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【従業員のホンネとは?】従業員満足度調査に取り組む企業への好感度

「従業員満足度調査」については、厚生労働省も実施を推奨しています。同省の『今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業』において、企業による雇用管理改善が生産性向上・業績向上に効果的であるとして、魅力ある職場づくりへの取り組みを推進しています。こういった推進もあり、これまで大企業を中心に実施されてきた従業員満足度調査が、様々な企業で実施されるようになりました。

当連載では、これまで企業が従業員向けに実施する調査のナレッジやノウハウをお伝えしてきましたが、今回と次回は少し視点を変えて、従業員のホンネを明らかにする企画をお届けします。全国の従業員の方に協力いただいたアンケート結果をご紹介し、リサーチ運用に役立つポイントを解説したいと思います。今回は「従業員満足度調査」に焦点を当て、取り組みに対する好感度やその理由について見ていきましょう。

1.多くの世代の4~5割が「好感が持てる」。高い年代ほど好感度は高い

従業員満足度調査の『取り組み』に対して好感が持てるか尋ねたところ、男性20代を除く全世代において4~5割が「好感が持てる(好感が持てる+やや好感が持てる)」と回答し、高い年代ほど好感度が高いことが分かりました。
一方、「好感が持てない(好感が持てない+やや好感が持てない)」という回答比率が高いのは20~30代男性で、その理由を尋ねると「企業の実績作り」や「調査の取り組みを”しているアピール”」などが挙げられ、形式的な取り組みだと感じている人もいるようです。

「従業員満足度調査」の取り組みに対する好感度

2.好感が持てる、持てない、それぞれの理由は?

企業等が取り組む従業員満足度調査について、皆さんさまざまなご意見をお持ちでしたが、実際にどのような意見が多かったのか、ご紹介します。

■好感が持てる人の意見

好感が持てると回答した人の意見について多かった順にご紹介します。
最多は『職場環境の改善への(職場の)意向が感じられる』でした。調査結果で浮かび上がった課題を、実際に職場の経営や事業などに反映できるかどうかよりも、職場環境を改善しようとする姿勢に好感を持っている様子でした。
2位は『従業員への関心や理解しようとする姿勢が感じられる』でした。従業員に対して関心を持ち、理解しようとする経営側の姿勢自体に好感を持っているようです。
3位は『普段は言いづらいことを調査で伝えられるいい機会』というものでした。会社に向けて言いたいことがあるという人は一定数いらっしゃるようで、それを普段の環境では言いづらいと感じているようです。従業員満足度調査は、会社が従業員の意見を聞くだけでなく、従業員にとっても言いたいことを言える場になっていることが分かりました。

『職場環境の改善への意向が感じられる』※コメント抜粋
・調査して改善できれば働くモチベーションに繋がる。(20代男性)
・待遇改善に加え、パワハラへの抑止力として働くように感じる。(40代男性)
・より、働きやすい環境を整えようとしている意志を感じる。(40代女性)

『従業員への関心や理解しようとする姿勢が感じられる』※コメント抜粋
・多少なりとも従業員の意識を会社側が取り入れようとしてくれている。(40代男性)
・従業員の意思を尊重してくれているのかなと思う。(30代女性)
・従業員の意向も確認して企業をよりよく変えようという姿は好感が持てる。(40代女性)

『普段は言いづらいことを調査で伝えられるいい機会』※コメント抜粋
・自分たちの思いを会社に知ってもらえるのはやはり嬉しい。(40代女性)
・従業員の心の声を聞くのは大事なことだと思う。(20代女性)
・普段言えないことが言える、貴重なタイミングだと思う。(40代男性)

■好感が持てない人の意見

一方、好感が持てない人はどのような意見を持っているのでしょうか。
最多は『改善された実感がない、改善につながっているか分からない』でした。従業員側からすれば「改善を期待して調査に協力したのに・・・」とネガティブな気持ちになりますよね。取り組みに共感してもらい、継続的に調査に協力してもらうためにも、調査結果やそこからの改善施策についてはしっかりと従業員へ共有し、認識してもらうことが重要です。
2位は『回答者が特定されそう、特定されたくない』で、好感が持てる?の問いに「どちらともいえない」と回答した人からも多く挙げられました。個人が特定されてしまう心配から、正直に回答しづらいという意見でした。

『改善された実感がない、改善につながっているかわからない』※コメント抜粋
・結果に対して何も行動がないので意味がない。(30代女性)
・結果は公表されているが、だからといって何かをしてくれるわけではない。それで?という思いがある。(40代女性)
・実績作りとしてただやっているだけの感じがある。(20代男性)
・調査していることのアピールだけ。(30代男性)

『回答者が特定されそう、特定されたくない』※コメント抜粋
・自分の職場では、パスワードが渡されて入力するようになっていますが、そのパスワードが誰なのか管理されている。本音が言えないので、全く好感が持てない。(40代女性)
・匿名調査と言われても、絶対に誰が何を答えたか見ていると思う。(40代男性)
・個人が特定できなければ良いと思う。(40代男性)
・完全匿名にしないと従業員は本当のことを答えづらい。取り組みを持ちかける側の自己満足で終わりそうなイメージ。(50代女性)

このように、会社に対する不信感とも捉えられる意見も挙がってきました。

調査の運用方法としては、匿名で実施する方法、記名ではなく従業員IDなどを入力してもらう方法があります。従業員IDを入力してもらう目的は、回答者を特定することではなく、従業員が業務の合間に回答できるよう途中保存機能を付けたり、1人1回答に制限をかけてデータ精度を担保するための機能です。いずれの方法の場合でも、「回答者の個人は特定しない」という点をしっかり理解していただくことは、従業員満足度調査の取り組みに好感を持ってもらうための重要なポイントになります。
なお、上記の各調査方法については、

こちらの記事で、詳しく解説しています。ご興味がある方は読んでみてください。

3.まとめ

今回のアンケートでは、多くの世代の4~5割の方が、従業員調査の取り組みについて好感を持っているという結果でした。また、会社側は、調査結果を共有したり、結果を踏まえた施策の展開等の強化、そして、回答者の個人を特定しないことを説明し理解してもらうことが、好感を持ってもらうための要素として重要だということも分かりました。
これから従業員満足度調査を実施しようとしているご担当者様も、既に実施されているご担当者様も、一人でも多くの従業員の方に理解してもらえるよう、今回の調査結果のコメントを参考に調査企画に活かしていただけたらと思います。

【実施概要】
調査主体:マクロミル
調査方法:オンライン定性調査(ミルトーク)
調査期間:2022年3月18日(金) ~ 2022年3月25日(金)
調査対象:全国10代~70代 /433名(マクロミルモニタ会員)

 次回も、【従業員のホンネとは?】の企画で、従業員満足度調査を実施するご担当者様が気になっていそうなテーマについて全国の従業員の方に協力いただいたアンケート結果をお届けする予定です。お楽しみに!

この記事を書いた人

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(左から、平岩、竹内、川村、徳田)

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