Giuseppa Mancini

Via Enrico Fermi, 63 10090-Sciolze TO

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最近の記事

卑怯者たちについて

俺はバカだからわからねえけど、と前置きをする人 素朴さに居直る人 人を殺したりレイプをしたりする自分を想像しない人 他者に特定の認識を禁じたり強制したりする人 内心と発話が直結するのは自然であり無謬な行為とみなす人 成田空港に初めて降り立ったとき、地中海とは違う匂いを感じた。湿度が高く、鼻腔の奥を刺激することなく、ただそこにじんわりと滞留し続けるような、あれは微弱な海藻のような香りだった。 電車を乗り継いで渋谷に着いた。人々が何層もの柵のようにならぶあれの奥が、ナ

    • 相対的に語ることの限界について

      東京東京東京東京東京東京王子 お便りをいただきました。ペンネームMacIntyreさんからです。 科学的知見は時とともにその総量を増やし、また改良され続け、専門家のみならず一般の人々の認識もそれに合わせ変化していった。 人々は天動説をかつての意義をもって真面目に論じはしないし、写真に魂を抜かれないかと怯えることもない。現代人はキツネにだまされない。 (今後大絶滅でも起こらない限りにおいて)〈人々の科学リテラシーは向上し続けてきたし、今後も向上し続ける〉という楽観的な進歩

      • 性癖の発露について

        おはこんハロチャオ〜。マンチーニです。 性欲に由来するものを、そうでないと否認したことはありませんか。あるいはそもそもそのことに気付いていなかったり、深く考えたこともなかった、そういった場合もあるでしょう。 アイドルや架空のキャラクターを「推す」とき、その「推し」行為は無謬とされ、善いもののされ、むしろ賞賛されたり推奨されたりするべき行為のように扱われることがあります。 そしてときには、それは侵犯されざる個々人の内面の神聖不可触の部分の発露である(ゆえに「尊重するべき」と

        • 魔法陣完成について

          三角コーンと立ち入り禁止ポールによる過不足のない最小限の魔法陣が完成していた。 過剰や不足のある、不正確な内容の発話というものが、わたしには悪徳であるように思われる。 正確な記述のみで満たされた世界はコミュニケーションが完全であるため理想的なあり方で、反対に、「不正確エントロピー」とでもいうものが増大した世界はコミュニケーション不全に陥っており、理想郷から遠のいたものであろう。正確であることは善く、不正確であることは悪い。悪いことに加担するのは悪徳である。 思うに、わたしは

        卑怯者たちについて

          性欲は恋じゃない -万物の始原について-

          今日はギリシア哲学の話をしようと思う。 当然ながら私はイタリアというヨーロッパの土壌で育つ上でギリシア文化から多大なる影響を受けている。 火、水、土、空気を万物の構成要素とした四元素説を説いたエンペドフィリアクレスを受け、アナルクサクサマンドロスの弟子であるデカクリトリスはアルケーを巡る諸問題に原子として応答したもののこの反証は不十分である。 ただ四元素説に足りない要素がある、それは恋である。 火と恋の結びついた燃えるような恋 水と恋の結びついた湿っぽい恋 空気と

          性欲は恋じゃない -万物の始原について-

          脳味噌について

          脳味噌が腐っていないやつと腐っているやつがいることが最近分かった。 いや正確に言うならば、どちらも腐っている。 発酵しているものと腐敗しているものだ。 つまりは頭の内側に巣食っている菌が違う。 菌の違いは俺には直ちに分かる。 ただ、良い菌か悪い菌かは乱暴に措定されているのみである。 脳味噌の皺の間に膿が溜まっていく妄想は5歳の頃から片時も離れない。

          脳味噌について

          ベジタリアンの私が原始狩猟社会に転生したんだけどドングリのアク抜きダルすぎワロタな件

          IKEAで購入したこの「プラントボール」を食べてみたところ、材料に肉は一切使用していないとのことなのに、そうとは感じさせない確かな食べごたえと濃厚な旨味があり、とても良かった。おすすめです。

          ベジタリアンの私が原始狩猟社会に転生したんだけどドングリのアク抜きダルすぎワロタな件

          欲について

          酷い二日酔いで何も胃に入れたくなかった。 石灰岩になった私は水道水を飲み干す。身体の渇きは通る一瞬だけ癒される。 欲は私を突き動かす。 自分の意思外からの操作を明確に感じる。イドなんかでは決して無い、もっと外的なもの。 未来への志向性からも欲は産まれる。 色々な可能性の束と自分が繋がる。 何も思考も実践も出来ず、ただ身体の回復を待つだけの、大きな時間性から切断された、ただ物だけがある状態。 ノミはずっと待っている。 肉体に由来する関係束とのラディカルな切断こそ

          欲について

          在り方について

          皆さんこんにちは、マンチーニです。 タイトルの在り方の厳密性については措くとする。 あらゆるものがスペクタクル化されたこの社会、そして世界をとてつもないスピードで内化する資本主義の中での在り方について。 私は今まで、勢いを増す濁流に飲まれながらも抵抗することを意図していた。 しかしながら、ここ最近は奈落へ堕ちていく様子の方が適切ではないか、と考えている。 それぞれ固有の質量が度を越した加速度を以て、またその加速度を増しながら、奈落の底へと突き進んでいる。 いつ奈落

          在り方について

          新幹線で一番座り心地の良かった座席について

          トイレの暖房便座。 考えてみると新幹線内で唯一可能な個室であるし、人がそこに座りながら占めることのできる空間、つまりトイレの1個室は指定席1席よりも広くて、何よりむき出しのケツがあたたかい。しごく当然の話なのだ。

          新幹線で一番座り心地の良かった座席について

          生まれ出づることなく埋葬された星々の言葉たちについての永久の哀悼

          ひとつの言葉はひとつの世界だ。 連なった言葉は、連鎖した言葉は、世界の死を意味する。それは二重の死だ。そして、その二重の死は連鎖した言葉の数だけさらに重なる。 ある一意の意味を提出するために選ばれたふたつの言葉、AとB。選ばれなかったCとDとEとFとGと他の全ての A nor B の要素さんたちの死。第一の死。 AとBのふたつの言葉の組み合わせによりその句の意味が一意に定まったときに出生したAとBの積集合 A and B の要素くんたち。同時にAとBの排他的論理和 A

          生まれ出づることなく埋葬された星々の言葉たちについての永久の哀悼

          Raindrop, Droptop, Smonkin' on cookie in 家父長

          その日は朝から夜だった。 私は目覚めると同時に死に、その瞬間に母親の胎内からオギャッ産まれた。 地球は原始のスープで、知性を持ったイカの系譜の生物が生存戦略上の頂点におり、生の華々しさを享受していた。 全ての風は停止していたので、彼ら知性イカ生物は空気の厚い塊に触れるにつけ「おや、ここに風があるぞ」とツイートする。ボタン搭載型の折り畳み式iPhoneで。 空から曼荼羅が降ってくる。諸仏諸尊は中心部が低音を、そこから外側にいくにつれ高音を担当している。聞こえてくるのは

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          今日という日について

          今日という日について書く。 今日という日は、というものは私にとっては記述された歴史そのものである。 即ち、この日を歴史的にどう位置付けるかについて政治的に解釈と実践を行うのは私自身である。※この日記は誰にも読まれない限りにおいて。 つまりは、ただのマッチポンプであり、マッチポンプの結果が未来に産まれるだけである。 未来の私は今の私と断絶しているので、つまりは代理母出産であると還元出来る。 代理母出産での主な人権的争点は、構造的搾取だ。 ここでの構造は、今日という日

          今日という日について

          刺激的なことについて

          生を駆動させるエンジンは世界の捉え方に対応している。 世界を箱型に捉えると有限である刺激的な集合の一部を刺激的でないことにしていく作業は刺激的なことの総量を同時に減らしていく。 より精確に捉えてみよう。 対象が刺激的か否かは自らの状態との関係性により規定される。 つまり、刺激の享受(=刺激的な集合の一部を刺激的でないことにしていく作業)は、刺激的なことの総量の増減とは相関しない。※増減量のボラティリティについての二次相関は存在する。 捻りを加えてみよう。 主体と対

          刺激的なことについて

          炊飯器について

          みなさんこんにちは、Manciniです。 今回は在日イタリア人である私が日本での生活における疑問点を書き記したいと思います。 ひとつは炊飯器です。 私は幼少期の頃からあれがどうしても仮面ライダーの生首にしか見えません。 家の中に仮面ライダーの生首が常にある状態はとても異常です。 また頭部をぱかりと開け、食べ物を取り出す様子はハンニバルのラストシーンでのみ観られるものではなく、私にとっては日常でした。

          炊飯器について

          発話者は光、言葉は影

          こちらは対象そのものについて語っているし、対象そのものについて語り合っていると思っていたし、対象そのものについて語り合うことにお互い暗黙の合意があった思っていたところ、実は相手は対象そのものではなく対象の周囲だとか対象に付随する歴史や文脈、またそれらから連想される元の対象とは無関係な全く別の対象(しかも結局それらの対象の周囲の!)の話をしていた。 私は沈黙するしかなかった。

          発話者は光、言葉は影