早乙女まぶた
こちら側とあちら側との隔絶。あるいは入口のない世界。目に映る出来事のすべてが窓の外のように感じる。2019/11-2019/12
花は散ります。有機体は解体します。存在は空想です。有機体とはみなさんのことです。2017/3-2018/4
花は散ります。有機体は解体します。存在は空想です。有機体とはみなさんのことです。 2018/4 - 2018/7
2015/3 - 2015/5
眼球のない少年が見る 一人の少女が二人 同じからだで縄跳び 飛んでいく風船は赤くなって 高いところで割れた #帰郷の問題
紳士の顔に蝶が留まった。他の蝶が群れをなしてその顔に蝟集した。紳士は動かない。サイレンが遠くから聞こえる。気がつくと蝶はすべて消えていて、そこには大きな穴が空い…
蝶の舞があって そこには蝶がいない 見えないのだから 捕まえることもできない 舞だけがある #彼岸の問題
おめでとう みんな絶滅したよ いきものはいなくなった 日記はそこで途切れてて 目覚めたくないぼくは続きを書いた 美しい人から順に広告になった 頭のいい人は死んでしま…
DMで声を掛けてきた女が 目の下を赤く塗って会いにきた あなたの言葉が好きです わたしには分かるの 詩集は買ってないんだけど ひとつでも間違えれば すぐにでも怒られる…
おばあちゃんが マッチ箱に水を入れていた 外装が濡れなくて不思議だった 中はどうなっているんだろう マッチは入っていないんだろうな なんて考えていたある日 おばあちゃ…
日本を転々と旅して やっと東京の自宅に戻ってきた 誰もいない部屋にただいまと言って 灯りをつけると女が首を吊っている どうすればいいのだろう と思っていると スカート…
転校してきてから はじめての健康診断だった 体操着に着替えてゾロゾロと保健室に行く 順番が来たら入室して 前の人が終わったら 身長を測って 前の人が終わったら 体重を…
渋滞に巻き込まれてうんざりしていると ドアガラスが突然叩かれた 驚いてそっちを見ると 物凄い剣幕でなにかを喚いているおばさんがいた 見た感じの迫力はかなりなものがあ…
窓際にいくつか椅子が置いてあるのは 人がそこから向こうを見るからだ リアリティが足りないだとか 起伏がなさすぎるだとか 彼らの口から出るのは文句ばかりだ ネットのレ…
ふと見ると小指の先が赤くなっている 明らかに血液なのだけど怪我をした覚えもない ひとまず消毒をして絆創膏を貼っておいた しばらくして絆創膏を剥がすと まだ指先が赤い…
若い男が タバコを吸いながら歩いていると 警官に見つかって注意された いま消せば見逃すと言われて どうなっても知りませんよ などと飄々と応えた 警官がいいから消せと言…
制服でチョココロネを食べて歩く 夕方の高校生たち ぼくの通れなかった道は 彼らの捨てたゴミで汚されてしまうのに その手前で座っているぼくは どこにも行かない そこを通…
白髪が目立ってきた母の 後に湯船につかっている 毛が浮いていて気になるので いちいち掬って湯船の外に捨てる 捨てても捨てても浮いてくるから 適当に切り上げて気にしな…
ベッドの下から 大きな鏡が出てきた 壁に立て掛けてみると 映ったぼくの顔が 包帯で覆われていた そこに恋人が訪ねてきた 全身が覆われていた わたしたち似てきたような気…
2022年4月21日 20:59
眼球のない少年が見る一人の少女が二人同じからだで縄跳び飛んでいく風船は赤くなって高いところで割れた #帰郷の問題
2022年4月20日 20:33
紳士の顔に蝶が留まった。他の蝶が群れをなしてその顔に蝟集した。紳士は動かない。サイレンが遠くから聞こえる。気がつくと蝶はすべて消えていて、そこには大きな穴が空いていた。穴の向こうには花畑が広がっていて、蝶はそこを楽しげに舞っていた。 #鏡の問題
2022年4月19日 21:28
蝶の舞があってそこには蝶がいない見えないのだから捕まえることもできない舞だけがある #彼岸の問題
2021年2月13日 20:13
おめでとうみんな絶滅したよいきものはいなくなった日記はそこで途切れてて目覚めたくないぼくは続きを書いた美しい人から順に広告になった頭のいい人は死んでしまっただけどまだ終わりじゃないんだ鍵ならたくさんあるのに合う場所はどこにもなかった諦めたら花火が上がって宇宙がバラバラになった降ってくるこれは雨じゃなかった物質のしめやかな終わり実物大の夢ぼくだけに降ってきた
2020年1月24日 13:33
DMで声を掛けてきた女が目の下を赤く塗って会いにきたあなたの言葉が好きですわたしには分かるの詩集は買ってないんだけどひとつでも間違えればすぐにでも怒られるから他人の感情が何もわからないままただ怯えるだけだっただから誰かに好かれたいだけの真夏に長袖を着ているきみを見つけたぜんぶが間違っていれば誰にも怒られないから意味のない言葉を重ねて詩を書いているってことにした
2019年12月26日 16:41
窓外集は本日で終わりです。ご愛読ありがとうございました。良いお年を。(ぼくは年を越せないと思います)
2019年12月26日 16:39
おばあちゃんがマッチ箱に水を入れていた外装が濡れなくて不思議だった中はどうなっているんだろうマッチは入っていないんだろうななんて考えていたある日おばあちゃんがこたつの上にその箱を置き忘れたいましかないと思ってこっそり開けてみたその瞬間ものすごい速さで水が飛び出してきた驚いてマッチ箱を放り投げてしまったそれを聞いておばあちゃんが入ってきたそのふすまの隙間からそれが飛ん
2019年12月25日 14:35
日本を転々と旅してやっと東京の自宅に戻ってきた誰もいない部屋にただいまと言って灯りをつけると女が首を吊っているどうすればいいのだろうと思っているとスカートの中から何かが落ちた畳の上を少し転がって止まったそれはスーパーによくある白い楕円形の卵だった通報するにもなんて言えばいいのか考えがまとまらなかったからとりあえず死体を降ろしたすると女は人様のお部屋で粗相を致しまして誠に
2019年12月24日 11:59
転校してきてからはじめての健康診断だった体操着に着替えてゾロゾロと保健室に行く順番が来たら入室して前の人が終わったら身長を測って前の人が終わったら体重を測ってというのが前にも後ろにも延々続いているのだなあと思うと工場を流れる部品のような感覚になる次は心臓の検査をするらしくて前の人が服を脱いだ服の下には身体がなかったにも関わらず先生は何も気にせず検査を終えて生徒は服を
2019年12月23日 15:42
渋滞に巻き込まれてうんざりしているとドアガラスが突然叩かれた驚いてそっちを見ると物凄い剣幕でなにかを喚いているおばさんがいた見た感じの迫力はかなりなものがあるのだがなぜだか声は少しも聞こえない面倒ではあるけれどもこのままにしておくわけにもいかないと思って窓ガラスを開けるとひどい罵声が聞こえてきたその代わりガラスが下がっていくにつれておばさんの姿も徐々に見えなくなっていった
2019年12月22日 16:37
窓際にいくつか椅子が置いてあるのは人がそこから向こうを見るからだリアリティが足りないだとか起伏がなさすぎるだとか彼らの口から出るのは文句ばかりだネットのレビューでさえ褒めるようなことはひとつも書かれていない正直なところそれはまったく不思議ではないのだが不思議なのはこの商売が長々と続いていることだ熱心なリピーターも多く存在するのだがその理由がまったく分からない警備員として彼ら
2019年12月21日 15:58
ふと見ると小指の先が赤くなっている明らかに血液なのだけど怪我をした覚えもないひとまず消毒をして絆創膏を貼っておいたしばらくして絆創膏を剥がすとまだ指先が赤い血液が漏れ続けているようで意味がわからない手当てをしてくれた女の子があれわたしもと言って小指の先を見せてきたお互いがお互いの小指の治療をする消毒をして拭き取っても血液は後から後から滲んでくるキリがないから放っておくこ
2019年12月20日 16:28
若い男がタバコを吸いながら歩いていると警官に見つかって注意されたいま消せば見逃すと言われてどうなっても知りませんよなどと飄々と応えた警官がいいから消せと言うと男は面倒そうにタバコを掌に押し当てた火は消えずにまるごと飲み込まれて跡形もなく消えてしまった一方で警官は耐えていた男のイリュージョンに真っ当に驚く暇も与えられず自分の身体が引っ張られていることに鍛えた足腰をフルに
2019年12月19日 17:12
制服でチョココロネを食べて歩く夕方の高校生たちぼくの通れなかった道は彼らの捨てたゴミで汚されてしまうのにその手前で座っているぼくはどこにも行かないそこを通らないとどこにも行けないのに時間切れでその道には入れないんだ慰めがあるとしたらそこを通れなかったのがぼくだけじゃなかったってことだけ彼らの笑いは通り過ぎていかなかった制服もチョココロネも夕方も高校生も彼らにはついていかな
2019年12月18日 12:24
白髪が目立ってきた母の後に湯船につかっている毛が浮いていて気になるのでいちいち掬って湯船の外に捨てる捨てても捨てても浮いてくるから適当に切り上げて気にしないことにした目を閉じて身体を伸ばす湯の気持ちよさを感じて再び目を開けるといつの間にか白髪と黒髪が寄り集まってひとつの塊になっていた気持ち悪いから捨てようとすると黒髪が文字として読めることに気づいたそこにはいつまでも自
2019年12月17日 10:09
ベッドの下から大きな鏡が出てきた壁に立て掛けてみると映ったぼくの顔が包帯で覆われていたそこに恋人が訪ねてきた全身が覆われていたわたしたち似てきたような気がすると言っていたのは最近のことのように思うのだけどあの時にはすでに鏡の向こう側にいたのかもしれない恋人というよりもぼくの方が #鏡の問題