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「教えない」を教える授業 美術館発×社会科で育つ力

日曜日の午後。

ゆっくりとした時間に浸りながら、仲間たちの記事を読み耽る。

いや~面白いな~と思いながら時間を見ると、

「なにっ!?我が記事の投稿時間内に入っているではないかっ!」

と思い、急いで投稿。

気を付けなきゃね~笑


教え込み教育の弊害。

そんなことが唱えられる中、「探究する授業」と銘打った授業の方法が研究されるようになっていっています。

その「探究する授業」の一端を担い、教え込み教育の再極端とも呼べるものが

「教えない」を教える授業

です。

「いやいや、『教えない』を教えるって、教えとるやないかい!!」

という声が聞こえてきそうですが笑、

「内容を直接的に教えるのではなく、子どもたちの発想を引き出す」といった言い方が適切かもしれません。

一方で、何でもかんでも「教えない」という行為をしていては、ただの職務放棄です。

そこで、この記事では、

「教えない」で教えるとはどういうことか。
どのような題材のときに使えるのか。

といったことをまとめていけたらと思います。

純粋な好奇心で楽しんでいってもらえたらと思います。


対話型鑑賞

「教えない授業」というものは、教育界で時折耳にすることがあります。

ただ、それは、腕を磨き続けた教師が、子どもたちの力を鍛え上げ、教師なしでも授業が運営できるようなステップを踏んだ上の話という気がします。

この章で紹介する「教えない授業」はかなり取り組みやすい。

なぜなら、それは、学校教育発ではなく、美術館発の「対話型鑑賞」のプログラムだから。

この「対話型鑑賞」のプログラムは、ニューヨークの近代美術館で開発されたものであり、それを学校教育を軸とした鑑賞教育にカスタマイズしたものなのです。

題材は、美術館に飾られているようなアートを使って行います。

例えば絵画をみて、

「絵の中でみつけたこと、気づいたこと、考えたこと、疑問でも何でもいいので話していきましょう」

と子どもたちに投げかける。

そこでは絵に関することなら、何を発言しても許されます。

ここでの大人は、授業者というよりも、ナビゲーターという立ち位置。

どこからそう思う?
何でそう思ったの?

そのような問いを投げかけていくことで、さらに深い観察力を子どもから引き出すのです。

これを10回も続ければ、

全体授業で萎縮してしまっていた子どもたちが発言するようになる。

最初は気付きを1つしか書けなかった子どもが、時間目一杯を使って何十個も書けるようになる。

という変化が訪れます。

何を言っても許される風土と、
さらに深い観察を促される問いが、

それを実現していくのです。


筆者が行っていた社会科の授業

筆者は、この美術館発の「教えない授業」の存在を知ったときは、非常に驚きました。

なぜなら、筆者は社会科の授業で、全くこれと同じことを行っていたからです。

それは筆者の考えではなく、NPOで教えてもらったやり方が、この方法と酷似していたのです。

筆者の所属するNPOの創業者は、教育界に革命を起こした人物ですが、1980年代には全国的に活躍していましたから、この美術館のプログラムを知っていたのかもしれません。

よって、ここからは、この美術館発のプログラムを社会科で行うとしたらどうするかという視点を用いて、授業の実際を語っていけたらと思います。

筆者がよく社会科の導入として行うのは、1枚の写真、絵だけを見せることです。

そして、子どもたちに指示をします。

「この写真(絵)を見て、ほんの少しでも分かったこと、気づいたこと、思ったことをできるだけたくさんノートに書きましょう。」

この「ほんのちょっと」という言葉が心理的ハードルを下げ、

「できるだけたくさん」が観る目を育てていきます。

例えば以下の写真。(3年生単元)

著作権上、教科書の写真をもってくることができなかったので、この写真です。記事の内容は関係なしで。

この写真から皆さんは、

分かったこと
気付いたこと
思ったこと

をいくつ書き出すことができるでしょうか。

筆者のクラスの子どもたちであれば、平均で20~30個
多い子で50個以上書き出すことができたと思います。

制限時間は5~7分程度で、です。

例えば以下のような意見。

①バスが倒れている
②バスが燃えた後かもしれない。
③高速道路かもしれない。
④消防車が来ている。
⑤救急車が来ている。
⑥黄色い袋みたいなものがたくさん落ちている。
⑦消防車からホースが伸びている。
⑧着ている服の色が違う。
⑨服に8種類の色がある。
⑩標識が倒れている。

などと言った意見が次々と出されていきます。

これだったら、誰でも取り組むことができる。
どのような学力の子どもでも安心して社会の授業を始めることができるのです。

そして、1枚の写真という限定的な条件を用いることで、パッ見て分かる情報を出してからも、より詳しい情報を探ろうとしていく。

例えば、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・救急車や消防車のつくり
・道路に引かれている白線の意味
・服の色による仕事の役割の違い
・どのような衝突の仕方をしたのか
・負傷者はどこに行ったのか

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

などのような一歩奥の世界に踏み入れていくことができるのです。

ここで、

5個見つけたら1年生レベル
10個見つけら2年生レベル
15個見つけたら3年生レベル

といった達成目安を設けてもいいですし、

ひたすらに、

「もう〇個も見つけたの?うそ!?」

などと驚いても、子どもはやる気を出します。


教師しか知らない世界に連れて行く

このように1枚の写真や絵から観察し、交流し尽したら、自然とたくさんの疑問点が浮かんでくるはず。

「その疑問点を調べるために次回から授業をしましょうね。」

と持っていくのです。

ただ、年齢が低ければ低いほど、深い質問が出てきづらい傾向はある。

その時に為に、教師が一歩深みのある世界へ連れて行く発問(質問)を行うのです。

・パトカー、消防車、救急車のうち、事故があった時に1番に到着するのはどれですか?

・この写真の消防車に乗ってきた人に黒丸、救急車から乗ってきた人に赤丸をつけましょう。

・火事があったときに消防車は何分以内に到着するのですか?

などなどです。

3年生の方角を習う勉強をする時も、学校の校舎の写真を見せたりしますが、その時に「見えざるを見せる」発問があります。

「南はどちらですか?」

という問い。実は学校の運動場は全て南につくられているのです。

そのような「教師にしか見えない世界」を提示して、より疑問をもたせる。

そして次から調べ学習を行っていくのです。

教師がこのような補助的な質問を加えたとしても、ベースは自分たちが考え出した問いではある。

子どもは自分で考えたものは、自分で解決したがります。

そこから主体的に調べる種火を植え付けることができるのです。


まとめ

筆者は社会が好きです。

なぜかと言えば、社会は「発見」ができる教科であるから。

以前受け持った6年生の女の子が4月に言っていました。

「先生、私、社会大っ嫌いなんだ~」

しかし、1年間のうち、1回も嫌な表情は見せませんでした。

「〇〇先生の社会は、なんか面白い」

と、後々、個別でそのように口を開いてくれたこともあります。

それは社会を「知識を教え込む教科」と捉えずに、

「自ら疑問をもち、発見させる教科」と筆者が捉えていたからだと思うのです。

それが、この記事の冒頭で紹介した、美術館発の「『教えない』を教える授業」につながっているのではないかと思っています。

筆者は社会はそこまで得意ではありませんでしたが、教師になって、全国の社会マニアの先生に教えを乞う中で、

「なんちゅー面白い教科なんや!社会は!」

と覚醒していきました。
(なぜか関西弁笑)

また、知的興奮を味わったり、「もっと知りたい!」と思えるような社会科の授業を別の記事で紹介できたらと思います。

また、筆者は全ての教科や内容を教え込まない訳ではありません。

例えば、算数という基本的な計算スキルが必要なものはしっかりと教え込みますし、

体育や図工など技能がいるものも当然教え込む場面があります。

あくまで基礎・基本となる土台は教え、発展性のある課題で創造性を解放させていくことを行っていたので、その点は誤解を生まないように付け加えておきます。


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