#8 主体的な学びを促す授業デザインの工夫: ゴール設定の重要性
授業準備編その2
1はじめに
授業準備編その1では、教材研究についてお話をしていきました。
詳しくはこちらを↓ご覧ください。
今回は、授業準備編その2。
授業デザインについてです。
授業のユニバーサルデザイン(授業UD)とは別物です。
区別するために、授業コーディネートといってもよいかもしれません。
混乱するので、今回は授業デザインを使います。
授業デザインとは、授業を45分の物語として考えます。
そして起承転結のあるストーリーを考えるのです。
起承転結をデザインできるようになると、指導案を書いたり、板書計画を考えたりすることもスムーズにできるようになります。
2授業をデザインする
学級経営同様、授業にもゴールが必要です。
物語でいうとう、結末にあたります。
まずは、ゴールの設定から始めます。そして、ゴールから逆算して、振り返りにはどんなことを書いてほしいのか、まとめ、展開、めあて、導入はどうするのかを具体的に考えていきます。これが授業デザインです。
では授業のデザインの仕方について説明します。
3ゴールの設定
まずは、ゴールの設定です。これがないと授業は終われません。
45分の授業の中で何を身に付けさせたいのかをまず、はっきりさせる必要があります。それが本時のねらいになります。
指導案に本時のねらいを書く際、自分の描いたゴールと内容的に一致するように書きましょう。そうでないと、何をしたい授業だったのか子どもにも伝わらないまま終わることになります。
また、単元全体のゴールを見据えた上での45分になるように意識していきましょう。
4問いをもたせ、めあてを共有する
主体的な授業にするためには、問いをもたせることは重要です。
例えば、算数の授業中、
「先生、終わりました。次何をすればいいですか。」
という質問をしてきた子どもがいたとします。
この子どもは、積極的に教師の指示を待ってはいるものの、問いをもって参加したわけではなかったということだけは分かります。
いうなれば、積極的受動型学習です。
めあてとは本来、児童自身からでてきた問いそのものであり、対話の中から問いをもたせ、共有していくものです。
自力でめあてを立てることができないと、いつまでたっても教師主導型の授業から脱却できず、児童の主体的な学びは実現されません。
そのためには、導入の工夫が欠かせません。
「調べてみたいな」
「考えてみたいな」
「話し合ってみたいな」
といった問いがでるように工夫した導入を考えます。
5子ども達の反応を予想する
めあてを立てることができたら、次は、子ども達の反応を予想し、展開部分を組み立てていきます。
「おそらく〇さんが~~って言うはずだ。」
「昨日の△さんの考えを思い出す人が、いるかもしれない。」
「もし、思い出す人がいなかったら、こちらで■を取り上げて考えさせよう」
「もし、思い出す人がいたら、この発問をすることにしよう」
など。
児童の実態をイメージ、できるだけたくさん予想していきます。そうすると、グループで話し合うことがいいのか、全体で共有しながら検討することがいいのかなど、展開部分で行う活動も見えてきます。
6学習環境を整える
45分の物語が完成したら、最後に、授業がスムーズに開始できるよう環境を整えます。
・前時までの学習のふりかえりをできるようにしてあるか。
・前時の児童のノートは全員チェックしてあるか。
・本時で必要な教具やワークシートなどは机上にあるのか。
・学習過程の掲示(今日の授業の流れを短冊などで)
・学習が成立するグループであるか。
・前時に欠席していた児童がいたときの対処法はあるか。
・忘れ物があった時の対処法はあるか。
・座席表を準備しているか。
せっかく授業をデザインできたのに、学習環境が整っていなくて台無しになってしまうことも十分あるので気を付けましょう。
7振り返る
・子ども達に、できた喜びを実感させることができたか。
・子ども達にとって、学習したことが役に立っているのか。
・子ども達が、またやりたいという意欲をもって終わることができたか。
この上の3点ができていれば、授業は成功といえます。
授業をやるだけで終わらずに、しっかりと自分で振り返る作業も大切です。
8まとめ
「活動あって学びなし」といって、
ゴールがよくわからない授業を揶揄する時に使われる言葉があります。
私自身も「活動あって学びなし」とならないよう、ゴールを意識しながら授業づくりに励んでいます。
ゴールをおろそかにして、ワークシート頼みの授業をすると、ただそれをやらせることが目的になってしまうことがあります。
ワークシートはあくまで、目的を達成するための手段として使わなければなりません。
目的と手段がすり替わってしまうことは、授業だけでなく、学校ではよくあるので注意が必要です。
授業がデザインできるようになると、授業準備にかける時間も自分でコントロールできるようになります。人に見せるような授業の時は少しいつもより時間をかけて準備をして、日々の授業は無理のない範囲で準備をすればよいのです。
地道に教材研究をしていけば、子どもの学ぶ心に火をつける、授業コーディネーターになれると思います。
参考になる方がいたら幸いです。
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