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敵わない街。

母と祖母と集まってワイワイした金曜日からの土曜日。ぼんやり。薄曇りの空に、赤いイチゴが映える。


数日前に、神保町に行ってきた。ほぼ1年ぶり。神保町に行く時は、少し心の準備が必要で。街全体が「博識」というオーラをめらめらと纏っている、感じがする。無知な小娘が足を踏み入れて良い場所ではない気がする。少し萎縮してしまう。でも、行く。癖になるこの緊張感。

「東京堂書店」に行くこと、谷崎潤一郎の「細雪」を買うこと、その2つだけを決めておいて、それ以外はノープラン。三浦綾子の「氷点」を読みながら、電車に揺られる。「氷点」は祖母と母のお気に入り。2人の人生、思考回路をたどっているようで、なんだか嬉しい。

神保町に着き、外に出る。晴天。平日なのに、人がたくさんいる!と思ったら、東京メトロの謎解きに熱心に取り組んでる人たちだった。

古本屋の外に出ているワゴンを片っ端から見ていく。本でいっぱいのワゴン。「店主とスタッフが選んだ本」っていうサインがかかったワゴン。単行本が300円のワゴン。文庫本が200円のワゴン。夢と希望。おなかいっぱい。

ブンケンロックサイドで、村上春樹の「雑文集」が目に留まる。パラパラめくってみる。ビーチボーイズの話、翻訳の話…まず「自己とは何か(あるいはおいしい牡蠣フライの食べ方)」「ドーナッツをかじりながら」「みんなが海をもてたなら」目次に並んだ言葉が魅力的。300円。レジに行く。私は大型書店に育てられてきたような人だけど、最近、個人経営の書店に惹かれている自分がいる。みんな違って、みんないい。

再び、ふらふら。私はプラプラっていうより、ふらふら。映画のパンフレットが200円。「JFK」があって、思わず手に取る。主演のKevin Costner(ただただカッコイイ)を始め、Gary Oldman, Tommy Lee Jones, Donald Sutherland, Kevin Bacon, Joe Pesci(ホームアローン!), Vincent D'Oofrioなど、見応えのあるキャストが勢揃い。3時間以上ある映画っていうのがネック。監督は「プラトーン」のOliver Stone。ラストシーンが好きです。

目的地の「東京堂書店」へ。初めて来たのに、なんか落ち着く。「細雪」を発見。しかも中公文庫のバージョン。新潮文庫のように上中下と分かれていなくて、がっちり分厚い。どっしり。しあわせな重さ。目的達成。満足。

帰る前に「亀澤堂」でどら焼きを買う。こしあんのどら焼き。絶対おいしい。大福も気になった。(どら焼き、とても美味しい。皮がふかふかしてて、しっとり系よりこっちの方が私は好み。)


今度はどこか喫茶店に入って、珈琲を飲もう。カレーを食べよう。神保町が似合う大人になろう。敵わない街。ちょっと背伸びしたくなる街。知らないことがまだまだいっぱいあるな、と思い出させてくれる街。一生、追いつけない背中。敵わないと知っていても、夢を見る。

月面着陸成功、
おめでとうございます✨
I am such a "look at the moon" person.


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