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誰かに紹介したくなった記事をひっそりとまとめています。 ※フォローしているライターの方の文章を勝手に追加してしまっています。不都合等あれば外しますので教えてください。
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記事一覧

消えた日本語の本と、それを追いかけた長い長い旅

〈はじめに〉 ずっと書きたいと思いつつなかなか文章にできないことってありませんか。これから続く長い文章も、そんな経験のひとつです。書けなかった理由は、文章にするとすごく長くなってしまうこと、恨みつらみの詰まった重い文になるだろうと予想できたからでした。これを書いたとて、なくなったものは戻ってこないし、ハッピーエンドでもない。だから気が重くて書けませんでした。 それでも今、書くことにしたのには理由があります。ひとつは、記録としてやはり残しておきたいと思ったから。爽やかな読み

まずやってみよう、そこから考えよう

昨年から、渋谷にある、常識にとらわれず未来をつくる若者たちを支援する「100BANCH」のマガジンで、プロジェクトに集う若者たちのインタビュー記事を書かせてもらうようになった。これが本当に面白くて、途上国の支援を志す社会起業家、古着をリメイクするデザインAIを開発しているエンジニア、培養肉の研究者、火星探査機ローバーの世界大会を目指している未来の宇宙飛行士など、毎回刺激的でほんとうに素敵な人たちなのだ。 まだ世界にないものをゼロから形にしていく人たち。彼らにはある共通の感覚

叶えずに 置いとく夢が あっていい

ついさっき、夢を叶えた。 自宅最寄りの駅前の交差点で、毎晩ラーメン屋台が出ていて、そこのラーメンを食べたのだ。 助っ人外国人みたいな金ピカのネックレスを首に引っ提げたヤクザ役の時の笑福亭鶴瓶に似ているおっちゃんがハイエースでやっている屋台。 メニューはラーメンと、なぜかホットドック。 車の前にはプラスチックの丸テーブル2つとその周りに6つずつほど丸椅子が並んでいて、いつも飲み会終わりの「しめラー」を食べている人々で賑わっている。 つまりだいたいが2人以上の集団でラーメン

自分と半径3m以内の人々を幸せにすることから始まる

こんにちは! 8/22〜8/29まで日本から来られた視察参加者の方々と合計6校の小学校を視察して、その後ずっと色んなことを考えていました。今回の企画は私自身がこれから何をしていきたいのか、どんな人間として生きていきたいのか、そんなことを考える機会にもなったように思います。正直、学んだことや得た情報が多すぎてまだまだ脳が混乱している状態です。笑 その中でも、今日は視察先で出会った校長先生たちの在り方について書きたいと思います。 校長先生には「明確な熱い」ビジョンがある今回の

やさしい人が傷つく世界だから、おいどん大好きクラブつくろう

自分のことよりも、他人を喜ばせ、他人を幸せにできるのが、立派な大人だと思ってた。 優しくて明るい母と、ええやつな弟(↑写真左)と、亡くなったけどめちゃくちゃおもろい父から愛されまくり、ぬるま湯のスパワールドにつかりながら育ってしまったわたしは、他人から嫌われることが怖かった。 だから、できるだけ、できるだけ、他人に嫌われず、楽しんでもらえるように生きてきた。わたしが書くアホみたいなエッセイは、そのことに関しては、めちゃくちゃ気をつかっている。 みんなから愛される、岸田奈

昼休憩を甘くみていました

まさに今、昼休憩中にnoteを書いています。 最近、仕事がどえらく忙しい。ありがたいことだけども。 今にも椅子から立ち上がり、職場へ戻ってしまいそうな足を抑え、これを書いています。 もし、新社会人の方や、つい働きすぎてしまう人がいたら伝えたい。 休憩は、仕事と同じくらい大事だと。 かつて私は「休憩」というものを大変甘くみていました。お腹に食べ物詰めればいいんでしょ、そのための時間でしょって思ってた。今でも忙しくなるとそのクセが顔を出すんだけど… いかんいかん、と抑えていま

ポスト家族論 ~古くて新しい生活単位~

安心なマンションに住んでいる。 というのも、セキュリティがしっかりしてるとか、そういう意味ではない。入居中の6部屋のうち、5部屋に友人が住んでいる、ちょっと変わったマンションなのだ。 このマンションを大きな一軒家に見立てるなら、私たち夫婦の部屋はリビング・ダイニング。住人はこの部屋を自由に出入りしている。 外出して帰宅してみると、私の部屋なのに誰かが我が物顔でくつろいでいたり、 「白いご飯あったりする?」 と、まるで実家に帰ってきたかのように白飯をさらっていく人がい

映画「牛久」レビュー

日本は極めて同質性が高い国だからなのか、同じコミュニティの中にいる人、あきらかにお客さんである人に対してはとてもホスピタリティにあふれている。物価も先進国としては安いので、旅行で訪れる国としては最高の国の一つだろう。 一方で、システムから外れた人に対しては、日本人が相手であっても冷酷になる。それは「おもてなし」の国である日本のB面で、現代版の村八分のようだ。児童相談所の中にある一時保護所においても、一部の場所では子どもに対する人権侵害が起きていた(今も起きている施設があるか

自分の文章を信じるということ

晴れた日に屋外で味わう冷たいコーヒー。子どもたちが寝たあとの静寂と読書。葛藤や焦燥の先に希望が見える音楽。 編集教室から出された「好きなものを教えてください」の問い。私が前述のように回答すると、講師の方からこんなコメントが添えられた。 『共通しているのは、抑圧からの開放ですね』 自分では一貫性がないと感じていた答えに対して鮮やかに引かれた「抑圧」という一本線。思わず唸るようなプロの紐解きは、心に爽快な納得感を与えてくれた。燦々と降り注ぐ光にも元気をもらうけれど、私は身悶

それはお金で買えますか?

少し前になりますが、オックスファムの報告で「世界の富豪トップ10、パンデミック中に資産が倍増」という記事がありました。2020年3月の時点で約80兆円だったトップ10人の資産が、コロナ禍を経た2021年11月には約172兆円になってましたという話。その2年弱の間、では自分は何をしていたかと言うと、そこそこ忙しかったですが、お金はほとんど稼ぎませんでした。ちょっと笑えるくらいに、お金を稼がないタイプの労働ばっかりしてました。でもこの記事を見た時に、例えば惨めさとか、虚しさとか、

孤独を憂うのに一人になりたいなんて

「俺の奥さんは、さみしい病なんだよね」と言ったときの先生は、困ったような顔をしながらどこか誇らしげだった。その表情が意味するものを、私は大人になった今でも読み解こうとしない。 先生は、私が高校2年生のときに赴任した美術教師。学校行事の関係で仲良くなり、卒業してからもよく仲間たちと囲んだ。 私たちの在学中に結婚した先生の奥さんは、とても綺麗な人だった。北欧かどこかの血が混ざっている中谷美紀似の美人。別の学校に勤務する養護教諭で、気取らない雰囲気なのに優しかった。つまりは非の

脱貨幣経済、やってみた。

猟師の師匠が亡くなって、ちょうど半年が経ちました。亡くなった直後には「これで鹿の解体も終わりだな」と思い、冷凍庫に残っていた肉も全部配りきって、一旦は冷凍庫の電源を落としました。でも結局10月から再びやることになり、現在は猟友会関係者の元で解体を続けています。 それでね、今でもよく思うんですよ。なんでこんなことやってるんだろう?って。作業には時間も労力もすごくかかるし、野生獣肉を精肉にして配ろうとすると、お金だって結構かかる。そんなことをずっと続けて、いったい何になるんだろ

東京とは

東京とは、羨望 東京とは、嫉妬 東京とは、見ず知らずの人のブログを読んで泣くこと 東京とは、溺れた鰯 東京とは、電車で人と目を合わさないこと 東京とは、祭 東京とは、祭りのあとのさみしさ 東京とは、人生を棒に振ること 東京とは、ポケットに忍ばせたナイフが錆びつく 東京とは、不要不急のわたしが不要不急のあなたに優しくすること 東京とは、レモンタルトの甘さ 東京とは、誰かの嘘をゆるすこと 東京とは、いつかついた嘘の後始末 東京とは、過剰な過剰さ 東京とは、自分の感受性すら消費する

北欧のビール巡り――ヘルシンキ、ヨーテボリ、レイキャビク

Juodaan hyvää olutta Pohjoismaissa -- Helsingissä, Göteborgissa ja Reikjavikissa 旅行先で雰囲気のいいお店を見つけて、ひとりビールのグラスを傾けるのは私にとって至福のときです。今回は女性ひとりでも行けるおいしいクラフトビールの店をいくつかご紹介しましょう。 Minusta on autuuden hetki juoda rauhallisesti lasin olutta yksin baar