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思春期日記

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不定期更新ですが、自分の中でシリーズ化している思春期日記です。 自分なりに、今だから考えるのだろうなと思うことを綴っています。垣間見える闇の部分や性に対する認識を意識しながら書い… もっと読む
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記事一覧

思春期日記⑦「新古品」

思春期日記⑦「新古品」

バイト先で、久々に中学時代の同級生に会った。僕の家族とも仲が良く、僕にとっても気の置けない友人である彼は、中学卒業後、県内でも有数の進学校に進学した。春からは関東の国立大に進学することが決まっている。

バイト終わりも話し足りなかったので、スーパーのイートインスペースで近況を報告しあった。
彼は、あの頃とは違う柔らかい口調で「進学校では恋を知った」と言う。部活でハーレム状態だった彼は、同じ部活の子

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思春期日記⑥「溝」

思春期日記⑥「溝」

「あなたは読める?」
「あなたはこの言葉の意味を知ってる?」

軋轢(あつれき)、出生率(しゅっしょうりつ、しゅっせいりつ)…
確かめるように2つ開いたが、新たな発見はない。いわば常識チェックのような問題が並ぶトップニュースに辟易としてそっとスマホと同時に瞼を閉じた。

前には近隣高校の制服を着た青年がいる。
平日の真昼間から制服を隠すようにスマホを見る彼は何かやましいことでもありそうだ。どうせ早

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思春期日記⑤ 「童貞作」

思春期日記⑤ 「童貞作」

「処女作」という言葉が書店の新刊から消えつつある。

「処女作」とは作家や芸術家のデビュー作のことを指す。主に本に用いる。
この言葉が最近めっきり使われなくなった。

ネットで調べてみると、この「処女作」という言葉は放送禁止用語とされているらしい。
ランクはCランクだそうだ。
(その用語を使用する背景や状況、文脈の前後関係に注意して使用しないと、不快な思いをする人がいるということ。Cランクの放送禁

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思春期日記④  「感情」

思春期日記④ 「感情」

本を読んでも、映画を観ても、泣けない。
人と会っても作り笑いばかりしている。
課外活動中も、楽しいや嬉しいという感情は働かない。ただ、淡々と。勉強になるなぁと思いながら進めている。

すごく刺激的なことをしているはずなのだ。
そうそう会えない方からお話を聞くことは貴重だ。それが続きすぎているのか。

ー「古書くん、最近心が動いてなくない?」
と周りの大人から言われることが多くなっている。
以前は、

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思春期日記③ 「人・愛」

思春期日記③ 「人・愛」

都会であって、僕のような田舎者の集まる場所、渋谷。

多くの人が行き交っているのをみると、この思春期特有の精子と卵子が受精する瞬間の映像を思い出す。
今、このスクランブル交差点を横切るのは、天文学的確率で結びついた精子と卵子の成果物である。人である以上に、ある男と女の愛の結晶だ。それはとてもロマンに溢れていて、それだけでも生きている価値があるというものでないか!

こんなことをもっと早く思っていた

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思春期日記② 「現実」

思春期日記② 「現実」

ある方と映画を観に行った翌日、その方とお茶をしていると、昨日観た映画の感想を聞かれた。
「僕はそもそも創作物に感情移入することがあまりないんです。」
するとその方はぼそっと言った。

『古書くんがうちに来た経緯とすごく似てるなと思ったけど…』

その映画には、主人公が都会を見たいと、もがくシーンがある。これが、僕が田舎から上京してきて課外活動を始めた経緯と似ているのではと言うのである。

確かにな

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思春期日記①「友達」

思春期日記①「友達」

僕は(自分で言うのも難だが)友達が多い。
北は北海道、南は沖縄までに両手ではとても数えられないほどの友達がいる。
そんな僕も18歳になろうとしている。

18歳といえば、そう!
結婚できる年齢である。
僕の友達の中には、10年来の付き合いというカップルも多い。高校卒業と同時に籍を入れるという噂もある。
そうなると僕にも懸念することがある。
ご祝儀どうする?である。

一般的にご祝儀は3万か5万と言

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