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C102とC103の裏話 〜東欧料理本第2弾と瀬戸内海旅行本の制作の裏側 他〜

 初めましての方は初めまして。そうでない方はお久しぶりです。同人サークル「Hrvatski Kunić」の黒亜ティアです。

 前回の投稿「『仮面ライダーギーツ×リバイス MOVIEバトルロワイヤル』を龍騎世代の視点から語る」から早1年が経過してしまいました。あの当時は「C101の裏話でも書きたい」などとほざいていましたが、結局筆を取るのが億劫になり、気が付けばC102もC103もいつの間にか終わっていたという、なんとも情けない状況に陥ってしまいました(2023年は海外出張ばかりで疲れ果て、同人活動自体のモチベーションもあまり湧かなかったのが原因です。許してください)。

 しかし、2023年もかなりの出会いがあった年で、1回のイベントで数冊も同人誌を刊行する2次創作メインの方や、他ジャンルとはいえ1日で1,000冊以上頒布した方などから大いに刺激を受け、さらに後述の通りC103において多大な反省点があったことから、このままではいけないと一念発起しました。もっと継続的に文章を書いていかないと腕も錆びつくし、自身の活動のアピールにもならない。本noteを執筆・公開するのもその一環です。

 これまで、あとがき等で少々言及するのみにとどまり、あまり自身の本の制作の裏側についてお話しすることがなかったのですが、何を以って本のテーマを決定したのか、どう取材(旅行)をしたのか、そしてサボった結果直前期でどれだけ苦労したか、毎回の反省点も含めてお話していきたいと思います。


0.筆者のバックグラウンド

  • 同人サークル「Hrvatski Kunić」(クロアチア語で、「クロアチアのうさぎ」という意味)の代表。取材・撮影・デザイン・本文担当。

  • 中国語が第1外国語で、2019年の台湾大学留学中に台湾FFで作家さん方のお手伝いをした結果、触発されて帰国後から同人活動を始めることになりました。

  • 主に台湾・バルカン諸国・東欧・旧ソ連圏・離島に関する本を制作しています。旅行記・グルメ本・政治解説本など、これまで12種類の本を頒布してきました。

  • 台湾におけるグルメ同人誌の取材協力や、海外文献の翻訳と考察という形でのミリタリー同人誌への制作協力もしてきました。

1.C102(2023年夏)の裏話

C102の新刊『Dobar tek! ~日本で楽しめる!東欧料理店2~』

1-1.テーマ

 実はC102の申し込み段階で、新刊のテーマの候補は絞れていて、すんなりと東欧料理本第2弾に決定しました。C100(2022年夏)で頒布した東欧料理本第1弾が、ニッチなテーマにも関わらず、手前味噌ながらかなりの反響をいただき、頒布開始数時間で完売するに至ったので、続編の制作は決定事項だったのです。

 問題は頒布のタイミングで、C101(2022年冬)では、直近の五島列島巡礼の旅の顛末を書いた本を出したので、必然的に2023年中のいずれかのイベントで東欧料理本第2弾を……と考えることになりました。
 しかし、これは単なるエクスキューズなのですが、同年2〜5月の本業の忙しさが凄絶を極め、残業時間が大変なことになったことから(ちょっと気軽には言えないレベル)、「取材は5〜6月から始めよう……」と心に決めたのでした。

 ここで言及しておきたいのは、東欧料理本のコンセプトです。「コロナ禍で海外になかなか行けない中、日本国内で楽しめる東欧料理店を紹介しよう!」と思い立ったのがきっかけでしたが、事実、このコンセプトは海外クラスタの皆様のニーズにもかなり合致していたと思います。
 ただしご既承のとおり、2023年は徐々にコロナ禍による制限が緩和されていき(個人的にはアイマス合同ライブで声出しが解禁されたのが最も身近に緩和を感じた瞬間でした)、海外渡航も容易になり始めました。そうなると、東欧料理本のコンセプトの大前提だった「コロナ禍で海外になかなか行けない中」というのが霧消してしまう恐れがあったのでした。
 私の本を手に取ってくださるのは、弊サークルの活動内容のとおり国内・海外旅行好きの方が大宗を占めております。彼らの期待に応えられるような本が出せないのではないか。このような悩みが若干ありつつも、取材をスタートさせたのでした(かかる心境は、東欧料理本第2弾のあとがきでも少々言及しております)。

1-2.取材

 取材については、少々苦労したこともあったものの、基本的にどのお店もお忙しい中お付き合いいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
 特に、京都のMAX1921様(ポーランド料理店)は大変親切にしてくださり、なんだかんだで半日も滞在してしまいました。私がユーゴスラヴィア好きと知ると関心のありそうな本を持ってきてくださったり、自由に店内の写真を撮らせてくださったり、色々なお話を聞かせてくださったり……。マスターやお客様方と過ごした、不思議な、かつ温かみに溢れた時間については、ぜひ東欧料理本第2弾を読んでご確認いただければ幸甚です。

 ところで私、大変恥ずかしながら、実はかの有名な『石の花』を読破していないのです。幸いMAX1921様には全巻置いてあったので読み進めましたが、取材日の夜に別件の取材があったことから、苦渋の決断で未読了のままお店をあとにしたのでした(多忙の中、牛歩ながら読み進めておりますが、いまだに積読対象です)。
 ちなみに、Paradis様(ルーマニア料理店)とBetterave Bistro Jiro様(ウクライナ料理店)の取材については、それぞれ別の友人を引き連れていきました。Paradis様の方は愛知県在住のネット友達を連れていったのですが、大仰すぎるくらいに「おいしい!」と連呼しており(もちろんこれはこの人の本心)、連れてきた甲斐があったというものです。

1-3.デザイン

 取材と同時並行で、表紙や本文のデザインも考え始めました。
 弊サークルは表紙については毎回、
「風景や料理の写真を背景として、手前にオリジナルキャラを配置する」
 「表紙と裏表紙は繋がった1枚絵にする」
 「敢えて本の内容を端的に示すような文章を表紙には入れない(その代わり、見本誌には手書きポップを貼っておく)」

というデザインを意識しています。3点目について、本の内容が視覚的に分かりづらいのは重々承知なのですが、このスタイルは今後も崩さないつもりでおります。

 東欧料理本第1弾は、クロアチアのカルロヴァツ地方の民族衣装を着た女の子(通称・クロアチアたん。まんまですね)を中心に置いたのですが、第2弾はどの国をフィーチャーしようか?と考えたとき、MAX1921様での思い出が脳裏に浮かび、迷わず「ポーランドにしよう」となりました(ポーランド関連の料理店を2店も取り上げたので、その影響もあり)。

C100の新刊『Dobar tek! ~日本で楽しめる!東欧料理店~』

 そして、ポーランドの民族衣装を様々調べる中で、とにかく色鮮やかでデザインが美しいと感じたウォヴィチ(首都ワルシャワから90キロほどの場所にある町)のものを採用しました。背景にはポーランド食器を据え、裏面には各料理店で撮影した料理の写真をイラスト化したものを散りばめ、晴れて完成-。

 ……と、簡単に言ったものの、実は本文の方のデザインはかなり難航していました。第1弾の本文は、デザインを賑やかにしすぎたせいで見辛くなったと感じており、背景はレースの素材などを敢えて使用せず単色のものを採用。写真も適宜角を丸くするなどして変化を加え、「並べただけ」感が出ないようにし、さらに余白にはうるさくなりすぎない程度にイラストのあしらいを入れ……。
 正直、取材結果が豊作だったことから文章自体は全く苦も無く書き終えたのですが、デザインに凝っていたら辛くなってきて、逃避行動の代表でもある部屋の掃除を延々とやってみたり、グノーシアのシナリオ1周目をクリアしてSQのシナリオで涙したりと生来の無精さを発揮してしまい、入稿〆切日の前日を迎えてしまいました。
 それでも、残り6時間の段階まで息を切らしながら作業を続け、なんとかおしゃれ(もちろん当社比。デザインについてはまだ初心者なので勉強中です)な本へと仕上げるまでに至ったのでした。

 ちなみに、本の中で一貫してジョージア(グルジア)のことを「サカルトヴェロ」と現地名で呼称しているのは、現地の友人たちへのリスペクトです。2017年のリトアニア短期留学の際に知り合った彼らとはいまだに連絡を取り合っているのですが、「日本でもサカルトヴェロの料理が食べられるよ!!」と写真を送ったら大変驚いた様子でした。

1-4.直前の誘惑

 印刷所は㈱ポプルス様を毎回利用しているのですが、割増料金を積むことで延長できる入稿のファイナルラストデッドラインが2023年7月28日(金)でした。ところが無計画な私は、「取材旅行」と称して7月14日(金)~7月17日(月)で壱岐・対馬旅行に出かけ(実際この顛末は本にする予定なので取材旅行なのは間違いないです)、さらに7月22日(土)~7月23日(日)にはシャニマスのライブ「我儘なまま」に両日参戦するという愚行に出ました。
 これまでも、入稿直前期がライブと重なることはありましたが、「文章はもうできているし、なんとかなるなる」の精神でこの度も乗り切ろうとした結果、前述のようなあっぷあっぷの状況を招いてしまったのでした。旅行で「ツシマヒラタクワガタ採れたー!」とか、ライブで「美琴のソロ曲と衣装が最高だったー!」などと言っている暇はなかったのです。

 ちなみに、ライブで連番で参戦したのは、アークナイツの漫画を描いている絵師であるくらげや(X[旧Twitter]:@ku_rageya)だったのですが、この人もC102に出展することになっていたのに、この時点でまだ原稿が完成していないと言っていました。結果論だけど、お互い間に合って本当に良かったね。

呑気にライブに行っている暇などなかった!

1-5.売り子

 さらに災難だったのは、当日雇う売り子の方を決め、C102の数ヶ月前に既に内諾を得ていたところ、1ヶ月前から音信不通になってしまい、数日前になって「行けなくなった」とDMが来たことでした。一応本人のレピュテーションのために補足しておくと、「このところ体調が芳しくなかった」そうなので仕方はないのですが、私の挨拶周りの際のお留守番だったり、列整理だったりで売り子はどうしても必要なので、このタイミングで「#売り子募集」のようなハッシュタグをつけてX(旧Twitter)で悲痛な叫びをあげることになりました。その際、「黒亜ティアさんが売り子を募集しています!」と拡散してくださったしろのさん(X[旧Twitter]:@shi_r_o_n_o、C101の際に売り子を務めてくださったレイヤーさん)には、この場を借りて改めて御礼申し上げます。

 最終的に5名ほどからリプライやDMをいただいたのですが、大変申し訳ないことに謝絶し、よく知った仲の、シャニマスやブルーアーカイブの小説を書いている作家であるBIG BABY(通称:赤さん、X[旧Twitter]:@BIG_na_BABY、BOOTH:海老カツバーガーと絶縁体)にお願いすることになりました。C102では1日目にサークル側で出展していてお疲れだったところ、2日目にわざわざ私のところに駆けつけてくださったこと、この場を借りて改めて御礼申し上げます。
 ちなみに、全くの余談なのですが、赤さんも前述のくらげやも(そしてParadis様の取材に同行した友人も)、2020年5月のシャニマス公式が杜野凛世のフィギュアを回転台に乗せ100時間配信するという狂った催しをきっかけにして同じDiscordサーバーに集った仲間です。私がシャニマスを始めたのは2020年9月なのでこの配信は見ていなかったのですが、赤さんのとある闇概念のシャニマス小説を読んだことがきっかけとなり、かかるサーバーに入ることになりました。以降、このように昵懇な間柄の方々が増えたのは本当にありがたいのですが、それ以外にも自分の人生が180度変わったと実感していることがあり、赤さんには一刻も早く責任を取ってもらいと考えております(圧力)。閑話休題。身内ネタで大変申し訳ございません。

1-6.当日


C102のおしながき

 ここからは既に多々発信しているとおりなので短めに。
 東欧料理本第2弾の表紙の「ポーランドたん」のポスターを引っ提げ、上記ツイートのとおりイベントに臨みました。会場が全体的に汗と湿気にまみれる中(潔癖なので、いまだにこの感覚は慣れません)、わざわざ私のところまで足を運んでくださった皆様、ありがとうございました。

 幸い、第1弾以上の反響をいただきまして、かなり多めに印刷したにも関わらず、その2/3程度が売れるという、個人的には上々な出だしを切ることができました(ついでに第1弾含め、旅行系の既刊も多くの部数を頒布できました)。2023年11月時点で増刷すべき既刊が4種類にものぼって財布が悲鳴をあげたのは、C102の頒布数の影響が大きいです。

 C102終了後、前述のくらげや・赤さん含め、アークナイツやブルーアーカイブ、アイマスの作家たち12名で、私の行きつけでもある池袋のバッカニア様(@Buccaneer_tokyo) で打ち上げをし、お互いの健闘を讃えあいました。
 私にとってのあるあるなのですが、こういった作家同士の飲み会で私が参加するものはガルパンやアイマスなど2次創作界隈のものが多く、私だけ1次創作なのでジャンル的にはかなり浮いているものの、それでも受け入れてくださる皆様には大変感謝しております。
 ちなみに、赤さんは私のスペースでブルーアーカイブのエイミの際どいコスプレをしたことになぜか全員の記憶が改変されており、以降今に至るまで「次のコミケは水着エイミのコス?」「いや水着ハナコでしょ」などとイジられ続けています(可哀想)。

 かくして、私のC102は無事に終了し、C103に向けた準備をゆるゆると始めていたのですが……。

この1杯のために頑張ってきたようなもの。
このあとラム酒やオリジナルカクテルを浴びるように飲みました。

2.C103(2023年冬)の裏話

C103の新刊『瀬戸内海縦横無尽! 第1巻』

 C103については、新刊作成も当日も、間違いなく私のこれまでの同人活動の中で最も辛いものとなりました。大量の反省点を抱え、モヤモヤした気持ちのまま年末年始を迎えてしまい、このnoteを執筆しています。

2-1.テーマ

 C103については、申し込み段階で新刊の候補が数種類あり、それはサークルカットにも表れています。

「あたりの予定!」とぼかした書き方をしている

 このとおり、前述の壱岐・対馬旅行か、東欧料理本第3弾かの2択で考えておりました。後者については、この第3弾を以って完結編ということも考えていて、さらに「宣伝のために、休業期間ではない冬季〜春季にかけて新刊を頒布して欲しい」とリクエストされた料理店もあったことから、このタイミングで出すのが最も綺麗な流れだと考えておりました。

 ところが、C102の入稿〆切と時を同じくして、いわゆる「本を出すほどでもないかもしれない旅行」の位置付けであった2023年8月末の鹿児島県の甑列島へのツアー旅行が、最少催行人数に至らずに中止となってしまいます。家族会議の結果、完全にフリーで瀬戸内海を周遊しようという話に切り替わったので、「この旅行は本にするしかない!」という気持ちになり、急遽新刊の候補に加わることになったのでした。

 結果的に、後述のとおり多くの島を跨いだため、「記憶が薄れないうちに」ということで、C103の新刊は瀬戸内海旅行本第1弾に決定しました。

2-2.取材旅行

 この旅行では、主にドライブとカーフェリーで、安芸灘とびしま海道としまなみ海道を中心に、江田島、下蒲刈島、上蒲刈島、豊島、大崎下島、岡村島、大久野島、大島、伯方島、大三島、馬島、生口島、因島、向島etc……という20ほどの島々を訪れました。

 ここで大きな反省点なのですが、この旅行においては「とにかく行ったことない島を巡りたい!」という個人的願望が先行してしまった結果、「旅行の根底となるテーマ」を定められずにいたのです。
 多種多彩な島の特徴を1冊にまとめられるという点では良かったのですが、島によってはどうしても薄くしか触れられず、そのため「書くことがない、苦しい、筆が進まない」という負の連鎖から脱却できず、ファイナルラストデッドラインに向けてジリ貧の戦いを強いられたのでした。

 五島列島旅行本では9つの島を取り上げたものの、「教会巡り」が主題だったため、読み手もそれを念頭に置けば比較的すんなりと内容が頭に入ってきたとは思いますが、20ほどの島を脈絡なく行ったり来たりする書き方が、伝え方としては正解だったとは言いづらいと思っています。
 ただし、私の同人誌の特性上「行程をなぞる形で描くことで臨場感を味わってもらう」ことにも重きを置いていることから、このスタイルは崩さないつもりでもいますが。

2-3.デザイン

 表紙に中心に配置するキャラと背景については、弊サークルの絵師と何回も打合せをして決定しました。
 「旅行の根底となるテーマ」がないとは言いつつも、比較的に比重が大きかったと感じる村上海賊が、やはり人物として最も適当だろうという考えと、絵師が「久々にイケメンが描きたい」とリクエストを出してきたこともあって、衣装は因島水軍城に展示されていた水軍大将の兜や展示を参考に、銀髪の現代的な男性にお出ましいただくことになりました。通称・村上くんの誕生です。
 また、小笠原諸島・馬祖列島・五島列島など島旅系の本は、「海」のイメージから背景を青系にすることが多く、今回も当初は展望台から撮影したしまなみ海道にしようかと考えていましたが、衣装の色味と合わせる形で初めて黒系のダークな色に。それでいて、各島の代表的な見どころを六角形の金枠で囲ってちりばめることで、なかなかメリハリのある引き締まったものになったのではと考えております。

 本文のデザインについては、東欧料理本とは対照に、過去の旅行本たちと同様のシンプルなものにしましたが、ところどころ遊び心でイラストをあしらっているのと、試験的に「注釈欄」を入れてみました。この試みの賛否は分かれるところではあるかもしれませんが、中身が比較的固い内容も多い分、面白おかしく注釈を読んでいただければ、という気持ちで敢えて軽い文体を採用しています。
 ちなみに中表紙にいる村上くんは、ファイナルラストデッドライン前日に唐突に絵師から送られてきたものです。まさか表紙のみならず、裏で別の1枚絵まで仕上げていたとは、望外の僥倖でした。

2-4.タイトル

 実は新刊のタイトルが決まったのも、忘れもしない、12月5日(火)という驚くべきほど直前期でした(ファイナルラストデッドラインは12月19日(火))。前述のとおり「旅行の根底となるテーマ」が存在しなかったことから、「東欧料理」「祈りの島」といった既刊のようなメインタイトルも、全くと言っていいほど思いつかなかったのです。

 光明が差したのは、以上の本音を例のDiscordサーバーに投下したときでした。

最後に残ったものだけは、失いたくない。信じられる……仲間だけは!

 持つべきものは友というか、この一言を契機に、サーバー内の作家たちが親身になって色々考えてくれようとしていましたが、この議論の幕引きはいささか地味なもので、

こんなことを言っていますが、心から感謝しております。

このようにして、自己解決に至ってしまったのでした。普段はふざけた話ばかりしているところでも、三人寄れば文殊の知恵というか、団結すれば妙案が浮かんでくるものです。まるでひと昔前のネット掲示板のよう。

2-5.直前の誘惑

 またこの小見出しか!と呆れられそうな学習能力のなさを露呈していますが、無計画な私は、12月9日(土)~12月10日(日)という原稿が大詰めの時期にも関わらず、ライブ「異次元フェス アイドルマスター★♥︎ラブライブ!歌合戦」に両日参戦するという愚行にまたも走ってしまいました。
 私が履修している(していた)のはミリオン・シャニマス・初代ラブライブのみなので、特にラブライブ側についてはあまり予習もせずに徒手空拳で挑んだわけですが、むしろ初めて触れた楽曲が良いものばかりだったので、感動もひとしお。特に、DOLLCHESTRAの楽曲や、「繚乱!歌合戦」が格好良くて、いまだに鬼リピしています。莉緒ねぇが担当の1人なので、彼女のパートでオリジナルの歌詞が作られていてテンションが上がりました。
 しかし、諸事情で周囲の席が中国人ばかりで、彼らの禁止・迷惑行為のバーゲンセールを一身に浴びておりました。家虎とか初めて生で聞いた……。

 ……と、いつのまにかライブの感想会になっていますが(フォカヌポウwww拙者これではまるでオタクみたいwww拙者はオタクではござらんので)、どれだけ楽しい時間を過ごしていても、脳裏にいつもちらつくのは「でも原稿終わってないんだよね……」の1文。例えるならば夏休みの宿題を後回しにしてお盆に田舎の祖父母の家の方で遊び呆ける小学生のような心情でした(ちなみに、夏休みの宿題は7月中にほとんど終わらせるタイプでした。昔の方が今より偉いじゃん!)。

担当3人のぬいぐるみをぱしゃり(朋花・摩美々・美琴)

 ただ1つ申し上げておくと、必ずしもライブに参戦したことだけが危機的状況を招いたものではありません。C102~C103の間はとにかく本業が多忙を極め、取材旅行直後の9月は海外出張でほとんど日本におらず、10月も半分ほど海外出張とその準備に時間を取られ休日出勤も余儀なくされるなど、筆舌に尽くしがたい状況下で、体力的にも精神的にも限界を迎えていた中での原稿作業だったのでした。
 私は社会人3年目なのですが、今の方が学生時代より自由に同人活動は出来ていると少し前までは感じていたものの、他方で徐々に両立が難しくなってきているような気もします。社会人で同人活動もがっつりやっていらっしゃる方は、どのようにタイムマネジメントをされているのか、今度ぜひお聞かせいただけましたら幸甚です。

2-6.売り子

 少し時間は遡って10月末、知り合い経由でツイートを見たレイヤーさんとFF内になったのですが(2024年1月21日現在、その方は鍵垢であるため、一旦ここでX[旧Twitter]の@以下を記載することは避けます。以下、「Tさん」と呼称)、「東欧が好き」「ポーランドによく足を運ぶ」という旨の投稿を見かけ、とても興味を持ちました。そして、誕生日プレゼントとしてほしいものリストにあった「ニューエクスプレス+ ポーランド語」(私も学生時代はこの参考書でポーランド語を学習しました)を贈呈したのをきっかけに、ごくたまにリプを交わしておりました。

 11月10日、C103の当落が発表されると、Tさんが1日目にサークル参加される旨、2日目は売り子として雇ってくれるサークルを探している旨、投稿しているのを発見します。東欧好きであることは前述のとおり知っていたので、「私みたいな泡沫サークルがお願いしてもいいのかな……」と一抹の不安を抱えつつも、思いきって条件など含め「東欧料理本第2弾の表紙のポーランド民族衣装を着ていただきたい」とDMを送ってみると、思いがけず快諾してくださりました。しかも、ポーランドで購入した民族衣装を既に持っているとの由、制作すべき衣装のパーツの点数も多くならないため、あまりご負担をかける心配もなく安心したのを覚えています。

 ちなみに、私は普段仕事の書き言葉の文体がかなり固いので、売り子の方への依頼文書(まず他のサークルがPDFでしっかりした文書を作成しているのか否かも当方不知ですが)はぎょっとされることが多く、前述のC101の際に売り子を務めてくださったしろのさんも「こんな文書を読んでしまうと、書き手であるティアさんの年齢・性別はじめ全てが不詳になってしまい、不安だった」とのちに吐露していらっしゃいました(中国語話者あるあるかもしれませんが、就職活動の際もESに使用する単語が固すぎて変、と言われたこともあります)。

2-7.入稿

 先に言ってしまうと、これだけ表紙・中表紙・売り子さんと様々な外堀を埋めていたにも関わらず、本文は全く自分の満足いく出来に仕上げられることなく、忸怩たる思いで入稿しました。

 まず、12月16日(土)に、飼っているハルマヘラアオジタトカゲのリナが目を怪我してしまい、慌てて動物病院に駆け込むというアクシデントが発生。その対応に引きずられる形で原稿作業が思ったように進まなくなってしまったのです。
 そして、12月19日(火)のファイナルラストデッドライン当日は有給休暇を取ったのですが、午前中の時点で「これは書きたいこと・やりたいデザインを全て実現するのは無理だ」と己の無力さを悟り、断腸の思いで妥協した記載内容での入稿を済ませたのでした。数えられるだけでも、目次・訪問先の地図・大和ミュージアム・呉湾クルーズ・大久野島・馬島・あとがきなどが、改善の余地があるところであると考えられます。

 このような惨憺たる状況だったので、過去の旅行本より値段も下げ、久々に印刷数を2桁に絞りました。ただし、3月末の「関西めしけっと8 in 関東」にはこれらを全て改訂の上臨むので、乞うご期待です(情報が足される分、改訂版は値段も元の水準に戻しますが)。

2-8.当日

C103のおしながき 

 以上のようなこともあり、12月31日(日)は若干重い足取りで東京ビッグサイトへ向かうことになってしまいました。しかも、なんとC103における配置は弊サークル初めてのお誕生日席。あまりに自分がふがいないと、人気の両隣のサークルによってモーセ状態になることは必至でした。

 ところが、確かにこれまでのイベント出展のときよりも勢いはなかったものの(元々、離島旅行本は売れ行きがゆったりとしている)、Tさんの民族衣装や接客が奏功したのか、予想外なことに新刊が完売してしまい、逆に申し訳なくなりました。ついでに、東欧料理本や各種台湾離島旅行本もたくさん手に取っていただけたのも、個人的に嬉しいポイントでした。これも全てTさんのご助力のおかげであると考えており、この場を借りて改めて御礼申し上げます。

 例のDiscordサーバーの方々や、台湾からもファンの方々が駆けつけ、最終的には鞄がいっぱいになるくらいの差し入れを持ってきてくださりました。後述のとおり年始は取材旅行で不在にしていたので、これらの差し入れはゆっくり食べ始めたところ、1月下旬の今に至るまで私を延命してくれることとなりました。皆様には、この場を借りて改めて御礼申し上げます。

 C103終了後、アイマス楽曲をピアノ演奏してCDを頒布しているふくふく(X[旧Twitter]:@fukupiano1203)と一緒に、共通の友人であるシャニマスやブルアカの小説家のダ二エル(X[旧Twitter]:@Shortland_Islan) の家に行き、年越しも兼ねて15名規模で打ち上げをしました。すき焼きや焼き肉、年越しそばなど料理がフルコースで出てきて、食べ終わったらアイマス合同ライブのBDを鑑賞するなど、大変楽しい時間を過ごすことができました。

 桃太郎電鉄を初めてプレイしてみたら、途中で凄まじい負債を抱えましたが、麻雀の方はなんとか1位になれました!

3.2023年の同人イベントを総評して


 総合的に見るとC102とC103は頒布数も悪くはなく、様々な方々と交流が捗り、充実した同人ライフを過ごせたように思います。
 しかし、新刊の刊行スペースがかなり落ちており、コミケの他にも同人イベントには出展したものの、結局コミケに合わせる形で2冊しか刊行できていないので、これは大きな課題です。単純にやる気の問題もあったのですが、大きな理由はやはり本業の忙しさで、これは如何ともし難いため、とにかく隙間時間を見つけては執筆に勤しむほかありません。

 また、私の同人誌のテーマは「絶対に万人受けすることがない」ということを自覚しています。
 例えば台湾離島や東欧の旅行本を出したとして、まず入り口が「評論・情報系同人誌に関心がある」であり、その後「旅行が好きである」「国内旅行より海外旅行に関心がある」「台湾や東欧に関心がある」「マイナーな観光地を知りたい」→……と、どんどん対象層が篩にかけられていき、最後に残った成分を趣味とする方々のみ私の本を買うものと思われます。
 よって、劇的な売れ行きを記録はしなくても、そのニッチな部分を好きでいてくださるファンの方々の期待には精一杯応えたく、2024年は海外旅行記を最低でも1本は出したいところです。極論、「そこの層に刺されば良い」という考え。

 さりとて、やはり頑張って制作したものがほとんど関心を集めないのも悲しいので、2024年は「制作過程を可能な限りTwitterでお見せする」「本を出すほどでもないかもしれない旅行の模様は、noteにまとめる」などを意識していきたいとも考えております。
 冒頭で述べたとおり、本noteを執筆・公開するのもその一環ですし、2024年1月3日(水)~1月7日(日)の瀬戸内海本第2弾執筆のための取材旅行の様子をX(旧Twitter)で投稿していたのも、「今後の活動予告」を兼ねたものでした。

 本業では海外赴任をさせられる可能性が高く、いつまで安定的に同人活動を続けられるかも見通しが立ちませんが、少しでも時間がある今このときを大事にして、2024年も邁進していきたいと思います。

次に出展予定のイベントは、3月23日(土)の「関西めしけっと8 in 関東」です。それまでに、瀬戸内海本第1弾の改訂など、打てる手は尽くしていく所存です。
 どうか引き続きご愛顧いただけますと幸甚です。何卒よろしくお願いいたします。

それでは、Doviđenja!

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