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動画【パラドックス#17】カントールのパラドックス!

古代ギリシャ時代から現在に至る多種多彩な「パラドックス」を解説する【パラドックス】シリーズを、YouTube チャンネル「高橋昌一郎」で開始した。お楽しみいただけたら幸い!

第17回「カントールのパラドックス!」

カントールは、自然数の集合の基数を「アレフ0」と名付けた。したがって、偶数の集合の基数も、アレフ0である。もちろん、奇数の集合の基数も同じになることは、明らかだろう。しかし、さらに驚くべきことに、カントールは、整数(正と負の自然数と0)や、有理数(分母が0以外の整数比)の基数も、アレフ0であることを証明した。つまり、すべての分数は、奇数と一対一に手を繋げるのである。

無限基数の演算も興味深い。たとえば、アレフ0+アレフ0=アレフ0であり、アレフ0×アレフ0=アレフ0である。ところが、累乗の演算になると、無限にも大小関係のあることが証明される。カントールは、2のアレフ0乗が、アレフ0よりも大であることを証明した。一般に、集合Sの部分集合の集合を「ベキ集合」と呼ぶ。このとき、ベキ集合の基数は、集合Sの基数よりも大なのである。

実際に、カントールは、「対角線論法」によって、実数R(有理数と無理数)の基数が、自然数Nの基数よりも大であることを証明した。実数の基数は、自然数のベキ集合の基数と同等である。つまり、実数の基数は2のアレフ0乗であり、それはアレフ0よりも大であることが明らかになったのである。

カントールは、アレフ0、アレフ1、アレフ2、……と無限に続く無限基数の存在を証明した。そして、これらの階層は、ベキ集合の基数の階層と一致すると考えたのである。つまり、アレフ1は2のアレフ0乗、アレフ2は2のアレフ1乗、……のように、無限基数が整列するものと仮定した。これが、カントールの「一般連続体仮説」である。

さて、すべての集合の集合Aを考えてみよう。この集合Aは、最大の濃度をもつ集合と考えられる。ところが、集合Aのベキ集合の濃度は、集合Aの濃度よりも大でなければならない。この矛盾を、どのように考えればよいのだろうか?

高橋昌一郎『ゲーデルの哲学』講談社現代新書、pp. 104-107.

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