かただやしろが建てられたんだべ。」 

カット「二千年後の堅田かただ神社じんじゃにござりまする。祭神さいじんは、当然のことながら『サミー』にござりまする。」 

堅田神社(鳥居と拝殿)

カーケ「鎮座地の地名は?」 

カット「三重県みえけん伊勢市いせし二見町ふたみちょう茶屋ちゃやにござりまする。」 

地図(堅田神社)

おしん「そんでよぉ、『サミー』ちゃんが、お塩を献上したんで、伊勢いせ神宮じんぐうおさめる塩は、二見浦ふたみうらつくられた塩になったんだべ。」 

ワクワク「その通り! 僕が、この浜を『御塩浜おおみしおはま』や『御塩山おおみしおやま』と呼ぼうって宣言せんげんしたんだよね。」 

市主いちぬし何故なにゆえ『ワクワクさん』が決めたのですか?」 

ねな「何故なぜって? ロマンだからよ。」 

アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」 

ワクワク「と・・・とにかく、ここが、お塩を造るところになったんだよ。その証拠しょうこってわけじゃないけど、御塩殿みしおでん神社じんじゃが有るよ。」 

御塩殿神社(鳥居と拝殿)

ワッコ「御塩殿みしおでん神社じんじゃ?」 

オーカ「祭神は、御塩殿鎮守神みしおどののまもりがみにあらしゃいます。」 

ワクワク「ここで、お塩が造られているんだよ。」 

ねな「鎮座地は、伊勢市いせし二見町ふたみちょうしょうよ。」 

地図(御塩殿神社)

ワッコ「では『サミー』よ。これからも、お塩のことたのむぞ。」 

サミー「・・・・・・(微笑みながら、うなずく)。」 

旅は、まだまだ続くのであった。

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