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レントよりゆったりと〔随想録〕

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#エッセイ

#名刺代わりの小説10選

#名刺代わりの小説10選

定期的にやってみるタグ企画。
今回は #名刺代わりの小説10選 。10年以内に読了した国内作品という縛りをつけてやってみた。
なお、前回やった #私の最愛海外文学10選 はコチラ↓↓↓



(作者名は敬称略で失礼します)

国宝/吉田修一

任侠の家に生まれた男が歌舞伎界にいざなわれ、稀代の女方として大成するまでの壮大な物語。ライバル関係にある梨園の御曹司とのドラマは、何度読んでも涙なしにはや

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ノスタルジアの是非【エッセイ】

ノスタルジアの是非【エッセイ】

太陽とシスコムーンをご存知か?

モーニング娘。を擁するハロー!プロジェクトの黎明期、一部のファンのハートに鮮烈な衝撃を刻むだけ刻んで、わずか1年半の活動期間で泡のように消えた女性4人組ダンス&ヴォーカルユニットのことだ。

代表曲「ガタメキラ」

大人気曲「宇宙でLaTaTa」

矢口れんとの葬式で流して欲しい曲No.1
「Magic of Love」

「強め」「ギラギラ」のワードと共に語られ

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幸福の値下げ【エッセイ】

幸福の値下げ【エッセイ】

過去に「幸福は800円で買える」といった内容のエッセイを書いたことがある。失意のどん底にいた時に、導かれるままに入った【牡丹園】の入場料が800円、その後に立ち寄った本屋で手に取った新書が800円だった。どちらも自分の人生に大きな転機をもたらした体験であり、幸福を見い出すために必要な金銭はそれほど多い額ではないという意味だった。

今年、地元にある牡丹園がリニューアルオープンをしたそうで、それをき

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微BL【エッセイ】

微BL【エッセイ】

本を読まねば死ぬくらいのところまで来ていた。決して時間的余裕が生まれたわけではなかったが、隙間時間を見つけて小説を開くようにした。正直いつ死んでも仕方ないとは思っているが、回避できる死ならば回避しようと動くくらいには執着もある。

話はいきなり飛躍するが、森茉莉、長野まゆみ、凪良ゆうの3人を僕は一本の線で繋ぐ。系譜とまでは言い切らない。あくまで「僕は」ということなので、細かいアレコレや異論があって

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コラージュ【エッセイ】

コラージュ【エッセイ】

自宅では甘えん坊でイヤイヤ期の児、保育園の発表会では泣かずに演技をやり遂げた。
このようなひたすらに微笑ましいことに対しても、感情を複雑に交錯させてしまうのは僕の悪い癖である。
バカ親に徹する傍らで、自身のどこか冷ややかな目のことも大事に温めている。
僕が意識的に「僕の児」や「うちの児」という言葉を避けているのは、現時点では正解だと思っている。
親と子は地下の根でキツく繋がっているが故、地上ではあ

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目指すは紙上の舞【エッセイ】

目指すは紙上の舞【エッセイ】

年が改まって初めての投稿になります。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
年始を襲った衝撃的な災禍。罹災された方々、ご家族・ご友人の方々には心よりお見舞い申し上げます。
被害がこれ以上拡大しないこと、今もなお苦しんでいる人たちに物資と人的支援が、医療や慰みが行き渡ることを切に願っております。



殺伐としたニュースや言論が飛び交う中に「天災に乗じて現地入りしてくる音楽家や芸術家に気をつけろ

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自薦あれこれ2023

自薦あれこれ2023

めまぐるしく過ぎていった2023。過去10年でもっとも書を開かなかった1年だったかもしれない。逆説的に「書を開かないと生が擦り減る」ことがよく分かった1年でもあつた。
毎年「今年の10冊」的なものを考えるのだが、読書量が少なすぎてイマイチな結果に終わってしまった。
そこで今年に限らずに最愛海外文学10選を考えてみたら、心に血がふたたび通うような感覚を得た。やはり本を読むことは僕の人生に必須なのだな

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コツコツチビチビ

コツコツチビチビ

こんばんは。
突然ですが、この度「転職」いたしました事をここに報告いたします。
以前よりもたいへんになることは目に見えていたのですが、年齢的に最後のチャンスかと思って決断しました。

わざわざnoteで報告する理由は、もちろん「低浮上をご容赦ください」に尽きます。
すでに神話創作文芸部ストーリア部員や、フォロワーの皆様方の記事へのリアクションがかなり遅くなっており、更新頻度にもついていけず申し訳な

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あの鼻歌がまだ鳴っている【エッセイ】

あの鼻歌がまだ鳴っている【エッセイ】

先日、とあるYouTuberの「歌ってみた動画」を観ていた。原曲の歌手が好きで、その曲は彼らの作品の中でも飛び抜けて難易度の高いものだったから、期待半分、不安半分で見届けた。
──5分後、2度とこのチャンネルを観ることはないだろうと思ってしまった。ごめんなさい。

実際、そのYouTuberはかなりしっかり歌唱していたと思う。低音から高音域まで狂いなく音を当てていた。難しいリズムもしっかり刻んでい

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フリーライティング#20 花と窓

フリーライティング#20 花と窓

【フリーライティング#20】
 2023/8/15 p.m. 15 min.

「iPhoneのストレージがいっぱいです」のメッセージが煩わしかった。脳のメモリを肩代わりしてもらってるにもかかわらず。文句を垂れている自分を恥じて不要なアプリや写真を消し始めるまで、少々の時間が要った。
そんな中で見つけた、3年前の春に撮った花の写真。通勤路に一本だけ立つ中背の樹に咲いていたものだ。
通るたびにその鮮

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んももも!

んももも!

数年前より桃モッツァレラにハマっている。
「も」が3つも並んでしまって呼びにくい気もするが、意外とそうでもない。語頭に「ん」をつけて、一気に吐き出すのだ。

んもももっつぁれら!

桃1個、フレッシュモッツァレラチーズ1個、オリーブオイル大さじ1、塩小さじ1、コショウ適量。

ルッコラやベビーリーフ、水菜あたりと合わせても美味しい。
左下の赤いのは、魚介と夏野菜をトマトとコンソメでテキトーに煮込ん

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8年目の自己紹介と自選作品

8年目の自己紹介と自選作品

まずはご挨拶として、牧歌的雰囲気の漂うパンケーキと、牛飼いの少年たちの物語を。

こんにちは。矢口れんとです。馴染みの方も初めましての方も、お越しいただきありがとうございますm(_ _)m
先日、note運営より7周年のバッジを頂き、晴れて8年目に突入しました。毎年、1年間の活動報告も兼ねて自己紹介記事を更新しています。

冒頭の掌編小説『賛歌と鼻唄』は、本来は活動時代地域の全く異なるふたりの宗教

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今後の個人活動についてのご報告

今後の個人活動についてのご報告

いつもお世話になっております、矢口れんとです。

創作にまとまった時間を取れず、やきもきする日々が続いています。せっかく記事にリアクションをいただいても、相手方の記事まで読みに行くことも難しく、note内の活動が広がっていかないことに悔しさを滲ませています。

創作者として死活にかかわる問題かも、、、などと考え始めてから、そう短くない時間が経過しました。文芸を中心に据え、音楽や絵画や舞踊などの芸術

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フリーライティング#10 金切り声

フリーライティング#10 金切り声

【フリーライティング#10】
 2023/5/13 p.m. 5 min.

ロックサウンドの中にあって、ギターと無関係な旋律で火花を散らすストリングスパートは非常に美しい。まとめよう纏まろうとせず、一心不乱に、はみ出そうはみ出そうとして金切り声を上げるヴァイオリンほど心を抉る音はない。これはクラシック界から見たら邪道と呼ばれ、破門を辞さないものなのだろうが、僕の脳裏には、羨望を悟られまいと必死に

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