出口きょうすけ

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出口きょうすけ

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最近の記事

白々

何も予定がない日に限って 恨むほど天気が良いから 腹いせに朝から洗濯機を回して 日々のあれこれもまとめて干すんだ バイバイ 明日には忘れておくれよ 乾いた洗濯物 取り込む頃には 空やベランダみたいにすっきり 嘘のように白んでいてよ

    • 金平糖

      小瓶に入った 赤 白 黄色 宝物みたいにしまった 冷蔵庫の一番上 ここなら大丈夫 誰にも見つけられない そうやって忘れてしまってたっけ 甘い甘い甘い一粒 ずっと溶けないで 数センチを刻んだ柱 名前のない近所の公園 全てを覚えていたいのに 目まぐるしい生活 隅に追いやられ隠れんぼ 懐かしいの一言が口の中で弾けた 小瓶に入った 赤 白 黄色 味気なく感じてしまった もうどこにも行けないんだなあ ここなら大丈夫 誰かに言ってほしいだけ そうやって誤魔化してしまってたっけ

      • 森に棲む

        誰にも媚びないでって教えられた 守れるものはあまり多くないみたいだ 平気で嘘もつくし 雨の日は投げやりにもなる まだまだ二本足では歩けそうもないやと諦める 木の実を探すのも息をするのも同じことだと気付いて 遊んでいると思われても仕方のないことだと 森に棲めば全てが全て全て全て上手くいくと思った 着の身着のまま 雨に眠り 夜に目覚め 洗いざらしのフレーズ 忘れもできず 怠けた信号機急かし ルートを辿っていく 君には出来ないよって宥められた 話せることはあまり多くないみたい

        • ゆりかご

          風の匂いも 雨の匂いも変わって 「ああ この服ももう着られないや」って ゆりかごに乗った僕ら うつらうつら 漕いで 次の季節へ渡った 急ぐ先は分からない ゆりかごに乗った僕ら 実り実り 焦がれ 忘れた頃に過ぎてった またしばらくは会えない

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        • リリックス
          22本

        記事

          七日

          空っぽだ 溢れてた 嘘っぱち 目を瞑った 月を見て ベランダで 金の輪が僕を放った 終いにはぐるぐる回り 忘れてしまうだろうか 跡形もなく消え去った 消え去った

          ワンマンライブ

          今日も終わったかい? そっと見ていたよ ただの細い道をステージに変えてしまう君を 立ち止まることのない街の流れ 「わかってほしいよ」と 何度も投げつける君を 憧れのバンドを聴きながら 電車に揺られ帰るのだろう 一人きりで 独りよがりで 何が正しいかも合っているかもわからずに 一人きりで 独りよがりで わかってないのは自分だと気付くのさ 最初のアドナインスコード くるくる回る右手に任せたリズムと 思いつく水色の明日を 憧れのバンドを聴きながら 寄り道もせず帰るのだろう

          ワンマンライブ

          ローライト

          最初のあのコードを鳴らしたあのとき、そうあのときからはじまったんだ このワクワクも いつも引っかかるような気持ちで過ごした毎日も 歌わなきゃいけない 歌いたいことがあって このまま暗い部屋にいたら腐ってしまう 夕暮れのスクランブル交差点 すれ違ったあなたはこれからどうする? わかってないんでしょう 僕のように あの人のようになりたい もっと遠くにいかなきゃいけない 汚い言葉も吐いた、誰かに笑われた 10年後もどこかで歌っているよ あの朝はもう来ないから待ち遠しいんだ 駐

          ランプ

          寝て起きて 繰り返し 何も生まれない 抱えたものを投げる 日々と 教えてくれなくて いいよ、と カーテンを閉めて おやすみ 画面に映されるそれぞれを つまらない くだらないと嘆く僕と 同じくらいどうしようもない つまらない くだらない毎日 書いて消して 繰り返し 何も埋まらない 重たいものを捨てる 意味と 教えてやれなくて ごめん、と もういいや もういいよ おやすみ 画面に映されるそれぞれを つまらない くだらないと嘆く僕と 同じくらいどうしようもない つまらない

          湯冷め

          お風呂上がり 髪も拭かず タオル羽織って ただ座り込んでいるだけ 外の景色を見たいけど 曇りガラスみたいに白んでいた 何も浮かばないときは仕方ないよなあ 湯船に沈んだ あれやこれも 栓を抜いて さよなら

          ミントタブレット

          ミントタブレット手放せないし 誰かの事故も願ってしまうよ 気付けば朝まで歌ってしまうし 世界の終わりを嘆いてしまうよ 意のままに目配せさせる ただの箱の理想の価値を 少し高い台に乗って 嘘をつくだけ 小さな一歩を大きな一歩にした偉人も ガムを噛んで街を歩く若者も 変わらない、変わらないよ 昔からの癖は直らないし いつかの喧嘩も忘れてしまうよ たしかに歳は重ねてきたけど 世界の終わりは今も怖いよ 意のままに目配せさせる ただの箱の理想の価値を 少し高い台に乗って嘘をつく

          ミントタブレット

          水色

          ただいまの後に続かないおかえり 好きな物に囲まれた生活は退屈で ここから見える水色はすごく眩しいんだ ​ 焦るように息をする 毎日死んだように暮らす どんな日だったの どんな日だったの ​ 夜が眠くなかったら もっと楽しいのに そうしたら毎日遊ぼう そうしたら毎日遊ぼう 次第に楽しくなくなって そうしたら毎日眠ろう 水色の夢を見よう ​ ただいまの後に続かないおかえり 好きな人に囲まれた生活は退屈で ここから見える水色はすごく眩しいんだ ​ 思うことは言えない 毎日忘れるよう

          のぞくこと

          のぞくことをやめたのは のぞかれることを恐れたからで 思い立つと毎日は変わった もっと見るべきものが溢れた 昨日 飲みかけの紅茶 ちょっと口に含んで 今日は何をしよう、と 散らかった部屋で ゆっくり息を吸って 壁にもたれかかって 誰の目も気にせず 本当を歌いたいと思った のぞくことをやめたので のぞかれることがなくなった どれもこれも気持ちの持ちようで すべて自分次第だとわかった 明日 忘れていた予定 ふっと思い出して 今日は何をしよう、と 散らかった部屋で ゆっく

          千代に

          小さくも淡いぬくもり 産まれたとき包まれた それと同じなのだろう きっと つまらない日々が霞むほど 淡々と 黒と白が混じった数字の羅列 ああ すぐに眠りたい この後 夢の中 星になるの どこ行くの あと少し 一息だけ 深く潜りこんで 全ては変わってしまった 冷たくも緩い光は 目覚めたとき包まれた それと同じなのだろう きっと 終わらない日々が揺らぐほど 燦々と 少し針が傾いた 瞬きもできず ああ すぐに眠りたい この後 夢の中 星になるの どこ行くの あと少し 一息

          都会に向かおう

          都会に向かおう ここにはない輝きがあるんだ 僕には憧れがあるよ 地味な服を着てるけど 話せるのは猫くらいだけど オレンジかグリーンの色を探そう 歩き回って よく人にぶつかっても 都会に向かおう ここにはない輝きがあるんだ 熱意を持って向かおう 誰も聴いていないけど 話せるのは猫くらいだけど 透明なゆっくりな空を探そう はしゃぎ回って 疲れてしまったとしても ねえ、向かおう 期待を持って向かおう ねえ、向かおう 今日の午後には向かおう 特に何も入っていない古びたバッグ 帰

          都会に向かおう

          その日暮らし

          休日には爪を切って 1日の献立でも考えよう まだ少し眠い目擦り 出たばっかりの布団 優しい誘惑 赤々と点いた部屋の明かり 意味のないものなんてないと 言い聞かせてほしい 休日には髪を切って 慣れるまで少しかかりそう 通りすがる鏡をのぞき 短くなった前髪 気にして引っ張って 赤々と浮いた遠い夕日 意味のないものだってあると 言い聞かせてほしい 休日には見栄を張って それにも意味があると 言い聞かせてほしい

          砂遊び

          振り向いた矢先の鈍痛に 薄れていくほんの数秒で 人は誰それとすれ違った ひと握りは掴んで もうひと握りは逃した 仕方がないね、とこぼした 切り取った目先の反芻に 笑みと涙は半分こずつで すぐに両手が塞がった ひと握りは掴んで もうひと握りは 仕方がないね